七時雨山(1,063m)岩手県八幡平市 新・日本百名山、東北百名山
「七時雨山に登ります」と山岳同目の部長に告げると、
「宮沢賢治の…」と返してくれた。
調べると宮沢賢治の詩集「春と修羅」の中に、七時雨山の名があったので、まずはそれを載せよう
一 本 木 野
七時雨(ななしぐれ)の靑い起伏は
また心象のなかにも起伏し
ひとむらのやなぎ木立は
ボルガのきしのそのやなぎ
天椀(てんわん)の孔雀石にひそまり
藥師岱赭(やくしたいしや)のきびしくするどいもりあがり
火口の雪は皺ごと刻み
くらかけのびんかんな稜(かど)は
靑ぞらに星雲をあげる
(中略)
こんなあかるい穹窿(きうりう)と草を
はんにちゆつくりあるくことは
いつたいなんといふおんけいだらう
わたくしはそれをはりつけとでもとりかへる
こひびととひとめみることでさへさうではないか
(後略)
以上
ゴールデンウィークから八幡平のドラゴンアイを気にしていた。
そして今年は例年より開眼が早くなるとの予想だし、ヤマップにあがる写真を見て、開眼は5月11日の週末ごろと勝手に予想し、行くことにした。
金曜日の仕事を終え、毎度おなじみとなってきた中尊寺PAで車中泊する。
登山当日は3時前に目が覚める。バナナを食べ出発。七時雨山登山口駐車場には6時過ぎに到着。すでに一台車があった。
駐車場からは七時雨山が高曇りの下、綺麗な姿で立っている。「あのピークまで往復するのか」と思うと時間が掛かりそうだが、ガイドブックでは4時間弱のようだ。
車外に出るとウグイスの声が聞こえる。少し風があり肌寒く感じたので、インナーの上にロングスリーブジップシャツを着て、さらに薄手のウインドブレーカーを羽織った。
登山口に向かう途中で撮った。双耳峰だ。
この時車は自分のを入れ2台だけ
白い柵を開いて中に入ります
準備をし6:22に出発。まずは牧場を歩くため鉄の扉の鍵を開けて再び鍵をする。まずは広々とした牧場歩きの後に二度林の中を横切る。ウグイスの声は遠くなるが、二度目の林の中には沢があり、もうすでに大きくなった水芭蕉の葉っぱが見られる。時期が早ければキレイなんだろうな。林を突っ切ると草原に出て、「一本桜」の標識とその先に一本だけ大きな桜の木が遠目にもはっきり見える。そこに一合目の標識があった。その先で上からソロの男性が足早に下ってきてスライドした。きっと駐車場にあった車の持ち主であろう。三合目までは高原を歩く。振り返ると田代山が凛と立っている。
今回のスタイル
2度林の中を通ります
振り返ると田代山
二つ目の林の中
短い橋がある
再び草原に出ました
標識の向こうに
桜が一本咲いていました。オオヤマサクラという種類らしい。
入山し20分で一合目
何だか素敵な木立。この間を通ります。
振り返り田代山
そして三合目からいよいよ山に入り本格的な山登りとなる。山中は風がなく汗がジワジワ出てくるが足元にはニリンソウの可憐な花がある。大きなクマよけの鐘があるので鳴らしてみると自分のクマ鈴のような真ちゅうのような音色だが、何十倍も大きな音が響いて、鳴らした自分が驚いた。
五合目付近で手持ちの小さな簡易気温計を見ると12℃くらいになっていた。足元には黄色い花が現れた。七合目を過ぎたころからオオカメノキやキクザキイチゲが出てきた。
入山し35分で三合目
ここから山に入ります
ニリンソウ
大きなクマよけの鐘
空は高曇り
スミレ
六合目を通過
アオキ
まだ眠たげなイチゲさん
今年初のオオカメノキ
九合目から先は尾根歩きとなり傾斜は緩やかになる。ようやくお目当てのサンヨウカが現れたが花は散り始めていた。かたい蕾のマイヅルソウが沢山あった。そして歩くこと90分ほどで北峰に立った。誰もいない山頂は風は強い。南峰越しに左手に岩手山が見え、右手にこれから行く八幡平?の白が見える。三脚で自撮りしたのち南峰に向かう。一度下り再び登り返すのだが、熊笹が伸びていて少し歩きにくかったが、北峰から11分で南峰に立てた。
九合目。右が北峰、左が南峰
散りかけていたサンカヨウ
エンレイソウ
蕾がいっぱいのマイヅルソウ
散り際のミネザクラ
入山し90分、北峰に到着。
南峰と岩手山
南峰と八幡平?
南峰へ向かいます
クマザサ団地(勝手に命名)
腰上の高さの笹
南峰が近づいた
遠くに姫神山のトンガリ
南畝到着
お腹が減ってきたので風をしのぐように地面に腰を下ろし、お湯を沸かしカップ麺を食べた。リュックを下ろした時、青い汗拭きタオルが見当たらなくなっていた。きっと北峰から南峰の間の熊笹団地で落としたかもしれないと思った。
南峰山頂の様子
三角点のようなものにタッチ
獅子頭
岩手山
立ち木を入れてみました
八幡平方面
カップ麺を食べました
カップ麺を食べたのち来た道を忠実にたどり下ることにした。失くした汗拭きタオルは案の定、熊笹に絡んでいた。北峰から下り始めるとどんどん人が登ってきた。数えていたが10組を超えたあたりから数を数えるのを諦めた。太陽が昇ってきたので登りでは少し元気がなかった花たちは元気に花びらを開かせていた。
南峰中腹から見た北峰
小さめのエンレイソウペア
再び姫神山
汗拭きタオル発見
北峰を下ります
小さなスミレ
再び、オオカメノキ
三合目標識と田代山
駐車場が遠くに見える
あの白い群生は…
ニリンソウでした
再び素敵な木立
木々の間の道
登山口の柵
駐車場には多くの車が止まっていた
駐車場から。あの山のてっぺんまで行ってきたんだね
駐車場に戻ると広い駐車場に多くの車が止まっていた。汗で濡れたシャツを脱いで新しいシャツに着替え、いよいよ八幡平のドラゴンアイに会うため車を走らせた。
-完-