明るく活発なヴィオラ(アマンダ・バインズ)は女子サッカー・チームで活躍するストライカー。ところが「どうせ女子チームは女の子の遊び」とチームのグランド使用権が一方的に取り上げられてしまう。聞く耳を持たないコーチやボーイフレンドを見返して自分の実力を証明するため、ロンドンへバンド修行に短期旅行するのに転校そうそうサボりを決め込む兄のセバスチャンになりすまし、男装し転入生を装って別の学校へ。
ルームメイトになったハンサムなデュークに心がトキメクものの、変装を必死に隠すドタバタからすっかり変人扱い。兄を一方的に追いまわすストーカー女から姿を隠しつつ、レギュラーの座を狙い必死に練習に励むヴィオラだったが…


シェイクスピアの「十二夜」を女の子向けスポーツ・ラブコメに仕立て直した作品で演出はTV畑でキャリアを積んだアンディ・フィックマン。主演のアマンダ・バインズはお子様向けケーブルTVチャンネル Nickelodeon Network の主演番組でローティーンから絶大な人気を誇るアイドルですが、そろそろターゲット・オーディエンスをローティーンからハイティーンの中間くらいにシフトしつつある、という事なんでしょう。日本では「ロボッツ 」での声優や「ロイヤル・セブンティーン 」など、中規模映画への出演で顔が一般にも徐々に知られ始めた所でしょうか?


サッカーの試合など全般にリアリティからは程遠く、お約束の連続なわけですが、これはこれでそれなりにちゃんと機能していたと思います。ちょっぴりフェミニズムの香りも入れつつ、ロマンチックな恋愛ドラマをコミカルに描き、ドタバタなアクションもあり、といろんな要素を入れつつ観客に向けたメッセージはブレず、演出のバランスの取り方はなかなか絶妙。
過去、シェイクスピアの戯曲を焼き直したティーン向け青春映画は数多く量産されていて、それらと比べると本作はずば抜けて水準が高いわけでも低いわけでもなし、というくらいの出来だと思います(自分の密かなお気に入りは「じゃじゃ馬ならし」をベースにしたジュリア・スタイルズとヒース・レジャーの「恋のからさわぎ 」だったりします)


なんど焼き直されても魅力を感じる古典の強さを感じると同時に、この手のお手軽映画をパターンながらそれなりにちゃんと作りこんでくるハリウッドのスタジオ・システムのいい面と悪い面の両方を見たような気がしました。製作規模は20億、米国での興行収入は34億と、収支は合わせたみたいです。わざわざ映画館で見たいという人も多くはないんでしょうが、万人向けで誰が見ても大外れはしない安定感はあったと思います。


IMDb: She's the Man
Official Site: DreamWorks

SheIsTheMan


平和だった森の小さな町では、近頃ベーカリーやお菓子屋での盗難事件が多発していた。犯人は秘伝のレシピを盗みだし、結果多くの店は倒産へ追い込まれた。そんな中レッド(アン・ハサウェイ)は、森の外れにあるおばあちゃん(グレン・クローズ)の家へ秘伝のレシピが詰まったメモ帳を届けに行く事になった。絶対安全なはずのロープウェイから事故で落下してしまい、道もない森の真ん中に迷い込んだレッドの前にさっそく悪いオオカミが立ちふさがるのだが…


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ご存知「赤頭巾ちゃん」をベースにしながら、コンテンポラリでポップに味付けされた、次世代 3D アニメ。静止画からはちょっと癖のある造形のキャラクター達ですが、画面で動くとなかなか味があっていい感じ。


赤頭巾ちゃんの声を宛てるのは、「プリティ・プリンセス 」、「Ella Enchanted 」(←もしかして日本未公開?)、「ブロークバック・マウンテン 」と順調にキャリアを積み、もうすぐメリル・ストリープと競演した「The Devil Wears Prad 」も公開になる注目のアン・ハサウェイ。この他声優キャストの中にはアンソニー・アンダーソン、ジム・ベルーシなどの名前も。


80分というタイトに刻まれた編集に載せテンポよくイベントを消化いて行く進行スタイル。皮肉と当てこすりに満ちた作風+ポップカルチャーへの多大な依存を見ると、幼いお子様連れの若カップルというよりは、むしろティーンエイジャーを狙った作品のように見えます。米国での広告宣伝経路が今一つクリアでなくこれはインディなのかスタジオ作品なのか? よく判らないママに観劇に望んだのですが、あとで調べてみたら、配給はディズニー支配の強まったミラマックスから離れハーヴェイ&ボブ・ウェインスティンが新たに起こした新興の The Weinstein Company でした。なるほど、どうりで童話ベースのアニメで居ながらお子様向けでないし、またメインストリームの宣伝チャンネルも使わない(使えない)わけです。


困難をかわしつつ、おばあちゃんの家にたどり着いてみると、彼女は縛られ押入れの中に… と、一見トラディショナルな物語を踏襲しているようでいて、そこから急反転するストーリー・テリングのスタイルは斬新。各登場人物の証言が微妙にズレつつかみ合って行く「羅生門」チックな構成に「おぉっ」と驚かされ(いや配給会社に敬意を表してタランティーノ風、と書くべきか)、華麗に動くアクションで手に汗を握り、絶妙な選曲センスのサントラに心が弾む、と文句無しの観劇体験でした。まぁ広告がしょぼく「どうせダメだろう」と期待値がえらく低かったせいもあるとは思いますが。


予算は今時びっくりの15億(5年前の段階でハリウッドの平均制作費は40億を超えてます)にもかかわらず、全米興行で51億以上の集客を記録したこの作品、この手のアニメ作品にあまり興味のない人にも、ぜひだまされたと思って映画館まで足を運んでもらいたい秀作だと思いました。お気に入りです。


IMDb: Hoodwinked
Official Site: The Weinstein Company

Hoodwinked

メキシコの片田舎にある孤児院に拾われたナッチョ(ジャック・ブラック)は、今やすっかり大人になり料理番として恵まれない子供達の面倒を見る側にまわっていた。いつか孤児達を幸せにしたいと思う彼の憧れのヒーローは、TVで活躍するメキシカン覆面レスラー。また新入りの美人シスター(アナ・デ・ラ・レゲラ)も気になってしかたがない。ある夜、買出し途中のナッチョ・チップを町の乞食(エクトル・ヒメネス)に略奪された彼は、飢えた子供達を食べさせるためにレスリングの試合に飛び入り参加する事を思いつく。ボロボロの負け試合だったが一方的なヤラレ方が興行主に気に入られ、彼はレギュラーの座をしとめるのだが…


MTVの大掛かりなプッシュもあって米国ではそこそこ売れた「バス男 」(原題=Napoleon Dynamite)のジャレッド・ヘス監督が、再び脚本・演出を担当した、デブでダメな覆面レスラー物語。孤児院の子供のために戦う覆面レスラーって、タイガー・マスクかよ、と突っ込みたくもなりますが、本作はお馬鹿+脱力系のB級インディ路線(製作・配給はパラマウントで制作費25億とファイナンシャル的にはバリバリのスタジオ作品ですけど)。


ジャレッド監督の狙いは明白で、前作に引き続き「一巡して裏返った負け組みのカッコ良さ、クールさ」を追求しているのだと思います。田舎物のメキシカンというステレオタイプをあえてグロテスクなまでに誇張する事で、偏見の馬鹿馬鹿しさを笑い飛ばす、というコンセプトにはなるほど納得するものの、あえてはっきり書けば個人的にはそれほど楽しめた気はしなかったのでした。


おそらくこの手の反則笑いにはファレリー兄弟という偉大な先駆者がいるせいでもあり(この作品にもシャレにならない限界まで攻めるアグレッシブさがあれば!)、またベタなシーンをとことんまでベタにこなせない演出や撮影の力量の足りなさのせいでもあるのでしょう。どうせ作るなら、プロレスの試合はオリバー・ストーン並みに大仰に迫力を出し、孤児院の貧乏さや金持ち興行主の華麗な生活の差異はリドリー・スコットのように緻密で端麗に描いたら、なんて夢想してしまったのです。話はヘラヘラ、カメラもヘロヘロ、演出もヘナヘナ、では、のっぺりし過ぎなんじゃないかなぁ、と。


相変わらず画面から伝わるジャック・ブラックの暖かい愛嬌さは愛くるしく、過去出演作の記憶は無いもものアナ・デ・ラ・レゲラ嬢は清純でケナゲだし、声に出して笑える箇所もそれなり多くて、不満だらけの映画、ではけっしてなかったのですが…


日本でも勝ち組・負け組みという言葉が一般化してからしばらく経ちますが、今後はジャンプのヒーロー・トーナメント物のように勝ち続けるお話ばかりではなく、いかにうまく負けや失敗を物語りに紡ぐか、に直面せざるを得なくなると思います。そんなこんなを考えたとき、アメリカン・ドリームとやらに浮かれる国民性のアメリカ映画よりは、停滞して久しいイギリス産の映画の方がやっぱり負け方を描くのは卓越してるよなぁ、などと思う今日この頃なのでした。


IMDb: Nacho Libre
Official Site: Paramount Pictures


NachoLibre

シカゴの勤務医ケイト(サンドラ・ブロック)は、郊外の湖の畔に美しくひっそりと佇むレイク・ハウスから都心の新築高層アパートに引っ越そうとしていた。次の住人に宛てに「転居届けにも関わらずもし郵便が誤配送されたら新居まで転送してほしい」旨の手紙を書き、空き家となった郵便受けに入れた。だが、しばらく経って相変わらず無人のレイクハウスを訪れ郵便受けを開けてみると、そこにはアレックス(キアヌ・リーヴス)という男からの返事が。アレックスはこの家は今自分がすんでいて、手紙の内容がよくわからないと書いている。しらばく郵便受けを通じて文通しているうちに判ったのは、ケイトが引っ越してくる直前までアレックスはおなじレイク・ハウスに住んでおり、二人はなぜか2年間の時を隔てて手紙をやり取りしているという事。不思議な郵便受けを通じ、二人の心は通じ合ったかに思えたのだが…



ザ・リング 」や「THE JUON/呪怨 」など日本映画のハリウッド・リメークで大成功を収めたプロデューサ、ダグ・デイヴィソンとロイ・リーが、こんどは韓国純愛映画も、という事で、5年ほど前に公開された韓国映画「イルマーレ」が原作にし、「プルーフ・オブ・マイ・ライフ 」のデヴィッド・オーバーンが脚色した、ファンタジー/ミステリー・ラブロマンス。演出を担当したのは、「Valentin 」(←なかなか良い感じでした)の米国公開で注目を浴びたアルゼンチン監督のアレハンドロ・アグレスティ監督。


今更言うまでもないですが、主演の二人は、共にトップ・スターに昇らせた大ヒットアクション「スピード 」で競演した間柄。続編の「スピード2 」は何故か彼氏がジェイソン・パトリックに挿げ替えられていましたが、噂に聞く所によると、企画の段階でサンドラもキアヌもヤバさを感じて逃げ出しにかかっていたらしい。結局サンドラは自分が暖めてきた企画「微笑みをもう一度 」(←自らプロデュース&主演)の製作とバーターで主演を引き受けたそうですが、結果はご存知の通り。


そんなこんなで、スピード以来初競演となったのが本作。話の設定上、サンドラとキアヌはほとんど一緒に写る場面がないわけですが、手紙の朗読を録音するサウンド・スタジオでよく一緒になって話が弾んだらしい。てっきり初めからこの二人ありきの企画なのかと思っていたら、当初アレックスはジョン・キューザックを想定していたらしい。その他の目だった出演者は「砂と霧の家 」のショーレ・アグダシュルーや、相変わらずダンディな爺さんという役どころでクリストファー・プラマーなど。


トレイラー (予告編)はしっとりしていて、かなり期待していたのですが、どうにもネットで伝わってくる前評判は芳しくない。オリジナルの韓国映画を観たという韓国人の同僚に原典の出来を聞いても「本国でもそれほどヒットしたわけでもなく、出来も悪くはないけど普通以上でもなし。女の人は好きそうな話だったけどね」となんだかツレない。そんなわけで期待値をぐ~と下げて観劇に望んで、結局それが幸いしたのか、恐れていたほどつまらなくはないように思いました。


劇中、湖畔の水上にひっそりと立つガラス張りの家の中で、アレックスが吐く「自然に囲まれていて、でも見るだけで触ることはできない」みたいな意味深の台詞も多く、いく層かにまたがるメタファーがちりばめられた脚本は、なかなか手が込んでいたと思います。
ただしタイムトラベル物のありがちな矛盾をかわしつつメロドラマを成立させるために作話上あれこれギミックが多く、仕掛けを説明するだけでいっぱいいっぱいな感じも。映画を観ている最中、ただただ筋を追っているだけで、キャラクターに感情移入している暇はあまり無い。キアヌとサンドラ、どっちに軸足を置いているのかもよくわかんないし。
まぁ文通を絵に起こして、二人が同時に同じフレームになかなか入らない、というのは確かに難しいトリッキーな設定ではありますが、「ユー・ガット・メール 」という先例もあるし、これだけ強いキャスティングなんだから、とちょっと不満に思わなくもなかったです。104分の尺で、ちと長いな、と感じるのは、編集にもあと一工夫足りない所があるのかも。


ちなみにあの水上レイクハウス、えらくカッコ良く美しくてて、あんな所に住めたらいいな、と一瞬ちらっと憧れたのですが、サンドラ・ブロックによると下水が通ってないので家の中にトイレが無いらしい。映画の撮影時には湖畔にぽつぽつと移動式簡易トイレが立っていたそうですが、建築的な美しさと住みやすさは両立しづらい、という事なのかもしれません。うむ。


米国では公開第1週 14 億円強の興行収入を上げ、ボックス・オフィス・ランキングには4位で登場。最近日米の公開時差がえらく縮んできたワーナーの配給なので、もっと早いのかと思いきや、日本では2006年秋の公開予定だそうです。


IMDb: The Lake House
Official Site: Warner Bros.


The Lake House

ジョン(ブレッキン・メイヤー)は、長く交際が続いているリズ(ジェニファー・ラヴ・ヒューイット)にいよいよプロポーズしようと決意。準備万端で望んだディナーだったが、リズは突然決まったイギリス出張に舞い上がり、きっかけを作らせてくれない。そうこうしているうちに、ガーフィールド(ビル・マーレイ)の邪魔も入り、結局言い出せないままリズは帰ってしまう。ジョンはリズを追ってロンドンへと向かうが、ペット・ホテルの宿泊を嫌ったガーフィールドも檻を脱走。ジョンの鞄にもぐりこむ。


一方ロンドン郊外の古城には、動物好きの老地主が住んでいた。地主が死去し、この遺産は全て自分のモノ、とほくそ笑んでいた親戚(ビリー・コノリー)だったが、遺産相続人に指定されたのは、なんと飼い猫。しかもその猫はガーフィールドと瓜二つだった…


* * * * *


ジム・デイヴィス原作のコミック・ストリップ「ガーフィールド」の映画化第2弾。全米興行で75億と好成績を残した前作「ガーフィールド 」から2年、安パイの続編、という事なのか主要キャストはそのママ引き継ぎ、今度は舞台をイギリスはロンドンに移しています。

今やハリウッドでブッキングが一番難しい役者の一人として有名なビル・マーレイ(なんせめったに電話が通じないらしい)が再度ガーフィールドの声を当ているのが、ちょっと驚き。演出は、「ゴンゾ宇宙に帰る 」などで知られるピーター・ヒューイット監督。


古城の動物小屋に住む動物達が多数登場しますが、彼らの声を担当する声優としてつい先日「Mrs Henderson Presents 」でも顔を見たボブ・ホスキンスや、「チャーリーズ・エンジェル 」への出演が記憶に新しいティム・カリーなどの名前も。


CGI のガーフィールドと実写映像のシームレスな合成は自然だし、ちゃんと起伏のある物語をテンポ良く
80分で流しきる編集もまずまず。「ベイブ 」流に動物がしゃべる絵もきちんと作りこまれ、大きな不満もないものの、特筆すべきような目新しさは無く深みも感じられない… まぁ初めから真面目に期待して観に行ってるわけでもないので、想定の範囲内の仕上がり、という感じなんですが。大きなババを引きたくない、というデート用の映画としては、これはこれでいいのかもしれません。


原題はディケンズのA Tale of Two Cities(二都物語)へのモジリなんでしょうけど、こうゆう引っ掛けは翻訳しようがないのかも…


IMDb: Garfield: A Tail of Two Kitties
Official Site: 20th Century Fox

Garfield

某所よりのリクエストに答えて、今回は映画本編の感想ではなく、これから公開される作品「マイアミ・バイス」の噂話など。


うちの近所では先週末あたりから映画館で「Miami Vice」のトレイラー(予告編)が流れ始めました。これが例によってマイケル・マンらしくソリッドでヘヴィー、すげーカッコイイ!


ちなみに予告編はここ ↓から閲覧可能(要 QuickTime -- Teaser より Trailer がお勧め)
http://www.apple.com/trailers/universal/miamivice/


↑を観ればわざわざ言及する必要も無いですが、ジェームズ"ソニー"・クロケット刑事を演じるのはコリン・ファレル、相棒のリカルド“リコ”・タブス刑事はジェイミー・フォックスという飛び切りの配役。監督と主演二人のキャスティングを聞いただけでも、映画館で封切されたら即見なきゃ、という気にさせられます。


風に聞く噂では、TVシリーズから設定だけを借りて、中身と雰囲気はがらりと変える気らしい。マイケル・マン監督曰く「過去にそんな TV シリーズが存在しなかったかのように映画を作っている。単なる作り直しなんてするつもりは無いよ」という事で、80 年代特有のシンセを刻むフラフラに軽~い音楽も、ソニーの唯一の家族「エルビス」ことペットのワニも映画には現れないそうな。


ジェイミー・フォックスもインタビューに答え、本作は「ドラッグ、ボート、車と女」、「野暮ったく陳腐には作らないよ」との事。


現在伝えられている推定製作予算は125億ですが、際限ない脚本の改定と(脚本も担当のマン先生、大丈夫っすか?)悪天候から撮影スケジュールはずるずると遅れ、予算もどんどん膨らんでいっているらしい。おまけに去年10月にドミニカ共和国での撮影中、撮影版のセキュリティを巻き込んだ発砲事件を起こし、そのせいでしらばく撮影が中断されていたとも。


マン監督もジェイミー・フォックスも、ブログ全盛の時代なので噂が面白おかしく大げさに伝えられているだけで(あっ、このエントリーも加担してるか?)、別に心配することはないと噂を否定するコメントを出したそうですが、脚本をあれこれいじったりするのはどうにも嫌な予感がしなくもないです。


マン監督の前作「コラテラル 」では、トム・クルーズが小器用に演じすぎたのが逆に弱さを生んでいましたが、本作では監督の個性に負けずにフォックスとファレルに暴れて欲しいなぁ、と思いますです。

邦題は「マイアミ・バイス」で日本公開は2006/秋、米国公開は7月28日予定。いやとっても楽しみです!

IMDb: Miami Vice
Official Site: Universal

Miami Vice

テッド(ウィル・フェレル)はニューヨーク郊外の私設博物館の学芸員。一昔は活気があった博物館も今は古ぼけ閉鎖の危機に面していた。館長の息子(デヴィッド・クロス)は、儲けの出ない施設をつぶし駐車場にしたがっていたが、テッドはアフリカの森林奥地にあるという伝説の巨大猿の遺跡を発見して展示の目玉にすることを館長(ディック・ヴァン・ダイク)に提案。
なぜかテッド自身が探検隊をリードすることになるが、遺跡は発見できず代わりに見つかったのは手の平サイズの猿の彫り物。ところが連絡につかった携帯写メールでサイズを勘違いした館長は大喜びで帰国を命じる。テッドは失意のうちにNYへと戻るのだが、その船には好奇心でいっぱいのいたずら好きな小猿が乗り込んでいた…


マーガレット・レイの物語に夫ハンス・アウグスト(H・A)・レイが絵をつけた、絵本「ひとまねこざる」シリーズの映画化。演出はマシュー・オキャラハン。
この映画、必ずしも原作本に忠実なストーリー展開ではありませんが、所々に絵本から取られた題材、たとえばたくさんの風船で空を飛んだり、アパートにペンキで落書きしたり、が挿入されています。その脚本を手がけたのは「スペースカウボーイ 」で知られるケン・カウフマン。しっかり練られた良い出来だと思います。


"黄色い帽子のおじさん"を演じるのは、SNL の体当たり芸風で知られるウィル・フェレルで、最近空回りの演技(「奥様は魔女 」他)も目に付きますが、本作では普通に困ったおじさんを自然に被せていて、なかなかいい感じです。
博物館に見学にくる小学生の引率の先生という役でドリュー・バリモア嬢。ウィルとかけあいが自然でチャーミングでした。この他にジョーン・プロウライトやユージン・レヴィらの名前が声優として出ています。


原作の第1作目が発表されたのは1941年(戦争の前!)で、なんとその65年後にアニメーション映画化。マーガレット・レイによれば原典の絵本は1冊に1年以上かけて推敲を繰り返しながら時間をかけゆっくりゆっくり書かれたそうですが、この映画も企画から配給まで10年間かかったそうな。

一見普通の手書きアニメで背景はしっかりCG、というのは今時の2次元アニメの定番ですが、シンプルな中に普遍性が潜む原作の魅力を壊さず、素直に1時間半弱の作品に仕上げていた点が非常に良かったと思いました。


原作の魅力は、ジョージが「猿だから」と言う理由でイタズラをしまくって、その後やっぱり「猿だから」という理由で許される、という点につきると思うのです。子供は当然自分をジョージに投影して、お子様固有の破壊衝動を満たしている、とそんな風に理解しているのですが、改めて考えるに最近のディズニー系お子様映画にもかならず「お痛」するシーンが出てきます(泥棒に肉体系の痛いイタズラをしかけたり、食べ物を投げあったりとか)。このお子様受けの鉄板公式が50年以上前から絵本でフォーマライズされていたのだと思うと、なんか不思議な気分。


目を驚かさせる最新のスタイリッシュに尖ったアニメもたしかに楽しいですが、刺激の強さのインフレに溺れた身には、時にこのような素朴でストレート、素直で簡単な面白みもいいもんだなぁ、と改めて思う今日この頃です(単に歳を取った、という事なのかもしれませんけど)
いや実際、昨今ボックスオフィスを沸かせるエッヂーな 3D アニメでモダン・クラシックと成り得る作品はそうそう多くないと思ったりもするわけです。10年後に本作と見比べて、見劣りしないアニメ作品ってどれだけあるかなー、と、そんな事を思ったりしました。


邦題は「おさるのジョージ/Curious George」で、7月22日より公開となるそうです。

IMDb: Curious George
Official Site: Universal

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32年間にわたり、ミネソタ州セント・ポールのフィッツジェラルド劇場から生中継で毎週末放送されていた長寿ラジオ番組「A Prairie Home Companion」は、その終わりを迎えようとしていた。ラジオ局はテキサス系の大企業に買収され、そのオーナー(トミー・リー・ジョーンズ)は時代遅れの儲けが出ない番組に興味が見出せなかったのだ。
今日はその最終回を迎える日。警備係(ケヴィン・クライン)は、打ち切りを決めたお偉方が見学に来るので緊張気味。多数のミュージシャンが演奏の準備を進める舞台の裏では、風変わりな芸風のカーボーイ・デュオコンビ(ウディ・ハレルソンやジョン・C・ライリー)がたわいのない会話を交わし、番組の華でロートル姉妹カントリー・デュオ(メリル・ストリープ、リリー・トムリン)は不機嫌な娘(リンジー・ローハン)を気遣う。

やがていつものように番組本番が始まり、何事もなかったかのように番組は終了に向けて進んでいくのだが…


60年ものキャリアで35本の演出作品数を誇る81歳の巨匠ロバート・アルトマンの最新作は、実在するラジオ番組を題材にその最終回をフィクションで構成したコメディ・ドラマ。原案と脚本は、同ラジオ番組の司会者で、この作品に本人役で出演しているギャリソン・キーラ。二人はシカゴで「バレエ・カンパニー 」の撮影中に会い、この企画をスタートさせたと言う。

エンディング・クレジットにポール・トーマス・アンダーソン監督の名前が筆頭に挙がっていましたが、純インディ個人ファイナンスによる製作にあたり「もしも高齢監督に何かがあった時の保険」としてスタンドインで常に撮影に追行していたという。「えーそんな失礼な」と思ったのですが、実は2001年の「ゴスフォード・パーク 」でもスティーヴン・フリアーズ監督がスタンドインを務めていたらしい。


製作方針の衝突を経験した後、監督はハリウッドのメジャー・スタジオ・システムとの距離を置くようになり、過去19年間はインディ・ファイナンスの製作を続けてきたという監督。本作品も配給は制作費は約10億円と伝えられています(劇場を使った撮影はたった22日間、楽曲もスタジオ別録ではなくその場録りだったそう)。今回、配給を担当した Picturehouse も HBO とニューラインの合弁ベンチャーで、最近良く見る"いわゆる"インディ風の小規模予算映画ではなく、隅から隅まできちんとインディ映画なんだそう。


7人のオスカー・ノミネート経験者を含む強力なキャスティング。前述の6人(もちろんリンジーは違います)に加え、役名「危険な女」で出演するのがヴァージニア・マドセン。企画段階では、ケヴィン・クラインがジョージ・クルーニー、マドセンがミッシェル・ファイファーだったそうですが、出来上がった作品を観ると最終的にこのキャスティングで正解だったかな、と思います。

この他、実際に撮影時には妊娠していたという妊娠した舞台進行係を演じたマーヤ・ルドルフ、サンドイッチを配りに歩くおばさん役でメアリールイーズ・バークなど。


さて本編の感想ですが、舞台の表と裏をカメラがゆっくりと動き回りつつ、多数のキャラクターを同時進行で動かして行くアルトマン監督のいつもの手法の巧みさはやっぱり健在。かなりアドリブを混ぜたという技法も手伝ってかごくごく自然にシーンが構成され、作為や努力の不自然さを微塵に感じさせない画面の澄み具合をたっぷりと堪能。


想像よりずっと良かったのは、自分の母親に習ったというミッド・ウェスト訛りのメリル・ストリープと、「ムッソリーニとお茶を 」でも見せたおばさん全快モードのリリー・トムリンの二人のデュオ曲。変に上手すぎないリアリティがあって、暖かく真っ直ぐな歌が心に沁みました。


映画の中心テーマとなっている「死」は、ラジオ番組の最終回というモチーフにも被っているわけですが、ストリープやトムリンの母を想う歌の歌詞や、不機嫌でウツなアマチュア詩人(ローハン)の書くポエムやら、手や形を変えて物語のあちこちにひっそりと顔を出します。
一方で、ともすれば感傷的で個人的な狭い領域に入りがちな重い主題を持ちながら、ほがらかに明るいギャグが散りばめられているのもなかなかユニーク。ハレルソンとライリーのカーボーイ・コンビの舞台芸なんてまるで歌謡漫談だし、その歌詞も猥歌並み。


そんな主題を、切れ目のないラジオ番組進行の下に隠し、あくまでスムーズに場面を展開させていくのがアルトマン流なのか。場面場面が淀みなく流れる映画で、これはイイと思うシーンは多々ありましたが、中でもトミー・リー・ジョーンズが車に乗って帰る瞬間の、静かな夜景に覆いかぶさる空気の匂いに、鳥肌が立つほどの凄さを感じました。


万人向けの間口の広さには欠けるような気もしますが、ここ数年のアルトマン作品が好きな人ならきっと気に入るシーンが多いと思います。監督は次回作の製作に向けて準備を始めているらしいですが、「これで最後かもしれない」ファクター抜きでもお勧めしたい作品です。


IMDb: A Prairie Home Companion
Official Site: Picturehouse

A Prairie Home Companion

転校を繰り返し学校へ馴染めない独り者のショーン(ルーカス・ブラック)は、またまた学校で問題を起こし少年院に送られそうになる。母親が機転を利かせ東京に住む在日米軍人のおじさんの元で暮らすことでなんとか務所送りだけは逃れたものの、まるで勝手が違う外国生活に戸惑うばかり。
そんな所にひょんなきっかけでたまたま連れて行かれたのが、地下駐車場で開かれている改造車パーティー。言葉が通じるアメリカ人のニーラ(ナタリー・ケリー)と会話が弾んだが、彼女は地域をまとめるチンピラのボスDK(ブライアン・ティー)の女、DKはショーンを黙らすためにカーレースで勝負をけしかける。まったく面識のないショーンにポンと車を貸したのは、DKの親友で羽振りのよいハン(サン・カン)。DKの名前がドリフト・キングから取られている事を知った時にはすでに時遅く、DKの操る改造Z33にショーンはコテンパンに負ける。ベコベコに凹んだ愛車を気に留めるでもなく、ハンはショーンを連れ出し、やがて二人は信頼と友情を
築いて行くのだが…


最近、ジェームス・フランコ主演「Annapolis 」(←愛と青春…のマルぱくりみたいな映画でした)を演出したばかりのジャスティン・リン監督による「ワイルド・スピード 」(原題:The Fast and the Furious)フランチャイズの最新作。舞台はなんと夜の東京。実は密かにロブ・コーエン監督の「ワイルド・スピード」第1作は大好きなもんで、この作品、期待度が高かったのです。予告編で日本人のお姉ちゃんの「セット~」と言う台詞は、間違いなく英語の「set」ではなくカタカナの「セット」だし、ひょっとしてひょっとしたら本格的で硬派なストリート・レース映画になるかも、なんて事も思っていたのですが…


しかし、映画が始まってすぐにそれは大きな勘違いだった事に気づきました。「ラスト侍」や「SAYURI」どころではない、「オレ、ハリウッド映画。考証なんて知らんもんね」的なハチャメチャな日本が大画面に写り続けます。主人公が転校する高校の校門の上にはでっかく「東京都立田舎高校」と出てるし、カフェテリア風の学食には懐石料理や和菓子が並ぶ。靴から上履きに履き替えるのは内廊下の教室扉のすぐ前だし、もう次々に出て来る㌧デモぶりに腹がヨジれて痛くなるほど笑いましたよ。あまりのスゴさにこれは知っててワザとやってるんだろうか、と勘繰りたくもなります。夜の都内を200km/h近くで爆走しててパトカーとすれ違っても「順法改造しかできなくて、どうせ追いつけっこないから、パトはわざわざ追いかけて来ないのよ」なんて説明的な台詞が入るし(本気にする外国人が居たらどーすんのよ?)。


なんですが、金返せ、と後悔したかというと、実は正反対で大いに楽しんだのでした。ダメ映画の突っ込み所を探しながらアラ探しするのは飲み会で会社の同僚と上司の悪口を言い合うような楽しさがありますし、画面を縦横無尽に走り抜ける日本車の勇姿に心は躍ります。無骨なランエボの不器用なドリフトにも、ひたすらセクシーに滑らかな VeilSide ロゴ付き FD にも大興奮。

自分の愛車をボコボコにされたのに気前良く別のスポーツカーを主人公に渡す際に「ヒュンダイに載せるわけにはイカンだろ」なんて台詞もあったりして、ハチャメチャな日本の風俗文化の描写と、日本車へのピュアな愛が同居するこのヘンテコリンな映画に、日本の愛国少年達はどう反応していいのか困るんじゃないかな? なんて勝手な想像したりもしました。


職場にいるアメリカ人の車基地外達から伝え聞く所によると、実際日本車はアメリカ人の車好きの間で非常に高く評価されているそう。日本人から見ると不思議に思うのが、とにかく日本オリジナルが「Cool」という感覚。「これは「Z」(ズィー)ではなく、輸入された本物の右ハンのフェアレディ・ゼットだ」と自慢する親父とか、「フェイクだけど日本とまったく同じナンバープレートを付けた。カッコいいだろ」だとか、今一つ何がどうクールなんだかわかりません(日本車のCMでなぜかヨーロッパのナンバー・プレートを付けてるのと同じ感覚なんでしょうか?)

実際、つい先日、行きつけのハンバーガー屋で働く顔なじみのウェイトレスのお姉ちゃんが、米国では発売されていない"初代"GTRを指す「R32」を口にしているのでビックリしましたもん。



RONIN 」のソレには遠くには及ばないまでも、密度の濃いストリート・カーレース・シーンがボリュームたっぷり。カーアクションは本物の車とスタントで撮影、TOYOタイヤ寄贈の約2000本のタイヤが消費され、100台以上の車をツブしたそう。CGI の背景合成もなかなか見事で(クレジットされた多数のCG工房の中にILMの名前も)、夜の東京を疾走する違法改造車達はゾクゾク(しゃれじゃないっすよ)するほと美しい。人混みの渋谷のスクランブル交差点に逆ハンを切りながらしながら突入する3台のドリフトを見ながら、「グランツーリスモ」のリプレイでこれくらいの絵が見れるようになる日はいつくるんだろうか、なんてついつい夢想してしまいました。


やっぱり根底に流れるアメ車崇拝とか(RB26をマスタングに載せるのが最強ってか?)、浮きまくっていた小錦とか、不満な点はもちろん山ほどあるんですが、(米 EW 誌上での評価はD+、IMDb の評価は 3.5点/10点満点--6/16現在)ですもん)、自分はいろんな意味で非常に楽しんだ作品になりました。最後にちょっと嬉しい(?)カメオ出演もあったりして、更に大満足。自分がいかに馬鹿映画が好きなのかを再認識しました。ひょっとすると馬鹿映画量産帝国のユニバーサルを応援するためにも DVD 買っちゃうカモ?

なんでもみうらじゅん的にうがって、ひねって映画を観るのは、ちょっとイヤラしい感じもしますが、たまには悪友と連れ立ってこういう馬鹿映画を悪口を言いながら観るのも楽しいんではないでしょうか?

今年の秋口公開で邦題は「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」となるようです。



IMDb: The Fast and the Furious: Tokyo Drift
Official Site: Universal


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Tokyo Drift

舞台は第2次世界大戦の戦火に巻き込まれたロンドン。資産家の夫が死に直面したヘンダーソン婦人(ジュディ・デンチ)。家族はおらず、時間と金だけは余るほどある彼女は、まったく知識も経験も無い演劇経営を思いつき、ウェストエンドにある劇場施設を購入。腕の立つ演出家(ボブ・ホスキンス)を雇い入れた。
それからしばらくして彼女が思いついたのは、裸の女を舞台に出すという当時としては常識ハズレのとんでも企画。コネを最大限に使ってお役所から引き出した条件は、「舞台の上で女が動かなければ、絵画や彫刻の裸婦像の類とみなせる」というもの。そうやって、大きな議論と反響を呼ぶことになる公演が始まるのだが…


ハイ・フィデリティ 」や「堕天使のパスポート 」のスティーヴン・フリアーズ監督が演出した、ドイツ戦火のロンドンを舞台にしたロマンス・ドラマ。昨年のオスカーに主演女優賞と衣装デザイン賞の2部門でノミネートされ話題となりました。


米国での配給は、ハーヴェイとボブ・ワインスタイン兄弟が運営する新会社の The Weinstein Company。 同兄弟が1979年に設立したミラマックスは、秀作ドラマ映画を海外から買い付け米国で公開する手法が大成功。「イングリッシュ・ぺイシェント 」とはじめとして、ブルトーザーでかき集めるかのようにオスカーの各賞をかっさらっていった活躍は記憶に新しい所。
1993年に70億でブエナビスタ(ディズニーの娯楽部門)に買収されてからも、創設者兄弟が直接コントロールする状態が続いていましたが、「華氏911 」などの公開をめぐり深く対立(ディズニーって、ポリシーは無く金になることはなんでもやる、というイメージがあったんのですが…)

結局二人は 2005 年に独立・前述の別会社を創立。「スクリーム 」フランチャイズなどを生み出した若者向け映画の製作部門 The Dimension Films も引っ越す事になったのだとか(タランティーノをはじめとする映画人達も一緒に移籍したらしい)。


そんな与太話は置いておいて、この作品、前評判がえらく高かったので、それなりに構えて観に出かけたのですが、意外なまでに俗っぽく B 級色の強い大衆作品でした。ジュディ・デンチとボブ・ホスキンスの距離感の取り方は、劇中の設定もそれを生かす演出も巧いなぁ、とひどく感心しましたが、それ以外はかなりベタベタ。文芸作品だと構えず、気楽に見られるコメディとして期待するのが正解だったのかもしれません。

アメリカでは11億円ちょっとの集客成績で、これはアートハウス系の興行としてはまずまず、なんだと思います。振り返って考えるに、やっぱりイギリス映画独特の癖やアクも強くて、そういう部分が欠点に見えず能動的に楽しめる人にはなかなかいいんではないかと思ったりもしました。日本でも今年公開予定だそうですが、さて…


IMDb: Mrs Henderson Presents
Official Site: The Weinstein Company

Mrs Henderson Presents