拘束ゼロという拘束 | 琵琶湖のほとり こうづき行政書士事務所

琵琶湖のほとり こうづき行政書士事務所

滋賀県の社会福祉士×行政書士。話題はこんな感じのゆるいブログです→

成年後見 相続 
建設業 産業廃棄物収集運搬業 
ツーリング 読書
カフェ巡り SixTONES
空手 アゲハチョウ幼虫観察

施設入所申請に伴い、判定会議から面談、という流れがありますが、ここではご本人の生活状況や介護の状態、その他特記事項、などなどを質問されます。
で、面談したからと言ってすぐに入れるものではなく、そこから待機期間を経てベッドに空きが出たらようやく…というもの。

本日は被後見人さんのその面談で、ご本人にかわり私が出向いたのですが、意外に引っかかる内容というのが「身体拘束」に関するもの。

拘束というと、パッと思いつくのが身体から自由度を奪った「縛る」「固定する」というものもそうですし、ベッドからの転倒予防のための柵や、車椅子に設置するテーブルなんかもそれにあたる。
その他、薬で落ち着かせることも、隔離したりすることもそうですね。
体を引っ掻いてしまうため、手にミトンを着用したり、服を脱いでしまうためにつなぎ服を着せるというのもそれに当たります。

しかし本当に一切拘束しないなんてことは、物理的に無理があるのが現状。
ベッド柵をつけなかったから床に転落して骨折したとか、点滴を抜いてしまったりとか、その他更なる危険な事態が起こることもあり、一概に否定するというのも現実的ではないし、実際は「緊急やむを得ない場合」は認められる要件ともされていて、その3つの要件が

1.切迫性 :本人または他の利用者の生命または身体が危険にさらされる可能性が高いとき
2.非代替性:身体拘束以外に代替する介護方法がないこと
3.一時性 :身体拘束は一時的なものであること


です。
もちろん、本人家族にしっかり説明をして同意を得た上で最低限の拘束です。
でも、これらを判断するのは個々ではなく施設全体となり、その判断が一切なしとした場合は本当に拘束の定義に当たるものは徹底的に排除。
そうなると行くあてもない。

堂々巡りになりますね。
なんとか他に対策を考えると言っても、そこまでの余裕がないんですよね、現場には。
なので、人手不足を理由にした、職員の負担軽減のための拘束と見られてしまうこともあるのでしょう。


何が正しいのか、分からなくなることもしばしば。
切迫性に該当するやん?と思っても、受け入れ側がNOならどうしようもない。
拘束という言葉からはどうしてもマイナスイメージしか感じられないけど、安全を守るためのガードという要素も全く無いとは言えないんじゃないか?と、個人的には思う。