「政治の8割は政策や理念、原理原則で考え、好きだ、嫌いだ、コンチクショーの感情は2割にとどめるべきだ」

 

これは私が国会議員になったばかりの頃に、派閥の領袖で副総理だった渡辺美智雄さんが残した言葉として渡辺喜美さん(当時、みんなの党代表)に教えて頂きました。

 

ところが、永田町での6年間で見えたのは8割、いや9割以上が感情や好き嫌いで成り立っているという政治の世界でした。

 

人間が集まって営まれる世界ですから、好悪の気持ちが入るのは仕方がないことです。

 

私はビジネスの世界でも、それを散々見てきました。

 

しかし、企業としてうまく行っているのは「理念や目標達成に向かう力」と「好きだ嫌いだ」がせいぜい五分五分のところ。

8割以上が感情論で動いている組織が利益を出し続け、社会のために新しい価値を創造することはできません。

ましてや、その感情論を動かしているのがその会社の名誉顧問や元会長たちであったとしたら尚更です。

 

今回の総裁選で自民党の皆さんは長老と派閥の力学を重視し、*プロダクト・アウトの手法を選んだという結果になりました。

(国民の考えに近い党員党友票は世論調査通り河野さんが過半数を獲得してもおかしくない状況でしたが、特に選挙後半戦で組織的な動き(各党員票にも取りまとめている議員がいます)を強め、反・河野勢力はその数を減らす事に成功しました。締め付けとバンドワゴン効果によって想定以上に大差がついた国会議員票は言わずもがなです)

 

直後に迎える衆院選では総裁選が長きに渡ってメディアジャックした事により、大きな変化はないかも知れませんが、私はその考え方がいつまでも続いて変われない政権政党が日本の行く末を占っているような気がし、心配でなりません。

 

岸田さんは結局、過去の遺物を背負ったまま崖っぷちの日本の舵取りをしていく事になります。しかし、withコロナとその先の成長ビジョンをしっかりと描き、行動に移すためには、それを削ぎ落としていく勇気が求められます。公約とした役員任期を定める党改革もその一つです。日本がじわじわと沈みゆくままで安定政権など作っても本末転倒です。少しでも改革マインドを高めて頂く事を期待せざるを得ません。


そして、次こそは好きだ嫌いだではない、真に政策重視の総裁総理が生まれるのか、皆さんと共に注視していきたいと思います。


 

 

*プロダクト・アウトは会社の作りやすいもの、作れるものを基準に商品開発を行い販売する手法。モノが不足している高度成長期に特に有効だった。

それに対してマーケット・インは消費者の意見・ニーズを汲みとって製品開発を行うため、多種多様な時代に必要不可欠な考え方と言える。