自家製アルコール | 出力モード

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アウトプットがインプットの質を高めるのでは?

当社グループの「なかむら食堂」が
とあるムックにて取り上げられました。

そのムックとは
『人気バル・居酒屋の創作ドリンク』
(うーん、いい感じに渋い!)


人気バル・居酒屋の創作ドリンク (旭屋出版MOOK)/旭屋出版

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なかむら食堂では、様々なお酒を仕込んでいて
それが支持される1つの理由ともなっているんです。

すでに一昨年のことになりますが、
雑誌「商店建築」の2012年3月号に
「自家製アルコールのススメ」という文章を
寄稿しました。


商店建築 2012年 03月号 [雑誌]/商店建築社

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以下、そちらからの転載です。

* * *

自家製アルコールのススメ

「次に流行るお酒は?」、食に関する仕事をしていると、
こんな質問をしばしば受けます。

食べ物にブームがあるように、飲み物、
中でもアルコールにもトレンドは確実に存在します。

この10年を振り返っても、焼酎、シャンパン、梅酒と、
注目のアイテムは入れ替わっています。

最近では、「ガブ飲み系」と言われる
カジュアルワインが花盛りですし、
韓国のマッコリも飲料各社が積極的に販売していて、
目にする機会が増えました。

では次に来るものは何でしょう?

サントリーが力を入れると宣言したこともあり、
ブランデーが復活すると見る人もいます。

同社はブランデーをソーダで割って
オレンジなどフルーツを加えた
「ブランデー・スプリッツァー」を推奨しています。

あるいは、「クラフトビール(地ビール)」が
ワインに代わって注目を集めると指摘する向きもあります。

そんな中、私が着目しているのは
「自家製アルコール」です。

自家製といっても、原料からアルコールを
つくるわけではもちろんありません。

私たちのグループ会社が運営する「なかむら食堂」では、
自家製の「生姜サワー」が大好評です。

スライスした生姜にスパイスや甘味を加えて煮詰め、
まずは生姜シロップをつくります。

これを焼酎と合わせてソーダで割れば、
オリジナルドリンクの完成です。

この飲み物には非常にファンが多く、
何杯もお代わりをするヘビーユーザーもいるようです。

さらに、この店は最近奇抜なメニューも開発しました。
その名もずばり「ゴボウコーク」。

スライスした生のゴボウをホワイトリカーに漬けて、
まずはゴボウ酒をつくります。

ゴボウの香りが移ったこの酒をコークで割ることで、
摩訶不思議な飲み物が出来上がります。

ゲテモノメニューのようですが、
いざ飲んでみるとゴボウの持つ土臭さと
コークの独特のフレイバーが見事にマッチして、
おいしく仕上がっています。

私がこうした自家製アルコールに着目しているのは、
2つの理由からです。

1つは「店の個性」という観点。

これだけ多くの飲食店が存在する中で、
お客から選ばれてリピートしてもらうためには、
魅力的な個性が欠かせません。

個性を発揮するには料理やサービス、
内装など様々なアプローチがありますが、
お酒を提供する店舗にとっては
アルコールも重要なツールとなりえるのです。

そしてもう1つは、
「お金を払う価値」という視点です。

例えば、ハイボールを考えてみてください。

サントリー角をボトルで買って自宅で飲めば、
1杯あたり100円もかかりません。

中身としては全く同じものが、
店ではその何倍もの値が付けられているのです。

これはハイボールに限らず、
「仕入れたものを注ぐだけ」というタイプの商品では
みな同じことが言えます。

しかし、これだけ節約志向が強まり、
その一環として「家飲み」が増える状況では、
自宅でも飲めるものには価値を感じない人が
増えてもおかしくありません。

それに対して、手間ひまをかけてつくった
飲食店の自家製アルコールには「家では飲めない」
というわかりやすい価値が生まれるのです。

なお、飲食店が自家製アルコールを
提供する際には規制があるので、注意が必要です。

押さえておくべきは、「税務署への申告が必要」、
「アルコール度数が20度以上の蒸留酒
(焼酎やウイスキーなど)が対象」という点でしょう。

後者の規制により、ワインや日本酒などの醸造酒に
漬け込むこと(サングリアや日本酒の梅酒など)は
実は違法になってしまうのです。

確かに規制はあるものの、自家製アルコールは
店の個性の発揮に繋がり、そしてお客が喜んでくれる、
そんな喜ばしいものですから、今以上に
多くの飲食店で提供されることを願っています。

そうした状況は、全く同じものが
日本中の至る所で流行るよりも、
よほど健全なはずですから。