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昨日より、引き続き、子連れ別居を、「子の連れ去り」としてそこだけ切り取って、社会問題として扱うべきではないという強い主張をしています。子連れ別居には、一般化できない色々な経緯があり、事後的評価の基準については、昨日、記載したとおりです。私が反対しているのは、「連れ去り切り取り厳罰化」です。

 

こちらが、その意見表明のツイートです。

 

これに対して、「子ども思いで、家事も育児も十分な分担をしてきた育メンで、DVもモラハラもしていない夫から、妻が子どもを連れて家を出ていく」というケースがあるというコメントをいただきましたので、それって、例えばどういう場合があるのでしょうかとお尋ねしたら、以下の8つのご主張をうけたまわりました。

 

1 弁護士そそのかし説 

2 実家による支配説 

3 役割や相手方像に夫婦間で齟齬があった説

4 モラハラしてたが、夫の故意がなかった説

5 不貞クズ妻説  

6 妻が精神的に病んでいる説 

7 夫は良い人だったが、夫の実家からいじめられた説

8 子連れ別居には色々な出来事と要因があって一概にいえないから一般化できない説

 

前提として、私の上記のツイートは、実際の事件で、DV加害者(その多くは夫)が、子連れ別居した配偶者(その多くは妻)に対して、「俺は何一つ悪くないのに、妻が連れ去った。そのせいで、親子が断絶した。」と主張されますので、それに対するカウンターとして、言葉を選んで申し述べたかたちのものです。ですので、夫が多少なりとも自責の念を有している場合を対象としておりません。そもそも、自分に何かしらの自覚のある人たちが、「連れ去り」を社会問題化しているということではないと承知しております。


「俺は何一つ悪くないのに、妻が連れ去った。そのせいで、親子が断絶した。」と主張する人たちに、じゃあ、聞くけれど、「あなたが何一つ悪くないのなら、なぜ、あなたの配偶者は家を出たのですか?」-そういう設定です。

 

さて、上記のうち、「1 弁護士そそのかし説 」は、DV加害者が、主張することが多い第1位の説です。自分のDVやモラハラをおおいかくすための方便として多用されています。「妻」の人格や意思を認めず、誰かに支配されていると信じたいDV加害者の思惑に合致する説です。夫婦に何の問題もなければ、弁護士のところに来ません。以上。この主張が出た時点で、「合理的な答えがない」と言っているに等しい。加害者しか言わない理論だと思います。この説をとる加害者が、面会を拒む子どもに対して、「片親疎外症候群」なる概念をもちこんで、子どもが監護親から支配されていると主張して自己の正当化をはかっていることはこれまで何度も指摘してきたとおりです。これを社会問題として、「連れ去り厳罰化」を目指すなど愚の骨頂です。

 

「2 実家による支配説」は、 DV加害者が、主張することが多い第2位の説です。大人なんです。人格を認めましょう。日本の家族に、毒親は多いから、結婚後も、自分の親の顔色をうかがうような人がいるかもしれません。でも、一旦、結婚したのでしょう?子連れ別居のところだけ「支配」されたの?人が生きる上で、誰の顔色をうかがうのかを決めるのも自分だし、そもそも自分で何でも決めているようで、人は誰かの影響を受けて行動しています。夫が、夫の実家の意向を色濃くうけているケースもありますが、「夫は実家に支配されている」などという主張は見たことがありません。「2 実家による支配説」を主張する人は、結局、配偶者の人格や意思を認めない人なんだなと推定していまいます。その人の意思決定を大切にできない人が、「DVもモラハラもしていない」とは思いません。

 

とはいえ、妻の親が猛毒の毒親だというケースもあるという主張が予想されるので、その場合でも、「連れ去り」を社会問題とするべきでないということをご説明します。類似のものとして、妻が何かしらの宗教に支配されているというものもあります。これについて、妻が子どもの養育に有害なら、「子ども思いで、家事も育児も十分な分担をしてきた育メンで、DVもモラハラもしていない夫」は、子どもを連れて家を出て下さい。そのまま放置することは、子どものためになりません。そして、その場合に、妻の方が先に子どもを連れ去ってしまったなら、早期に、子の監護権者指定・引渡しの審判を(場合によっては仮処分も)申立をして下さい。本当に、家事も育児も十分な分担をしてきた育メンであれば、監護権は認められます。実は自称育メンで、妻に家事と育児を丸投げしていたような場合は、看板に偽りありなので、妻に有害性がなければ、監護権はみとめられにくいでしょう。子ども第一に考えるということはそういうことです。

 

「3 役割や相手方像に夫婦間で齟齬があった説」は、どちらが良い悪いという評価はできませんが、夫婦関係の破綻は否めないと思います。離婚するしかないかという場合に、その話し合いに先立って、家を出ることはやむを得ず、子どもを連れて出ることも、置いて出ることもできる。あとの話は、昨日記載しました、松戸100日面会の控訴審判決のとおりです。

 

「4 モラハラしてたが、夫の故意がなかった説」の場合、妻が子連れ別居することは自然であって、こういう場合に、行動が萎縮すれば、子どもにとっても危険度が高まりますので、「連れ去り」の切り取り厳罰化などはあってはならないと強く申し述べているのです。


「5 不貞クズ妻説」は、 DV加害者が、主張することが多い第3位です。DV加害者による、「でっちあげ不貞」が非常に多い。そのことは指摘しておきます。「5 不貞クズ妻説」は、結局、前述の、妻の実家が猛毒の毒親説と同じ類型なのだと思います。妻が子どもの養育に有害なら、「子ども思いで、家事も育児も十分な分担をしてきた育メンで、DVもモラハラもしていない夫」は、子どもを連れて家を出て下さい。そのまま放置することは、子どものためになりません。そして、その場合に、妻の方が先に子どもを連れ去ってしまったなら、早期に、子の監護権者指定・引渡しの審判を(場合によっては仮処分も)申立をして下さい。妻が有害なら、夫に監護権が認められます。なお、夫が不知の病にかかるや妻が子どもを連れて家を出るという場合は、「妻がクズ説」の場合もあるでしょうが、夫の病気の内容によっては、家族としての維持が難しい場合があります。その場合は、初期設定と違ってくることになり、子連れ別居が非難されるいわれはないと思います。

 

「6 妻が精神的に病んでいる説」も、 DV加害者が主張しがちです。「でっちあげ精神病」の場合は、それ自体が加害的な主張となりますし、加害により追いつめた結果、妻がリアルに精神的に病んでいるという場合も多いです。妻が精神的に病んでいるという場合は、その原因がどうかということより程度によることが多いと思います。子育てができないほどに精神的に追いつめられていれば、いくらその原因が夫にあっても、子育てが困難な場合があります。その場合に、加害者に監護権や親権が認められることになりますが、これは本当に難しい問題だと思います。とはいえ、そのような場合に、子どもを連れて家を出た妻を処罰した方が良いとは思いません。妻が精神的に病んでいる理由が、夫には関係がないという場合は、妻が子どもの養育に有害なら子どもを連れて家を出て下さい。そして、妻の方が先に子どもを連れ去ってしまったなら、早期に、子の監護権者指定・引渡しの審判を(場合によっては仮処分も)申立をして下さい。妻が有害なら、夫に監護権が認められます。

 

「7 夫は良い人だったが、夫の実家からいじめられた説」は、私は、成り立たないと思います。夫の実家が妻をいじめているのに第三者的に「俺は悪くない」というような人は、「子ども思いで、家事も育児も十分な分担をしてきた育メンで、DVもモラハラもしていない夫」という初期設定に合致しません。

 

そして、「8 子連れ別居には色々な出来事と要因があって一概にいえないから一般化できない説」

 

自説やないかい!!自説です!じーせーつー!!

一周回って、このリプがついてたときには驚愕したわよ。

 

子連れ別居にいたるには、色々な出来事と要因があって一概にいえないから一般化できません。それは、事後的に評価するほかなく、子連れ別居後の監護権者を誰にするかについては、協議もしくは調停、争いがあるなら審判で決めてください。長々書いてきたけど普通のことだよね。子連れ別居のすべてが、モラハラでDVだなんて、これまで、1度たりとも言っていません。

私が言いたいことは、子連れ別居を、そこだけ切り取って、あたかも「連れ去り」なる社会問題が生じているかのような設定は、DVモラハラからの避難を妨げるから有害。そして、そのことはもう決着がついています。

 

離婚後共同親権論者の、「連れ去り厳罰化」は、法制審議会で議論されません。今後も導入される可能性はないでしょう。民法改正に、「連れ去り厳罰化」の夢を見ている離婚後共同親権推進論者は、お祭り騒ぎに利用されているだけだということに早く気付いた方がいいと思います。

                                                   以上