昨日、去年9月に白紙撤回された東京五輪・パラリンピック公式エンブレムの最終候補作品4点が公表されました。


このようなやり直しが必要になってしまった最大の要因は、組織委員会もデザイナーも、商標権や著作権といった知的財産権についての意識が低かったこと。


今回はその反省から、商標に関しては、8000万円以上をかけて徹底的に登録調査をしているようですし(前回の2300万円より大幅増)、著作権についても、模倣したものでないことを担保するために、200字以内のコンセプト及びアイデア段階のデッサンを提出するよう義務付けています。



お金を掛け過ぎではないかという議論が別途あるかもしれませんが、知的財産権の点については、かなり対策ができているのではないでしょうか。


しかし、前回のエンブレムには、選考の不透明性・不適切性という別の問題もありました。審査員8人が全てデザイン関係者で身内による出来レースだったのではないかという疑念を持たれてしまったのです。



この点についても、王貞治さんや杉山愛さんを委員に迎え、審査の一部をインターネットで中継するなど、それなりの対策がされていたはずですが、4候補の一つがいったん落選したものを繰り上げた作品だったことから雲行きが怪しくなってきました。


組織委員会は、商標調査で「すべて落ちてしまうのではないかと危機感があった」、「エンブレム委員が投票で選んだ」と説明していますが、いつ選んだのかなどは公表しませんでした。当初の選考方法でも、選考過程でも、敗者復活があることについては明らかにされていなかったため、選考の透明性・適切性に再び疑念が抱かれる事態となってしまいました。


なぜ3つではだめで4つの候補が必要だったのか、具体的にいつ・どのようにして4つ目を決めたのか、しっかりと説明責任を果たさなければ、またエンブレムにケチがつくことになりかねません。

日本も世界も心待ちにしている4年に一度のスポーツの祭典。
勝敗も大切ですが、フェアプレー精神が最も重要な理念です。


そのエンブレムの決め方がアンフェアであっては絶対にいけません。