産業廃棄物処分場予定地が、急炭鉱跡地であり、行動が縦横に走り、地耐力が不足していることを示しているところを明らかにしているところです。
(ウ) 本件予定地付近の地下の地盤が複雑で不安定なため、平成9年7月15日ごろ、本件予定地周辺に多量の降雨があった後、野呂ヶ池北側の道路が盛り上がる地盤変化を起した。 (甲39)
イ 控訴人は、鑑定で採炭跡が明らかにならなかったにもかかわらず、本件予定地の地下に採炭跡があると認定するのは不当である旨と主張する。しかし、前掲坑道実測図により、本件予定地の地下に坑道が存在したことは明らかであるし、埋め戻されていない坑口跡が現在も存在する(甲61、原審での検証の結果)うえ、試掘や電気探査で採炭跡の可能性を示す結果が出ている以上、本件予定地の地下に坑道跡が存在することを否定することは困難である。また、上記糞尿噴出事件について風聞の類の話であるというけれども、当時川崎町衛生課職員をしていた大塚英彦等が具体的に事件の模様を述べていること (甲63,119、弁論の全趣旨)
からして、単なる風聞と決め付けることはできない。さらに、控訴人は、狸堀のような炭鉱跡は、建設工事で表土を剥いだ際に見つけて埋め戻すか、重機によって押しつぶして破壊するので問題がない旨主張するが、坑道は炭層に沿って長く地下に伸びているうえ、切り羽跡も炭層の広さに応じて広がりを持っているため、たまたま見つけた表面部分を表土で埋め戻したり、重機で破壊しても、地中に存在する空洞がすべて充填され、改善されるまでには至らないので、上記主張は採用することができない。
3 本件処分場の概要と同所における雨水・湧水の新党について
(1) 本件処分場の概要
ア 後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。
(ア) 本件処分場の廃棄物処分の方法
本件処分場は、自然に形成された谷の北部において東西から台地がせり出し、谷が狭くなっている場所(野呂ヶ池の南側)を利用し、そこに高さ5.4m(全体の高さ6m)の逆T字型コンクリート用壁を設置する。
そして、本件予定地全体を南北に区分し、まず、南側部分から埋め立てていく計画である。
具体的には、本件性分上のほぼ中央部付近で谷が狭くなっている場所に高さ約5m程度の台形状の仕切堰堤(盛土)を築き、その内側(南側)に廃棄物を埋め立てていき、仕切堰堤と同程度の高さまで埋め立てれば、仕切堰堤に傾斜にあわせるようにその上に更にもう一段仕切堰堤を築いて同様にその内側を埋め立てていくことを4段まで繰り返し、本件処分場の南側部分が標高約112m付近まで埋め立てられれば、本件処分場の残った北側部分の埋立に取りかかり、同様に、擁壁の背後に築かれた擁壁保護土堰堤の内側(南側)を埋め立てていき、以後は同様に仕切堰堤を築いて埋め立てていくことを繰り返して最終覆土を含めて最も高い所で標高約120m付近まで埋め立てるというものである。その結果、最終的には、擁壁の天端から約30度の傾斜を持つ法面が形成されることとなる。なお、埋立は10年で完了する予定である。
廃棄物は、1日分の量を3m以下の厚さで敷きならし、即日50㎝以上の覆土をするいわゆるサンドイッチ方式によって埋め立てる計画である。
(以上につき、甲2、3、乙6〈枝番を含む〉、36、44の1~12)
(イ) 本件予定地の地盤の問題
埋立地の基礎地盤の性状は、埋立地の安定(又は沈下)を左右する重大な要素であるが、本件予定地の表層を形成している第四紀沖積層は砂質土で、層厚は3.75mから2.5m程度、地耐力は1㎡当たり1ないし3トン程度である。
その下の古第三紀層は堆積岩層で砂岩・砂質頁岩・頁岩等からなり、上部の層1ないし3mは風化した軟質岩や一部に柔らかい炭質頁岩を挟む地層であり、地耐力は1㎡当たり20ないし30トン程度である。それより深部は累硬度が漸増し、地耐力は1㎡当たり40トン以上の値を示している。また、本件処分場には、石炭採掘の跡があるが、採炭は坑道から更に小さな坑道を延ばして周辺を掘り進んで行くため、本件予定地周辺の地下には採炭(切り羽)跡が広がり、しかも多数の坑道が縦横に走っていると推認できる。
そうすると、上記の採炭跡があることを度外視しても、本件処分場の埋立の高さ及び廃棄物の1㎡当たりの平均重量などからすれば、本件予定地の全体にわたって表層の第四紀沖積層及びその下の古第三紀層の上部1ないし3m(全体で4ないし6m)については、廃棄物の埋立(仕切り堰堤、覆土等を含む。)による加重を支える地耐力が不足しており、地盤強化対策が必要である。
(以上につき、甲2、3、110、113、114、
乙6〈枝番を含む〉、36、原審証人北島隆)
イ 被控訴人は、擁壁の設置や産業廃棄物の埋立に対して、どの程度地耐力が不足しているのかは必ずしも明らかではなく、仕切堰堤下部を除けば、仮に地耐力が不足して地盤が陥没したところで、陥没した部分は土砂や安定5品目で埋まるだけのことであるから問題とならない旨主張するが、仕切堰堤の安定は、埋立計画の大前提であるばかりでなく、仮に埋めたてた廃棄物、土砂の重量及び埋立層に含まれた水の重量で地盤が沈下すれば土砂と廃棄物が地中を移動して埋立部分が不安定をなり、地表に亀裂を生じたり、地表の排水設備が傾斜し、その結果地下水の流れが変化して新たな水道ができるなど、不測の事態を生じかねないのであって、こうした状況を無視ないし軽視する控訴人の態度には問題があるといわなければならない。さらに、控訴人は、地耐力不足の対策に関しても、擁壁の設備や産業廃棄物の埋立による地面に対する加重を予測して地盤改良を考え、軟弱地盤の撤去と代替の粘性土の搬入、ソイルセメントによる固化を考えているというものの、具体的に、地盤についてどの様な調査をし、どの程度の表土をどこに処分して、どこからどの程度の粘性土やソイセメントを調達して、どう施工するかについての計画の内容は皆目明らかでない。
(甲3、110、113,115、乙〈枝番を含む。〉、27,28、36、原審証人北島隆)