【市ヶ谷ツアー】の報告です。
先ほどの栗林中将の続きですが、
皆さん、一度はこの言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
【散るぞ悲しき】
この言葉、どんな場面での発言だっかというと・・・
そう、写真にも掲載しておりますが電報だったのです。
捨て身の総攻撃をかける前に、
大本営に向けて打った電文の中にある辞世の句です。
しかししかし、
実はここにはカラクリがありまして・・・
電報の右下部分、修正されている部分が
あるんです。
この「訣別電報」の電文は
大本営によって改ざんされ、新聞紙上に発表されました。
他にも、この電報文にない言葉が追加されたり
内容を修正されたりと上層部により手を加えられたのです。
ズームにしてみました。
わかるでしょうか。
「散るぞ悲しき」のところが
「散るぞ口惜し」に修正されているんですね・・・
手書きで、右脇に加筆されています。
この「悲しき」の言葉にはいろんな解釈があり、
補給もままならない状態での戦いが悲しい、
兵士達を家族のもとへ還せないのが悲しい、
国のために兵士が死んでいくのが悲しい、
等様々ですが
いずれにせよ軍人が「悲しき」なんて言葉を用いるなんて
けしからん！的な上層部により加筆修正され、
美辞麗句ばかりが並んだ電報が
新聞紙上に掲載されたのでした。
当時、アメリカ国民は戦争の進捗状況を心待ちにしており
硫黄島での決戦についても新聞社が大々的に報じていましたが、
なかなか陥落しない硫黄島の日本軍に
アメリカ全土が驚きと賞賛の声を上げたのです。
数日程度で陥落できると予想していた米軍とは裏腹に、
（日本軍も５日程度で陥落するだろうと予想していた）
栗林中将は想定していた以上の、なんと一ヶ月以上も
善戦を続け、アメリカに甚大な被害を与えました。
そのため、栗林中将は
「アメリカをもっとも苦しめ、
それゆえにアメリカからもっとも尊敬された男」と
評されています。
アメリカで尊敬され、また畏敬の念を集める唯一無二の存在ですね。
この電報を遺言とし、栗林中将の奥様は
大切に保管されていたそうです。
記念館に展示するにあたり、この電報のほかにも
ご子息に宛てた絵手紙等がご遺族により寄贈されています。
「散るぞ悲しき」の作中にも、栗林中将が硫黄島から家族に宛てた手紙が
いくつか紹介されていますが、
森内が一番印象に残っているのは
「家の中の整理は大抵片付けてきたと思いますが、お勝手から吹き出してくる
隙間風の措置をとっていなかったことが心残りです」と
たいへん庶民的（！）な、マイホームパパぶりを発揮しているものでした。
あの時代の軍人が、自宅でDIY作業をするなんて・・・
（栗林中将は棚を作って部屋に設置したりと、家族のためにDIY作業を
普段からしていたそうです）
今でこそDIYは浸透してますが、あの時代の軍人が・・・と
驚きました。
栗林中将の貴重な資料に触れ、また既読の本の内容とも
見事にリンクし想定外のうれしい出来事でした。
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