アシュレイ(リンジー・ローハン)は生まれ付いての幸運の持ち主。アパートから一歩外に出れば小雨が止み、通りで手を挙げれば混雑した YC の大通りでもたちまち空車のタクシーが捕まる。今日もエレベータ事故(!)で会議に遅れた上司(ミッシー・パイル)や同僚達の代わりに、超有力ミュージック・レーベルの社長(フェイゾン・ラヴ)へ代理でプレゼンを披露し大成功。彼女はゴボウ抜きの大出世を成し遂げる。


一方ジェイク(クリス・パイン)は生まれ付いての悪運の持ち主。やる事なす事がすべて裏目に出る彼は、緊急医療セットをバックパックに入れ常に持ち歩くほど、もらい事故も多い。今日は、自分がマネージャ権広報を努めるギターバンド(McFly)をなんとか売り出そうと、セントラル・パークを散歩中の超有力ミュージック・レーベルのレーベル社長へ近づきデモCDを手渡そうするのだが、誤解が誤解を呼び警官に捕まる始末。


そんな正反対の星の下に生まれた二人だったが、ある日アシュレイが企画したプロモーション仮装パーティで、お互い相手の事をよく知らないままキスを交わしたとたん、二人のツキが入れ替わってしまう。急に何をやってもうまく行かなくなったアシュレイは、占い師の助言により、キスした相手を突き止め、キスを仕返して運を取り戻そうと画策するのだが…




歌も映画も大ヒットし、芸能ゴシップの扱いはスーパー・スター級のリンジー・ローハンが、20歳を目前に初めて"大人"の役に挑戦することでも話題になった、ファンタジー・ロマンス・コメディ。演出は「デンジャラス・ビューティー 」や「10日間で男を上手にフル方法 」で知られるドナルド・ペトリ監督。


リンジーと言えば、今でこそ歌手・芸能人としても有名ですが、映画人としてのキャリアも長く、20歳にしてすでに立派すぎる実績も残しています。劇場での興行収入こそ66億強とやや低調に終わったものの、ディズニーの期待にしっかり答えた実質メジャー・デビューの「ファミリー・ゲーム/双子の天使 」、制作費26億に対して110億円強の興行成績を残した大成功作「フォーチュン・クッキー 」、予算15億とインディ・クラスながら斬新なスタイルの学園ドラマ・コメディで29億を稼いだ「彼女は夢見るドラマ・クイーン 」、続いて予算17億で86億を稼いで安定した集客力を見せかつ評論家からも絶賛された「ミーン・ガールズ 」のヒットが続き、更にブロック・バスターを狙った大衆エンターテイメント作「ハービー/機械じかけのキューピッド 」でも予算50億を越す66億の興行成績を記録。


ディズニーの天才子役から、商業娯楽作品、インディまで幅広い出演経歴を重ねながらも、歌を歌えばまたまた大ヒットした、ここまで順風満帆のリンジーのキャリアを振り返りつつ、その彼女の新作となる本作もそこそこ期待して見に行ったのですが、結果から話すと面白く感じた部分もあり、やや不満に感じる部分もあり、という印象。


アシュレイやジェイクがツイてる時の、何でもトントン拍子に運ぶ軽やかな上昇感は心地いいし、ツイてない時の畳み掛けるようなドタバタ加減も笑いを誘われます。いろんなアイデアが詰め込まれた設定も、個性的な脇役のキャスティング(東京生まれのサミーラ・アームストロングに注目)も、評価できる部分は多かったと思います。


そんな中で圧倒的に不満に感じたのは脚本の整理不足。リンジー演じるアシュレイが、コネも学歴も無い中から運だけでキャリアを掴んで行くシークエンスが前半にあって、これは対象オーディエンス(女子中高生)を考えると当然組み込みたいエピソードです。でも本来ならそれだけでも結構なボリュームになるわけで、これに加えて、ツキが無い相手の男の不幸を描写し、続いてツキが入れ替わった後のドタバタ、その後何が起こったかを理解しそれを解決しようとする下り、を娯楽作品の尺である2時間弱に詰め込むのは、どんなに腕の立つ演出家でも相当大変そうです。


聞いた話によれば、元々「Lady Luck」というタイトルだったオリジナルの脚本では、主人公は既に人生で成功を掴んだ大人として書かれていたそうです。想像するに、当初の設定よりずっと若いリンジー・ローハンを主役にキャスティングした結果、じゃあ若い女性がキャリアを掴む部分も入れようか、となって、またどうせ貧乏マネージャがバンドを売り出す設定もあるなら、本当のバンドのデビューも映画に絡めてみようか、となり、… と、そんな具合に大人の事情でアレコレ詰め込みすぎたんではないかと。良質のコンセプトに、力のある脚本家と演出家、それに集客力のあるキャスティングと十分な制作費と広告宣伝費、と正しい要素要素を積み重ねていっても、インテグレーションで失敗する事もある、という映画ビジネスの微妙さを改めて考えせられたりしました。


興味を引くたくさんのエレメントがぎっしり入った映画で、その1つ1つは面白いものの、1本の作品として振り返ると、かなり荒削りな所も多かったかも。そんなこんなを反映してか、予算45億の中規模作品ながら、公開5週目にしてベスト10の圏外へランク落ち、累計興行収入が16億ちょっと、は、惨事に近い低成績でしょう。


スラップスティックな笑いもあり、ロマンスもあり、「セックス・アンド・シティ」のリファレンスなど"進んだ"センスも盛り込まれており、欠点も目立つものの能動的に楽しむ分には面白さも多い作品だったと思います。


IMDb: Just My Luck
Official Site: 20th Century Fox


JML1


JML2


JML3


Just My Luck

大手清涼飲料水メーカーに勤務するボブ(ロビン・ウィリアムズ)は、気が優しく良心的、真面目で誠実な2児のパパ。昔は大の仲良しだった娘のキャシー(ジョアンナ・"Jojo"・レベスク)はすっかり反抗期で、ロクに口も聞いてもらえないのが気がかり。末っ子の息子カール(ジョシュ・ハッチャーソン)は同級生より体が小さいのを気にしてベンチプレスで体を鍛えるのに余念がない。

そんな子供達と嫁のジェイミー(シェリル・ハインズ)らが楽しみにしてきたのが、夏休みのハワイ家族旅行。

しかし出発の直前になってボブの上司は突発でコロラドへの出張を命じる。社内一プレゼンのうまいボブがプロジェクトを前に進めるのには必要とばかりに上司は「断るなら首」とあくまで強引。家族の生活を守るため、どうしても断りきれなかったボブは急遽キャンピング・カーで家族と共にコロラドに行く事を思いつく。上司には家族同伴であることを隠し、一方家族には実は仕事の出張のついで、という事実を隠したまま、
ボブがハンドルを握る RV 車はコロラドへの道をひた走るのだが…


チャーリーと14人のキッズ 」(主演エディ・マーフィ)の脚本で知られるジェフ・ロドキーのシナリオを、「ゲット・ショーティ 」や「メン・イン・ブラック 」フランチャイズで知られるバリー・ソネンフェルド監督が演出したファミリー・アドベンチャー・コメディ(ちなみに、劇中ボブが借りてきたレンタル RV 車の横にでっかく印刷された広告の絵は監督の顔写真とのこと)。


キャストはなかなか豪華な面子が揃っていて、娘役のジョアンナ・"JoJo"・レベスクは史上最年少で全米1位を取ったシンガー、息子役のジョシュ・ハッチャーソンも「ザスーラ 」等で最近よく見る顔です。旅の途中で遭遇する、明るく健全過ぎて気持ち悪い一家の父親役にジェフ・ダニエルズ(実際にキャンプ大好き人間で、撮影現場に自家用 RV で現れたとか)、母親を演じるクリスティン・チェノウェスはブロードウェイの舞台やTVドラマでも活躍する才女です。


一家が旅に出かける前のセットアップはややモタツくものの、絶妙に散りばめられたイベントがしっかり有機的につながった脚本になかなか力があります。ロビン・ウィリアムズを筆頭に役者も破綻なくアンサンブルをまとめていて、映画全般の印象は悪くないです。
ソネンフェルド監督流の、引き気味に傍観する視点の置き方もあって(ユルい、と言うのとも微妙に違う)、一点突破する尖った爆発的な面白さには欠けるものの、健全な中に適度に毒も盛られた作りは、自分の好みだったりもします。

予算50億(広告宣伝費を含め65億とする情報もあり)で、公開7週目にしてまだベスト10圏内にとどまり累計興行成績は65億。まずまずヒットしていると言えるのでしょう。
98分とタイトに刈り込まれた編集のわりに忙しなさはあまり感じないという、ソネンフェルド節の良さをじっくり堪能する向きに特にお勧めの、"ほどほど"映画です。いや、自分はとっても楽しめました。


IMDb: RV
Official Site: Sony Pictures

RV1


RV2


RV3


RV4


RV

元副大統領で、2000年の大統領選に敗れた民主党のアル・ゴア上院議員は、群集に向かってゆっくりと力強く話し始める「アル・ゴアです。私はかつての次期アメリカ合衆国大統領でした」群集がわっと沸き会場が笑いに満ちるとすかさず「自分としては笑わせる所ではないと思ったのだけど…」とトボケ、さらに大きな笑いを呼ぶ。


TV監督(ネーヴ・キャンベルが出演した「サンフランシスコの空の下 」=POV、他)でキャリアを積んだデイヴィス・グッゲンハイム監督(あるいはエリザベス・シューの旦那としても有名)が構成したドキュメンタリー映画。

アル・ゴア議員の行う地球温暖化のプレゼンテーションをメインに紹介しつつ、その周辺も合わせて紹介し、取り込まれている作り。

映画の中でも内容が紹介されるプレゼンテーションは実にうまく構成されていて、例えば30年前に比べ大幅に積雪が減ったキリマンジャロの頂を移したり、CO2濃度のグラフがここ10年間で振り切れるほど上昇している様を、視覚的に様々な工夫を凝らして観客に提示していきます。


それにしてもアメリカの政治家は話が巧い。自分の勤務する会社でも、上級副社長クラスまで出世する人間は、発言にいちいち説得力があるし、部下の意見もちゃんと聞く(というか聞いて理解したような気にさせる)話術を持っている人が多いように思えます。アル・ゴア議員も、発言のペースや声のトーンを自在に操り、時に慎重に、時に軽やかに、身振り手振りも加えて、見事なプレゼンテーションさばきを見せてくれます。大統領選の頃には、鉄仮面のようだと揶揄された感情の起伏の少なさが信じられない程で、まさにザ・カリスマ、って感じ。


話術以外でもプレゼンの技巧は、サスガ文句なしというレベルで、例えばマット・グローニング(「ザ・シンプソンズ」の原作者)のキャラでリサの声(イヤードリー・スミス)をつけたショート・アニメに大笑いさせられました。また「デイ・アフター・トゥモロー 」の劇中で説明されていたけれど自分にはさっぱり???だった「なぜ地球温暖化→氷が溶ける→塩分濃度の変化→氷河期を呼ぶ(呼んだ)のか」という説明も非常に丁寧に説明されて、なるほど、と納得したのでした。


一方でデイヴィス・グッゲンハイム監督が加えた"演出"部分には、ちと疑問が残る箇所も。1989年に当時6歳の息子が遭遇した交通事故のエピソードや、親戚のお姉さんが肺癌で無くなった件などは、彼の使命感を説明する原理としてうまく作品にフィットしている部分もありますが、その見せ方は泥臭くてあまりスマートではありません。ぶっちゃけて、ゴア氏のプレゼンテーションの内容以外に付け加えられた部分は、この作品をドキュメンタリー映画として構成するには必要不可欠な糊となる部分ですが、そのいちいち全部がぎこちなくて、あんまりうまくありません --たとえば 04 年のオスカー・ノミネート作「The Weather Underground 」などは、ドキュメンタリー映画の完成度を本作と比べると神レベルだと思う--


劇中で紹介されているプレゼンの内容自体にもいくつか疑問に感じる所があって(映画化の編集による端折りの為なのかもしれませんが)、例えば自動車排ガス規制の各国比較が出てきますが、その規制内容が直接温暖化効果のあるガスに対するものなのかどうかはよく分かりませんでした(グラフには優等生として日本が書かれていましたが、日本のってNOxの規制でCO2排出量ではなかったよーな)。多少流れが悪くなっても、正確さを損ねかねないような編集は避けて欲しかったのに、とも思ったりしましたです。


100分とコンパクトにまとめられていて、見て損はない内容だと思います。
公開第1週目は4枚だったスクリーン数も、先の週末で122枚まで笛、累計興行収入は約4億だそう(この数字、良いんだか悪いんだがよく分かりません)。でも、純粋にドキュメンタリー映画としては、水準以上とは言えないよなぁ(=例えば共和党支持者がこの作品を素直に納得するだろうか?)、などと思いながら劇場を後にしたのでした。


IMDb: An Inconvenient Truth
Official Site: Paramount Classics

AICT1 AICT2

AICT3 An Inconvenient Truth

軽率でズルでお調子者、アライグマの RJ (=アール・ジェイ)(声:ブルース・ウィリス)は、空腹に耐えかねて危険を冒し、寝入っていた熊のヴィンセント(ニック・ノルティ)の寝床から食料をこっそり盗み出そうとする。欲を出し過ぎ寸での所で失敗し掴まった RJ に対し、ヴィンセントは6日以内に同じだけの食料を用意しなければ替わりにお前を食べるぞ、と脅される。
無理難題に頭を抱え途方に暮れている RJ の前に現れたのは、冬眠明けの亀やハリネズミ、フクロねずみ、スカンクとリスの一団だった。注意深く用心深いリーダー格の亀(声:ギャリー・シャンドリング)は、今まで持って生まれた勘と慎重さで危機を回避してきたが、そんな彼を驚かせたのは森の真ん中に突然出来ていた長い生垣。すぐ間際まで迫った宅地開発で彼らの住む森は大幅に縮小されていたのだ。事情を飲み込めずなすすべを知らない"田舎物"の一行を見た RJ は、彼らをだまし新興住宅地から人間の食料をどんどん盗んで6日の期限内にヴィンセントの要求を満たそうと画策するのだが…


ドリームワークス SKG によるファミリー向け3次元アニメ。米国では「ダ・ヴィンチ・コード 」と同じ週に公開され、公開3週目以降はダ・ヴィンチを上回る集客力を見せ、今週までの累計興行収入は130億強。

演出は「シンドバッド 7つの海の伝説 」や「アンツ 」のティム・ジョンソン監督。元々の脚本はビル・マーレイとハロルド・レイミスのコンビを想定して書かれたそうで、その後ジム・キャリー主演、2005年末公開で企画が走るものの彼が降板。その後をブルース・ウィリスが埋めたんだそう。声の出演は、スティーヴ・カレル、ワンダ・サイクス、ウィリアム・シャトナー、ユージン・レヴィ、トーマス・ヘイデン・チャーチなど。


振り返って考えるに、ディズニーが1994年の「ライオン・キング 」の超大ヒットで確立した 2D アニメ映画儲けの方程式(大人の鑑賞に堪えられるクオリティ+モラル・ドリブンな安心プロット+ファスト・フードとのタイアップ)は数年の間に渡って絶大な力を発揮。しかし結局 3D アニメの安定した集客力の前に 2D アニメは破れ(累計興行成績で比較すると 3D はとうの昔に 2D を抜いている)、低予算で小ヒットを狙うニッチ市場へと後退したわけです(ディズニーによるピクサーの買収劇も、今考えれば 2D アニメの敗北宣言なのかもしれません。そう言えば前述の「シンバッド」も米国で大ゴケして日本では劇場未公開だとか)

3D アニメという枠で括ると、この作品も、しばらく前に公開されたディズニーの「The Wild 」にしても、今週始まったばかりの「カーズ 」にしても、いずれも 3D アニメの優れた集客力パフォーマンスを見せています。一方で近年各配給会社のドル箱となっている DVD の売り上げについては、3D アニメは実写映画に比べて劇場興行収入に対しての割合が非常に低くなる作品が多いそうです。劇場に足を運ばせる力は強くても、繰り返し観たいと思わせるまでには至らない、という事なのかもしれません。


本作品も、明るく楽しい演出に無駄のない編集でアニメーションの動きを味わえ、期待を裏切らない出来ではあるのですが、期待を大きく超えるあと一歩の深みと魅力には欠けているかも、と思わなくもなかったです。米EW 誌のリード映画評論家であるリサ・シュワルツバウム女史は、黒のパンツスーツ+スタバのカップに口紅の跡をつけ SUV を乗り回す、"敵役"のキャリアウーマン=グラディス(声:アリソン・ジャネイ)に対する製作者側の微妙な敵意を感じとったと書いていました。言われてみればその手の潜在意識のかすかな流出に微妙な引っかかりを覚えていたのかもしれまえん。


日本では8月5日よりの公開予定だそうですが、邦題の「森のリトル・ギャング」はまだいいとして吹き替えの役所広司、武田鉄矢、石原良純、夏木マリってどういう事…?


IMDb: Over the Hedge
Official Site: DreamWorks

Over the Hedge


2001年9月11日、アメリカ国内線の4機がハイジャックされ、2機はワールド・トレード・センター、1機はペンタゴンへと突っ込んだ。残る1機、ユナイテッド 93便はターゲットのワシントンDCには届かず、ペンシルベニア州に墜落した…


911(ナイン・イレブン)テロから5年を経て、この事件をモチーフにし商業映画の初めての公開となったのが本作品。脚本と演出を担当したのは、1972年に起きた北アイルランドでの惨事をドキュメンタリー風に撮影した「ブラディ・サンデー 」が絶賛されたポール・グリーングラス監督。
企画はポール監督自らが、事故委員会の発表や、フライトレコーダーの記録、乗客が家族にかけた電話の内容などを調査、検討して立案。持ち込まれたユニバーサルはすぐに15億円の制作費を用意し承諾したと言う。監督は同社が配給だった「ボーン・スプレマシー 」で商業的な成功も収めていて、これ以上の適任者はない、という判断だったのでしょう(そして本作の反響を考えるにおそらくその判断は正しかったように思われます)


出演者の中には知名度の高い役者は含まれておらず、一方で連邦航空局のベン・スライニーのように本人が本人役で出演したり、また客室乗務員を演じた女性の中には現役のユナイテッド航空のスッチーが居たりするんだそうな(確かに、あの微妙なお行儀の悪さはひどくリアルだったかも)。


撮影中は、乗客側とテロ側のキャストを別のホテルに泊め、別のレストランで食事させ、撮影以外の場所で顔を合わせないようにしたそうで、実験舞台演劇のように、個々のキャストが自分の演じる人物のリサーチ結果を元にアドリブも入れてシーンを作りこんで行ったんだとか。

個人的にはドラマの主体であるハイジャックされた機内の人間ドラマより、サブ・プロットである大混乱した航空管制の現場の様子に釘付けになりました。危機管理と言うと日本は諸外国に比べ…とよくけなされますが、アメリカだってメタメタだったんジャン、と思ったりしましたです。


非常にお行儀良く全方位に向けて正しくキチンと作ってある作品で、ポール監督の力量を改めて評価したわけですが、一方で市販ビデオカメラを手持ちで撮影した画面が延々続く機内のシーンは、映像酔いが酷い自分には拷問のようでした。結局米国では、どこからも大きく非難される事もなく、反面で商業的に大きな成功を収めたわけでもなし(現在までの興行収入は30億弱との報道あり)。公開前のピリピリした空気は無事軟着陸したようですが、配給会社のユニバーサル的には最悪の事態ではないが思った程は稼げなかった、という所なんでしょうか。
同じ議論を呼んだ"問題作"のソニー「ダ・ヴィンチ・コード 」の成功と比較すると、なんか頷けない物も。そう言えばパラマウント製のオリバー・ストーン監督、ニック・ケイジ主演の「ワールド・トレード・センター 」も米国8月公開ですが、こちらは果たしてどうなりますか…


NYC の劇場で本作の予告編を流したら大不評で即中止になったニュースを聞いたり、あるいは製作側の依頼で本編上映前の予告編(トレイラー)を一切流さなかったり、また自分が見に行った劇場では出口にティッシュが置いてあったり、と、ちょっと異常にも思える神経質さを目の当たりにして、やっぱり米国人は未だにこの事件をきちんと整理しきっていないのだなぁ、と思ったりもしたのでした(ハイジャックの主格を演じた役者さんが米国のプレミア試写に行こうとしたのに、テロリストと疑われて入国できなかったそうですし)。


ちなみに好奇心からちょっと調べてみたら、現在ユナイテッドの93便というコードは使われていないようです。ま、さすがに乗る方も嫌だろうけど。邦題は「ユナイテッド93」となり8月12日から公開予定だそうです。


IMDb: United 93
Official Site: Universal

UT93a UT93b


UT93c United 93

ライトニング・マックイーン(オーウェン・ウィルソン)は新進気鋭のNASCAレーサー。ルーキーながら三つ巴のチャンピオンシップ争いに加わり、いよいよシーズンも最終戦を迎えることに。次の開催地カリフォルニアへ移動する途中、アクシデントから名も無い辺ぴな田舎町へと迷い込み、そこで不機嫌な長老ドック・ハドソン(ポール・ニューマン)や明るく知的なサリー(ボニー・ハント)らと顔を合わせる事になるのだが…


ディズニー・ブランドで配給されるピクサー製作の最新 3D アニメ。シンデレラ城のロゴで始まる作品で、もちろんお子様OKのGレーティング。
ダン・ フォゲルマンの脚本を「モンスターズ・インク 」や「チキン・リトル 」のロバート・L・ベアードが監修し、演出は「トイ・ストーリー 」や 「バグズ・ライフ 」で知られるジョン・ラセター監督が担当。ランディ・ニューマンのサントラ、とガチに固めな製作スタッフで、期待通りに安定した仕上がりを見せます。


お子様向けの表情の裏に、子供をつれてくる親へのおもねりが隠れている、というのはいつものお約束。エッジが尖ったキラビヤカなNASCAレースシーンから、国道66号線沿いの田舎町で黄金の60年代への哀愁、胸を時めかせながら恋人とドライブするワインディング・ロード、農場で道なき道を自由奔放に走る楽しさ、土ぼこりを巻き上げながらタイヤを滑らすダート、と車にまつわる様々なシーンを感情豊かに取り込んだ、車文化に対するオマージュが散りばめられ、製作者自身が本当に作りたい物を楽しみながら作りこんでいる爽やかさが感じられます(この点、大人の計算高さが鼻についた「Mr.インクレディブル 」よりずっと高得点) ← 例えば監督のお父さんは昔シボレー(GM)の部品部門のマネージャだったそうで、車とアメリカ人の緊密さを改めて考えさせられる場面も多かったように思います。


ご存知の通り、つい先日ピクサーは7千4百億でディズニーに買収され、今やディズニーの一部門。何かと金勘定にうるさかった前CEOのマイケル・D・アイズナーと対立が絶えなかった(例えばトイ・ストーリー3を安価に作り捨ててビデオ・リリースしようとしたディズニーを必死で止めようとしていたピクサーの関係のネジレが噂になっていました)ピクサーですが、今はピクサー側にクリエイティビティーの完全なコントロールが保証されている体制になったとかで、とりあえず仲良くやっているようです → 93年に同じくディズニーに70億円で買収されたミラマックのその後(マイケル・ムーアの「華氏911 」やケヴィン・スミスの「ドグマ 」の配給をめぐり激しく対立→すっかり死に体)を考えるにつけ、当たりが続いているうちはいいんだろうけど将来的にはイロイロありそうだなぁ、と横から勝手な心配などもしています。


ところで、ピクサーはアニメーション作成用にグリッド化された専用システムを構築し、その処理速度は前作「Mr.インクレディブル 」の4倍早くなってるそうですが、それでも1枚の絵をレンダリングするのに17時間かかったそうです。って事は、24フレーム/秒にリアルタイムで表示するにはあと、146万8千8百倍の演算能力が必要…映画品質でリアルタイム演算って、PS3 でもまだちょっと足りそうにないです。


トイストーリーの原案でも知られるジョー・ランフトが公開直前に交通事故死したり、と、ちょっとアレなニュースもあったりしましたが、劇中には楽しい遊び、例えばシューマッハがフェラーリ役で声を当てていたりして(あ、もちろん兄のミハエルの方)、とても楽しく観劇できました。邦題は「カーズ」で7月1日公開だそう。万人にお勧めです。


IMDb: Cars
Official Site: Walt Disney Pictures

PS 冒頭のおまけ併映短編アニメ(One Man Band )もとっても楽しめました。例によってエンディング・ロールにおまけがてんこ盛りなのであわてて席を立たないよーに


cars1 cars2

cars3 cars

小さい頃は虐められっ子で、絵を描いて現実逃避する事で自己を確立してきたジェローム(マックス・ミンゲラ)。高校卒業後、東海岸にあるアート・スクールに入学するのだが、芸術を目指す同級生達は揃いも揃ってド変人ばかり。やはり相当な変わり者である先生(ジョン・マルコヴィッチ)にはちっとも褒めてもらえず、クラスメートからは自分の作品を散々ケナサれ、自分の才能や将来に悩む彼。
そんな所に追い討ちをかけるように悪友(ジョエル・デヴィッド・ムーア)に紹介されたのが卒業生でいまだに鳴かず飛ばずの売れない中年アーティストのジム(ジム・ブロードベント)。
スサみきった人格にビビリながらも、彼のキャラクターや作品に不思議な魅力を感じるジェローム。また、憧れのマドンナで、クラスへ時々デッサン・モデルとして顔を出す美女オードレイ(ソフィア・マイルズ)と仲良くなれ、彼の前に一筋の光が差し込み始めたかに思えたのだが…


異色の青春映画「ゴーストワールド 」の演出テリー・ツワイゴフ監督と脚本のダニエル・クロウズのコンビが再びタッグを組み製作した、美術学校を舞台にしたヒネくれてニヒルなアイロニカル・コメディー。主演の男の子、マックス・ミンゲラはあのアンソニー・ミンゲラ監督のご子息だそう。ヒロインを演じるソフィア・マイルズ嬢と言えば「サンダーバード 」のレディ・ペネロープ役、また最近ではジェームズ・フランコと共演した「Tristan + Isolde 」(←なかなかよろしかった)が印象的。


脇にジョン・マルコヴィッチやジム・ブロードベンドの二人を配し名前一覧からはそこそこのキャスティングにも見えますが、ソーラ・バーチ、スカーレット・ヨハンソン、そしてスティーヴ・ブシェミの3人が瑞々しい演技を見せた「ゴースト…」を思い返して比べると、役者の層の薄さが少し気になります(ブシェミはちょっぴりカメオ出演するのでお楽しみに)。


バッドサンタ 」でも発揮されたテリー・ツワイゴフ監督の悪ふざけは本作でも爆発。底意地の悪い皮肉や当てこすりが特にクラスメート達のキャラクター造形に投影されていて、ゲラゲラ笑わされました。
クラス一下手な生徒が提出した、今話題の「はいだ しょうこ画伯」もびっくりな稚拙な絵を、口だけ達者で手はまるで動かない屁理屈馬鹿が絶賛するシーンなど、今思い出してもめちゃくちゃ可笑しい。そういう意味では満足した部分も多いです。


一方で、事前に期待したほど満足感が観劇後に得られない不満も。面白おかしく主人公のピア・プレッシャーと劣等感を描き、下世話で劣情や嫉妬に負ける若者達を登場させ、清純な憧れのヒロインを絡ませ、と、青春映画の王道を行く設定で始まりながら、校内で発生した連続殺人事件を使ってミステリー・サスペンスの味付けもあり、最後は才能よりも話題性が物を言う美術界の批判を入れて、と、驚くほどキレイにまとめられている物語ではあります。でも、コギレイにキチンとまとまり過ぎているせいなのか、不思議と個々のインパクトは少し物足りない印象。前フリが思わせぶりなだけに、で、結局言いたい事はこれ?、みたいな肩透かしのオチが、個人的にちょっと合わなかった、というのもあるんでしょうけど。


「ゴースト…」の繰り返しではなく、違う方向性を探りに行ったテリー監督の勇気は認めたい所ですが、深みと広がりがあった「ゴースト…」での渋みがすっかり取れた結果、単にスケールの小さい普通の商業作品的な味気なさが残った部分にはマイナス点かなぁ。


受ける人には受けそうですが、あんまり一般受けはしそうにない気もしましたです。アメリカン・インディが好きな人にはお勧めしますが、「ゴースト…」を期待すると、ちょっと違う~、となるかもしれません。


IMDb: Art School Confidential
Official Site: Sony Classics

ASC1 ASC2

ASC3 Art School Confidential


危険な現場からは引退したベテラン・エージェントのイーサン(トム・クルーズ)に、元上司のマスグレイヴ(ビリー・クラダップ)が接触。彼に特別なミッションへの応援参加を求める。
愛する婚約者ジュリア(ミシェル・モナハン)の事もありイーサンは参加をためらうが、捕らわれたかつての教え子リンジー(ケリー・ラッセル)の救出作戦のため、彼はもう一度現場に戻ることを決意する。
新旧の顔を混ぜたベストチーム(ヴィング・レイムス、マギー・Q、ジョナサン・リス=マイヤーズ)を編成し、国際武器商人(フィリップ・シーモア・ホフマン)の手から万全の体制で救出作戦を決行するのだが…


パラマウントのドル箱フランチャイズとなった、ご存知「ミッション・インポッシブル」シリーズの第3弾。主要な出演者としては、上記の他にイーサンが属する IMF (インポッシブル・ミッション・フォース)の責任者役でローレンス・フィッシュ・バーン(短いながらも印象的な演技)他。


噂によると、元々この作品、2年前に公開予定で企画が進められていたという。しかし当初監督としてコミットしていたデイヴィッド・フィンチャーが別作品の演出のため抜けてしまう。続いて後任監督として連れてこられた「NARC ナーク 」のジョー・カーナハンが、トムと馬が合わずになんと1ヶ月足らずで辞任。予定されていたキャストの方も、前作から続投予定だったサンディ・ニュートンが抜け、スカーレット・ヨハンソンが抜け、ケネス・ブラナーが抜け、キャリー-アン・モスが、抜け、とドタバタ続き。
普通これだけ難航した作品は途中で空中分解するか、あるいは形だけ整えて何でもいいから劇場公開にこぎつけるが大失敗、みたいな悲惨な結末を迎えそうなものですが、これだけちゃんと作品にまとめて来たのは、実はトム・クルーズってプロデュースの才能は決して悪くないのかも? (考えて見れば、昨今のリメーク・ブームの火付け役が96年の第1作 だったように思えるし)。


ま、そんなこんなで火消し役として連れてこられたのが、最近TVシリーズでヒットを続けるJ・J・エイブラムス監督。元々はアフリカを舞台に臓器売買がどうの、とかいうストーリーだったのを大幅に書き換え、主人公イーサンの内面にある人間味を表に出そう、と軌道修正したんだとか。


ちょっと不幸だったのは、この映画公開にシンクロするかのように、トムのパーソナル・ライフのゴシップが世間に氾濫して、まるでこの映画の内容が彼の最近の行動の言い訳みたいな捉え方をされてしまっている事。「仕事より家庭を優先、をタブロイドで散々聞かされ、映画でそのママを見せて、馬鹿じゃねーの」っていうリアクションがあるわけですが、大部分の責任は作品の味付けを決定したエイブラムス監督にあるではないかと。
そもそも、映画第1作でのイーサンのクレア(エマニュエル・ベアール)に対する屈折した心理描写を思い出すと、奥さんに夢中で周りが見えてないイーサンという設定はどうしても嘘っぽくなってしまうわけで。


あと126分という決して短くない枠に、いっぱいいっぱいアクションを詰め込む編集はちと息苦しかったです。個々のアクションはとにかく凄い精度と密度なのですが、緩急とピッチのメリハリをもう少し効かせた方がいいと思います。この時間感覚のノッペリさはTV出身監督(本作が初劇場監督)というハンディもあったのではないかと。


個人的に、オリジナルのTV「スパイ大作戦 」をリスペクトした仕掛けや脚本には好感を持てました。それと「あんなにキレイな車なのに」ともったいがりながらランボルギーニを爆破させるマギー・Q嬢もセクシーですばらしく良かったです("フェリシティ"ことケリー・ラッセルは同じ女優だと気付かなかった。なんでだろう??)


製作費150億に対して、現在までの累計興行成績は122億。まずまずですが、期待ほどでは、という客の入りでしょうか。邦題「M:i:III」で7月8日から公開になるそうですが、さて日本ではヒットしますか?


IMDb: Mission: Impossible III
Official Site: Paramount

MI3

21世紀の終盤、研究施設から不慮の事故で流出したウィルスはたちまち全世界に広まった。感染後12年後に確実に死に至るものの、その間超人的な身体能力を発揮する感染者達はファージと呼ばれ、隔離・抹殺の対象となった。
そんなある日、政府高官ダクサス(ニック・チンランド)が率いる研究チームがファージ達を根絶やしにする根本的な解決策=秘密兵器を開発した。この最高機密をファージの地下組織が嗅ぎ付け、最強の殺し屋ヴァイオレット(ミラ・ジョヴォヴィッチ)を差し向けた。厳重な警備をかいくぐり彼女はなんとか任務に達成するのだが…


トーマス・クラウン・アフェアー 」の脚本でも有名なカート・ウィマーが脚本・演出を担当した近未来SFアクション/サスペンス映画。ウィルス感染者=ファージ、と書くとなんかそれっぽいですが、ぶっちゃけて言うと趣向を変えたヴァンパイア物なんでしょう。


主演はご存知ウクライナ出身の美女ミラ・ジョヴォヴィッチ嬢(IMDb にはミーラ・ヨヴォヴィッチと発音するとあります)。劇中、小宮山みたいなサングラスとヘソ出しファッションに目を奪われたせいか、実は最後までミラ嬢だと気づきませんでした(笑)。
この他、出演者は最終兵器こと9歳の男の子=シックスにキャメロン・ブライト(君、最近同じような役で映画に出過ぎ!)、"味方"の科学者役でウィリアム・フィクトナーなど。


配給元である Sony の意向もあってか、全編ハイデフィニッション(HD)撮影で CGI を乗せまくるというスタイルで製作されたんだそう。そのせいなのか(単なる気のせいなのか)、動きはなかなかいい感じである一方で、画面に艶が感じられず、フラットで奥行きが感じられないシネマトグラフィは、ちょっとガッカリ。
製作スタッフを眺めると、やたらと中国系の名前が多い。ロケ地も上海。察するに Screen Gems が、香港系の製作スタッフを使ってオフショア開発、お手軽に派手な SF アクションをお値打ちで作ろう、という企画なのではないかと(勝手に)推測。


確かにこれだけ派手なアクションを入れて、制作費は30億、は破格に安い。でも米国では興行的にコケまくって、結局 18 億強しか客が入らなかったので、ソロバン的には苦しそう。最近の目が肥えている観客には「安かろう悪かろう」では通用しない、という事なのか? う~む。


最初で見せ場を一気に作り、中盤にドラマを固めて、また終盤で動きを入れる、という緩急・メリハリのある脚本構成と演出・編集は良かったように思いました。


IMDb のユーザ・レーティングが 3.7 点 (10点満点)、という事実からも、あまり期待し過ぎると痛い目に会うのは必死でしょう。個人的にはこの手の荒唐無稽なアクションは嫌いではないのですが、一昔前の RPG のように前フリで説明される設定だけがやたらと雄大で本編はションボリ、というのは、正直どうかと思いましたです。

邦題は「ウルトラヴァイオレット」となり、6月24日より公開だそうです。日本では当たるかな?



IMDb: Ultraviolet
Official Site: Sony Pictures

ultraviolet

オーストラリアの都会で暮らすハイディ(アビー・コーニッシュ)は、好奇心にあふれ背伸びしたい16歳。ある日、ふとした気の迷いから母親のボーイフレンドといちゃついている所を母親に目撃され、動揺した彼女は家を飛び出しあてもなく長距離バスに乗りこむ。到着した先は小さなスキー・リゾートだった。金もツテもなく途方に暮れたまま流れに身を任す彼女だったが、やがて気の優しい牧場主の息子ジョー(サム・ワージニトン)と遭遇。彼に想いを寄せるようになるのだが…


2004年にオーストラリアで公開された作品で、地元で開かれるAFIでは19部門にノミネート、17部門受賞と総なめ状態だったらしい。演出と脚本は女流のケイト・ショートランド監督 。構想から完成まで7年間を要したと言う。


ストーリーの中核を成すのは、典型的なカミング-オブ-エジ物語で、例えば2002年に公開されたアグネス・ブルックナー主演の米国インディ「Blue Car 」によく似たテイストだと思う。

多数ある同様の作品から本作の特徴付けているのは、印象的なサントラ--ドイツ語版オフィシャルサイト(http://www.somersault-film.de/ )でも聞くことができます--と、巧みに計算されたシネマトグラフィでしょう。どちらも抑制が効き、物語のトーンを整えるのによく機能していました。
スチル写真を意識したかのような、作り込まれた映像は、空虚でゆったりした時間の流れを作り出していて、見事です。(印象に残ったシーンはいくつもありますが、落ち葉を集める主人公をアオリで撮った物が特に個人的にお気に入り)


主人公を演じたアビー・コーニッシュはすばらしく、主人公の複雑にいり込んだキャラクターの様々な側面を多色的に演じていました。ケイト監督は、精神障害者の施設で出会ったアボリジニの少女をベースに主人公のハイディを造形した、と語っていましたが、神経質で不安げでいながらどこか無鉄砲で愚直な多面性が、アビーの好演と共に良く演出されていたと思います。


が、残りの役者さんは、イマイチだったかなぁ… うまい役者はみなアメリカに行っちゃうから、なんて言われていますが、本当なのかも?そう言えばその昔、「シャイン 」や「ヒマラヤ杉に降る雪 」を撮ったオーストラリア人監督のスコット・ヒックスが、「オージーの役者は本当に下手だから、登場人物に台詞をしゃべらせなくても映画になるように演出する方法を勉強したんだよ」とか言ってましたっけ。


映画祭の中で日本公開された際はカナでそのまま開いた「サマーソルト」が邦題になったようです。このサマーソルト、日本語では「宙返り」くらいの意味(体操の世界でも「moon-sault」=ムーン・サルト、月面宙返り、なんて使いますよね?)。


メインストリームで大ヒットする作品ではないのでしょうが、しっとりハマる人にはハマりそうな、面白い作品でした。


IMDb: Somersault
Official Site: Paramount Home Entertainment (DE)

Somersault 1 Somersault 2

Somersault 4 Somersault 3

Somersault 5 Somersault 0