感動した全米オープン | 小山哲矢プロの徹夜DEゴルフ日記

感動した全米オープン

先日の全米オープンでは、ブライソン・デシャンボー選手がローリー・マキロイ選手を1打差で退けて大会2勝目を上げました。

デシャンボーの優勝には3つの大きな意味があります。

1つは、USPGAツアーからLIVゴルフへ移籍した選手の優勝という事。

正確には去年の全米プロでLIVゴルフの一員であるブルックス・ケプカが優勝したのがLIV初なのでデシャンボーで2人目。



LIVゴルフへ移籍すると、PGAツアーの出場は即時に出来なくなります。

未だに両ツアーには溝があり、解決策に至っていません。

LIV勢は、メジャー大会のみの出場と限られている中、そのメジャー大会で並いるPGAツアーの大物を退けて優勝したことは物凄い事だと思います。

これを機にLIVゴルフとUSPGAツアーを見直すきっかけになるかもしれない。

期待を抱かせる優勝でした。




2つ目は、デシャンボーの使うクラブに対する考え方。

デシャンボーは昨年から米国のドラゴン選手に愛されるKRANK GOLFの『フォーミュラファイヤープロ』ドライバーにLA GOLFの自身のプロトタイプシャフトを装着し、最終日の最高初速が195mph(87.17m/s)、最速ヘッドスピードは131mph(58.56m/s)を記録している。

まさに異次元のヘッドスピードで、近年のパワーゴルフの申し子ともいえます。


また、3Wにも入れる『フォーミュラファイヤー』で13番ミドルで325yd(181mph/3878rpm)を放ちワンオンするなど、最速級HSの威力をフルに発揮。


デシャンボーは他のクラブもユニークで、アイアンはAVODA GOLFのプロトタイプのワンレングス(5I~PW)。

全てが7番アイアンの長さのアイアンを使用する。

ウェッジはPING『Glide 4.0』を4本(45,50,56,60°)使用し、パターは上下打点によってロフトが変わるディセンディングロフトが採用された、SIK GOLFのプロトタイプをアームロックで使用している。


全てが独創的で個性的だ。

未だにどの辺りを真似すればいいかプロもアマも手を付けれずにいる。

でもこんなに飛んで強いプロがやっている事。

これが主流になっていく日が近い将来くるかもしれない。



3つ目は、米国ノースカロライナ州にある名門コースのパインハーストリゾート&CC No.2コースで優勝したという事。

パインハーストといえば、25年前の同じく全米オープンでペイン・スチュアートが優勝したコースである。

ペイン・スチュアートといえば、パインハーストて感動的な優勝を果たしたヒーロー。

だけど彼が伝説となり悲劇のヒーローと呼ばれる要因となった出来事が起こってしまう。

優勝から4カ月後。
シーズン最終戦の「ツアー選手権」にプライベートジェットで向かう途中、悲運にも墜落事故により帰らぬ人となってしまうのです。

復活優勝を遂げ、最高のシーズンを締めくくろうとしていた矢先の事故。

スチュアートは伝説となり、悲劇のヒーローとなってしまうのです。

その年の最終戦を残した際の賞金ランクは7位でした。

ペイン・スチュアートとブライソン・デシャンボーは共にテキサス州ダラスにあるサザンメソジスト大学のゴルフ部出身。

ちなみにサザンメソジスト大学は全米の大学ランキングでは上位30%に入る優秀校。


デシャンボーはペイン・スチュアートを崇拝している。

優勝インタビューの際にトレードマークのハンチング帽をかぶり、同じポーズを取って日焼けした笑顔で映るデシャンボーには感動を覚えたし、この瞬間に荒くれ者の変わり者のアメリカ人プロの印象から、みんなから愛される大好きな選手に変わりました。

元々は気性の荒い短気な選手。

ジュニア時代、世界ジュニアで中京GCにも来ていたのですが、物凄いチーピンを打ってブチ切れてたとの逸話もあり。

成長したな、デシャンボー。

ペイン・スチュアートと重なって見えた感動的な大会でした。

ペイン・スチュアートのガッツポーズ