新しい浪曲の扉をたたきたいと思います。

今までも、現代の主婦の日常、部活で浪曲に熱中したりしなかったりする女子高生の青春、歴史物、宇宙戦争と、あらゆるジャンルに挑戦はしましたが、

いずれも、昔ながらの浪曲のスタイルにのっとって本書きをして来ました。

大体は疾走感のある節で威勢よく締めるため、基本はハッピーエンドか、時々劇的な悲劇のスタイルで締めてました。

いずれも、きっちり終わらせるか、「ちょうど時間と」としていました。

終わり方だけではなく、それに向かう起承転結や山場などを計算していたのですが、一度それを忘れて、違った世界を描いてみたいとチャレンジしたのが、


不条理浪曲


です。でかでかと書いてみました。

演劇の世界に、不条理劇というのがあります。

作者、作品、果ては見る側の印象によって「不条理」の在り方が違ってくるのが面白く、のめり込みました。

その中でもサミュエル・ベケットの戯曲集を読んだりして、けっこう意味がわからなくて、読むたびに考える事が違うという衝撃がありました。

ベケットの戯曲は不条理劇とかでくくれないかもしれないけど・・。

で、有名な「ゴドーを待ちながら」を浪曲化したいと昔から漠然と思っていたのですが、観ている人に一緒に体験してもらうにはどうしたらいいかと考えると、そのまま浪曲化より、私の思った「何かを待つ」ことを考えた読書感想文的な新作にしました。

舞台は令和、コロナ禍、円安物価高、そして登場人物は家庭や家はあっても居場所が見出せない主婦にして、言いたいことを言っていくスタイルにしたいと思いました。

不条理浪曲=私の言いたいことを言う

というのがなんか書きながら繋がりました。


特に、もう一席の「ディアボロス生命株式会社」。

こちらは、ブルース、ミシシッピデルタと言ってピンと来る人にはわかるかな、ロバート・ジョンソンのクロスロード伝説を膨らませてみた、不条理というか悲劇に近い話にしました。

話変わりますが日本である程度先輩の世代にブルースと言うと全然違う歌を思い浮かべられるの、なんか面白いですよね。シャンソンじゃなかねそれ。みたいな。


話戻します。あらすじは、

主人公は売れないブルースマン照夫。

自分の実力が認められない、売れてる人たちに嫉妬が湧いてしょうがない、

ついてない上手く生きられない自分を呪い、死んでしまおうとしていたが、

いきなり現れた挙動不審のサラリーマン鎌田勤に

「寿命を縮めて、華々しい人生を送ってみませんか」

と勧められる。せっかくなら世界最高の人生にしろと息巻く照夫に訪れたのは、とんでもないほどきらびやかな人生だったが、残された数年の人生で、照夫の気持ちも変化してゆく。

というもので、ないものねだりが実現していって果たして幸せか、生きてるって素晴らしいのか、みたいなのを考えた結果、光が見えるなんて事はない場合だってある的な、私が心の底にずっとしまっておいたクソネガティブなエネルギーを吐き出したいと思います。


誰が得するんだそんな泥みたいな話、と自分でも思いますが、

浪曲は弱きものの心の叫びが中心に立っていると、宮崎滔天も言っていたので、それを中心にも頭にも尻尾にも据えようというわけでした。

でも多分、ネガティブもポジティブを意識するエネルギーなんだろうと思うし、そう思えなくても別にいいかな、なんて考えます。

いつもみたいに〽︎ワァーーッ と声出して、パチパチパチー!と拍手を頂戴して、まずー!チョン!これーまでーチョンチョン・・とはいかなくても、戸惑わないでくださいね。

あと泣いていいのか笑っていいのかわからないかもしれないですけど、泣いても笑ってもいいです。

もう流儀も何もあったもんじゃない感じになりそうです。


「いずれにせよ明日は来る」

をテーマにお送りします不条理浪曲の会

五郎を待ちながら

12/15(木)19:00〜

入場料2500円

新宿二丁目道楽亭にて。


ご予約はこちらから。

http://dourakutei.com/


不条理ながら打ち上げはありません、ご了承ください🙏


曲師は広沢美舟さん。

この特殊な浪曲に、映画音楽のような音を加え、より切迫感を与えてくれる気がする・・!


たぶん世界初、どうにもならない浪曲、

大チャレンジ浪曲。

ぜひ、観に来てください。