健二と沙織は、古い御霊塚に興味を持ち、夜中に訪れてみることにした。
塚には古びた祠があり、苔むした石碑が並んでいた。
「これが御霊塚か」と健二が言い、沙織が「何かいる気がする」と呟いた瞬間、
祠の奥から「来たな…」という低い声が聞こえた。
二人は驚いて後ずさりしたが、足元に無数の手形が浮かび上がり、次第に近づいてきた。
「逃げよう!」と沙織が叫び、二人は御霊塚から走り去った。
しかし、数日後、健二と沙織は突然行方不明となった。
警察が御霊塚を捜索したが、二人の痕跡は見つからなかった。
それ以来、夜になると御霊塚の祠から「来たな…」という声とともに、石碑の周りに無数の手形が浮かび上がるようになた。村人たちは恐れおののき、御霊塚には絶対に近づかなくなったが、興味本位で訪れた者は二度と姿を現すことはなかった。