まず、ハエやアブの仲間の写真をお見せします。
![イメージ 1](https://stat.ameba.jp/user_images/20191109/07/kozoshoku/32/c1/j/o0802058714635126054.jpg?caw=800)
![イメージ 2](https://stat.ameba.jp/user_images/20191109/07/kozoshoku/3c/98/j/o0802058814635126057.jpg?caw=800)
ハエは一般に、このような赤黒い目をしています。
![イメージ 3](https://stat.ameba.jp/user_images/20191109/07/kozoshoku/61/c1/j/o0802057914635126058.jpg?caw=800)
![イメージ 4](https://stat.ameba.jp/user_images/20191109/07/kozoshoku/58/21/j/o0802061514635126060.jpg?caw=800)
しかし、ハエやアブの仲間には、こんな綺麗な緑色のものもいます。上は、アシナガバエの仲間で、下はアオメアブです。
![イメージ 5](https://stat.ameba.jp/user_images/20191109/07/kozoshoku/2f/1b/j/o0811062014635126061.jpg?caw=800)
![イメージ 6](https://stat.ameba.jp/user_images/20191109/07/kozoshoku/76/df/j/o0802054414635126063.jpg?caw=800)
また、目にこんな不思議な模様のあるものもいます。上はツマグロキンバエ、下はオオハナアブです。いったい、どのような仕組みでこのような変化があるのでしょう。
そのために、まず、ハエの目の仕組みについて説明してみましょう。ハエの目は複眼と言って、小さな個眼が集まってできています。一つ一つの個眼は次の図a)のような仕組みをしています。
![イメージ 7](https://stat.ameba.jp/user_images/20191109/07/kozoshoku/e1/53/j/o0795057614635126065.jpg?caw=800)
真ん中の赤い丸の部分だけちょっと変わっていて、上と下で異なる視細胞になっています。上はR7で、下はR8と呼ばれています。従って、ハエの個眼には視細胞が全部で8個あることになります。R7とR8は中心軸に入ってきた光を検出するので、光の方向を見分け、また、後で説明するように色の識別を行っています。それに対して、R1-6は中心軸からずれた光を検出するので、動きを検出するといわれています。私たちがハエの傍を通ると逃げてしまうのは、R1-6の働きだったのですね。
これら視細胞を取り囲むように色素細胞があります。光が上から入ってきたとき、色素細胞が狭くなっている部分が絞りの役目を果たします。この色素細胞の中にはオモクロームやプテリジンという赤い色素が入っています。ハエの目が赤いのはこの色素によるものなのです。色素は顆粒状になっていて、色を濃くしたいときには細胞の中で顆粒が分散し、薄くしたいときには凝集します。こうして、明るさの調節もすることができるのです。
ここまでは、構造色はあまり関係していませんでした。もう少し詳しいハエの目の色の仕組みや構造色の話は、長くなるので、次回にします。乞うご期待(SK)
【参考文献】
D. G. Stavenga, J. Comp. Physiol. A 188, 337 (2002).
D. G. Stavenga and K. Arikawa, PLoS Biol. 6, e115 (2008).
中越英樹、ライフサイエンス 新着論文レビュー.
洗幸夫、家屋害虫 18, 112 (1996).
構造色研究会のホームページ:http://mph.fbs.osaka-u.ac.jp/~ssc/