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愛の抜け殻に
壊れぬように覆い被さり
崩れてしまうのを必死に雨風から防いで
つなぎとめるかのごとき日々。

セミの抜け殻と同じで
本体はもう空の遥か彼方に飛び去っている。
そうと知りつつ抜け殻を
必死に守りぬかんとするのは
その抜け殻こそが彼にとっての愛そのものであるがためである。

ここで言う愛とは、狭義の愛、つまり男女に於けるそれのみを指すのではない。
人の、好意を以って接するあらゆること、もの、人にあっては、全てそこに何らかの愛があるものと思われる。

その愛は永遠ではなく、いつか彼の下にある抜け殻のように、古い殻を捨て去り、何処かへ飛び去る時が来る。
ある者はそれに手を振り別れを告げ、またある者はそれを必死に追いかけ空へ飛び立つ。
或いは彼のように、抜け殻を未だ必死に愛でる者もあるかもしれないが、俯瞰して見ればその姿は最も奇異である。且つ、無意味である。

そしてそれを、彼もまた、承知している。

・・・にも拘らず、まるで病的なまでに彼は、愛の抜け殻を庇い続ける。

それしかできない。

それすらできないとなれば、彼は生きる意味を失い、発狂するやもしれぬ。
たとえ抜け殻であろうと、彼にとってはその抜け殻自体が、生きる糧であるという、脆弱で不毛な事実があり得るのである。