戦後最長の延期となっている189通常国会。

9月に入りましたが、安全保障以外の政策についても、各委員会での議論が行われています。

経産委員会では、既に全ての法案等の審議を終えていますが、本日一般質疑(経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査)が行われました。



私は、その中で、エンブレムの再公募に対する提言をさせて頂きました。



今回の問題組織委員会もデザイナーも、商標権、著作権といった知的財産権についての意識低かったことに起因しています



日本において著作権侵害が認定されるには、①依拠性(他人の著作物を元にしていること)、②類似性(創作的な表現が同じ又は似ていること)、③利用行為(著作権法21条~28条に定められた行為)の三つがセットで必要だと言われており、単に同一、又は類似の著作物が利用されていたとしても、それが偶然に似たものだった場合、つまりは模倣されたものではなかった場合については、依拠性がなく侵害になりません。

しかし、この依拠性というのは、著作権法上の要件ではなく最高裁判例上のものです。

そこで、政府に確認したところ、他の主要国においても判例等により同様の取扱いがされているという答弁でした。



他のどの著作物にも全く似ていないエンブレムを作成するというのは不可能に近いと思いますので、やはり重要なのは、模倣していないことではないでしょうか。この点が、新しいエンブレムの選考にあたって最も注意すべきことだと思います。



今回、佐野さんからエンブレムの権利を譲り受けるにあたって、組織委員会が、「第三者の著作権等を侵害するものではありません」というような誓約書を受け取っていたという事実は確認されていないとのこと。



応募要項には、「未発表かつオリジナルなものであること」という条件があったようですが、それだけでは不十分です。



やはり、最終的な採用の段階、権利移転の段階で契約書等の形で、はっきりと表明してもらう必要があります。



同じ過ちを繰り返さないためには、「第三者の著作権等を侵害するものではありません。何かあった場合は責任を取ります」という契約書ぐらいはデザイナーと交わすべきです。



もちろん、それだけで全てを防げるわけではありませんが、佐野さんの場合をみると、著作権や商標権に対しての意識が元々薄かったことが今回の大きな騒動に繋がってしまいました。その自覚を持ったデザイナーに絞るだけでも効果があると思います。



また、その際には、今回のような損害賠償問題が起きた場合の権利関係の処理についても取決めをしておくべきです(「本件ロゴについて第三者との間で紛争が生じた場合、は、自らの費用負担をもって対処することとする。」といった規定を入れる等)。



今日の委員会質問では、内閣官房のオリンピック・パラリンピック担当の方に答弁して頂きましたが、それを聞いている限りではそのような契約になっておらず、現在発生している損害を誰が支払うのか決まっていないようです。



舛添都知事は、昨日、「もったいないので、使えるものは使う」と述べ、エンブレム入りの紙袋や職員の名刺は廃棄せず、在庫がなくなるまで使うなどと発言していました。



現在は、佐野さんのエンブレムを巡って、リエージュ劇場側が、著作権侵害を理由に、IOCに対して使用差し止めを求める裁判を起こしており、白紙撤回後もその訴えを取り下げない方針を表明しています。



そんな中、あらたに著作権侵害の疑いのある行為を行えば、東京都まで裁判に巻き込まれてしまい、訴訟問題を抱えたままパラリンピック・オリンピックに突入することになりかねません。



「裁判に巻き込まれてもいい、勝てるはずだから」という意識が、舛添さんはじめ関係者にはあるのかもしれませんが、訴訟が広がっているというイメージだけでも東京にとってはマイナスですし、国際弁護士費用だけで、東京都が印刷代等にかけた費用より高くなってしまう事が十分考えられます。



のような事態を見ると、特許庁、文化庁等の知財専門家がチームを作り、ビジネスの経験が無く、危険性を認識していない政治家や組織委員会などに適切にアドバイスをする体制を整えてもらう必要を提言しました。



日本全体のイメージに大きく影響を与える問題でもありますので、二度とこのような事が起こらないようにして頂きたいと思います。


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