【EURO2024】英代表・トリッピア選手のピクルスジュースが話題!アスリートが注目するその効果 | 経営者や起業家、アスリートが自分史上最高のコンディションとハイパフォーマンスな脳と身体を手に入れるKARADA DESIGN ACADEMY

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アスリートが注目するピクルスジュースとは?

6月19日に行われたEURO2024、イングランド代表対セルビア代表の試合中、

イングランド代表のキーラン・トリッピア選手がピクルスジュースを飲む姿が注目を集めました。

 

試合中に筋肉のけいれんを起こしたトリッピア選手は、スタッフからピクルスジュースを手渡され、

それを口に含んだ後にピッチに戻りました。

 

 

 

アメリカのメディア『EUROSPORT』でもこの話題ついて取り上げられており、

「SNSなどでトリッピアがドーピングをしているのではないかと非難する言葉もあった」と

伝えていましたが、じつは治療のために特別に用意されたものでトリッピア選手が飲んでいたのは

「ピクルスジュース」だということが判明しました。

 

この様子がSNSで拡散されると、ピクルスジュースが瞬く間に話題となり、

AmazonやiHerbなど購入する人が続出しているとのこと。

ピクルスジュースとは、ピクルスを漬けた後に残る液体のことを言いますが、じつはこのピクルスジュース、

近年アスリートの間で筋肉のけいれん予防・緩和効果があるとして注目されています。

 

 

 

ピクルスジュースの3つの効果と研究結果

ピクルスジュースが筋肉のけいれんに効果的な理由として、主に以下の3つが挙げられます。

  1. ナトリウム補給: 汗で失われたナトリウムを補給することで、筋肉の収縮を正常に保ち、けいれんを防ぐ。

  2. カリウム補給: カリウムは筋肉の機能を維持するために重要であり、不足するとけいれんを起こしやすくなる。
    ピクルスジュースにはカリウムも多く含まれている。

  3. 酢酸: 酢酸には神経を刺激して筋肉の収縮を促す効果があり、けいれん緩和に役立つと考えられている。

しかし、これらの効果について、じつはまだ科学的な根拠は完全ではないんですね。
 

NIKEが2022年12月9日にWEBサイトで公開した記事で、
理学修士・管理栄養士のシドニー・グリーン氏がこのピクルスジュースについて解説しているんですが、
この記事内でもグリーン氏は「ピクルス液が筋肉のけいれんを和らげる、または水分補給を促すかどうかについて

調査している研究は少ない。」と書かれています。


記事の中ではいくつかの研究について触れられていまして、

「2009年の『Journal of Athletic Training』で発表されたランダム化対照臨床試験では、ピクルス液、水、そして

一般的な糖質電解質溶液という3種類の液体を摂取した後、血液中の電解質がどのように変化するか調査した。 

この研究の被験者は男性9人のみだったが、3種類の液体間で電解質の濃度に有意な差は見られなかった。」とのこと。

 

参考)『Electrolyte and plasma changes after ingestion of pickle juice, water, and a common carbohydrate-electrolyte solution』

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続いて2010年の『Journal of Medicine and Science in Sports and Exercise』に掲載された研究記事では、

ピクルス液が筋肉のけいれんの期間を短縮する可能性について着目。

 

「この小規模な研究(やはり被験者は9人のみ)では、男性9人を水分不足の状態にして筋肉のけいれんを発生させた。

 神経刺激と筋肉のけいれんの後で、被験者は少量のピクルス液、または脱イオン水(イオンが含まれない水)を摂取。

その結果、水に比べてピクルス液ではけいれんの期間が短くなり、水を摂取した場合、または何も摂取しなかった場合より

早くけいれんが治まることが判明した。 興味深いことにこの研究では電解質のレベルに大きな変化は見られなかった。

どうやら、筋肉のけいれんに影響を及ぼしたのはピクルス液の電解質成分ではなかったようだ。」

 

さらに記事の中では、
「電解質が筋肉のけいれん短縮の要因ではないのなら、他のメカニズムが作用したはずだ、と研究者は推測している。 

同じ2010年の研究記事では、筋肉のけいれんに対するピクルス液の効果は酢酸(酢)の成分に起因することが示唆

されている。 十分な数の研究によって裏付けられているわけではないが、この説では、酢酸の酸味が喉の奥にある

神経系受容体を刺激すると推測。 それが反射を引き起こし、抑制性神経伝達物質の活動が増加すると考えているのだ。 

抑制性神経伝達物質は、神経系を通じて運ばれてくるメッセージ(筋細胞に収縮を命じるものなど)をブロックする。

抑制性神経伝達物質の活動によって、筋肉のけいれんは抑制される。」
と述べられています。

参考)『Reflex Inhibition of Electrically Induced Muscle Cramps in Hypohydrated Humans』

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ピクルスジュースによる筋肉のけいれんの緩和は、先ほどの3つの効果の中の3番目、

酢酸による効果が最も高い可能性があるのかもしれません。

 

ちなみに最近の研究では、

2019年の『SPORTS MEDECINE』でもピクルスの汁がけいれんの持続時間を短縮するのに有効であるとの

研究結果を紹介しました。

 

けいれん誘発後2秒でピクルス汁1mLを摂取した場合、水を摂取した場合と比較して、けいれんの持続時間が

平均で約37%短縮したことがわかったとのこと。

「摂取したピクルスの汁が循環電解質濃度に影響を与えないことから、ピクルス汁がけいれんの持続時間を短縮する

メカニズムには、影響を受けた筋肉を支配するアルファ運動ニューロンの発火率を低下させる口腔咽頭領域の受容体

の活性化が関与していると提唱した」とも記事の中で述べられています。

参考)『Muscle Cramping During Exercise: Causes, Solutions, and Questions Remaining』

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しかし、これらの研究は小規模なものであり、

ピクルスジュースの効果を断定するにはさらなる研究が必要だと思います。

 

 

 

実際のアスリートの利用状況

現時点では、ピクルスジュースがすべてのアスリートにとって有効であるとは言い切れません。

しかし、実際に多くのアスリートが大会や練習中にピクルスジュースを摂取しており、

一定の効果を感じているみたいです。

 

先ほどのアメリカのメディア『EUROSPORT』によると、

このピクルスジュースは過去にも多くのアスリートやチームで予防法として活用されていたとのことで、

記事内では「2019年にアーセナルでプレーしていたルーカス・トレイラ、昨年ウィンブルドンで

ノバク・ジョコビッチに勝利した際のカルロス・アルカラス、そして2019年の全豪オープンで準決勝に

進出できたのはこの物質のおかげだと語っていたアメリカのアスリート、フランシス・ティアフォなどがいる」

と報じていました。

 

これらの選手以外に、試合中に筋肉のけいれんに悩まされていたり、

パフォーマンス改善を目的としてピクルスジュースを摂取しているアスリートは多いのは事実のようです。

 

ちなみにイングランドではチーム内でこのピクルスジュースをいつでも飲めるよう常備しているとのことですが、

同じイングランド代表メンバーのメイヌー選手やカイル・ウォーカー選手はあまり乗り気ではないみたいです(笑)

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まとめ

ピクルスジュースは、運動中の筋肉のけいれんを予防・緩和する効果が期待できる飲み物です。

しかし、効果は個人差があり、飲み過ぎには注意が必要です。

ピクルスジュースを摂取する前に、自身の体調や体質に合わせて判断することが大切。

 

ピクルスジュースは、まだ研究段階ではありますが、今後アスリートにとってのパフォーマンス向上に役立つ

可能性のある興味深い飲み物と言えるのではないでしょうか。

 

以前、サッカーのブラジル代表がリカバリーやコンディション維持のために愛飲していたことで話題になり、

日本のサッカーチームで一時取り入れられるようになったアサイーのような存在になる日が来るかもしれません。