東京オリンピックのエンブレム問題。
組織委員会の森会長も、舛添東京都知事も、菅官房長官も「問題ない」とのコメントを発表しています。

私はビジネスで商標の問題に何度か直面したことがあり、そんなに生易しいものではないと思いますが。。。
(参照:過去ブログ①「特許法や商標法の改正」 /②「『カツオにゃんこ』と『ジバニャン』」
仮に日本国内での商標権が既に登録済だとしても、無効審判を申立てられる可能性がありますし、登録なしで権利が発生する著作権などで訴訟に持ち込まれるリスクは残ります。
実際に、ベルギーの劇場のマークを手掛けたデザイナーの弁護士は昨日、著作権侵害の疑いがあるとして、国際オリンピック委員会(IOC)に使用差し止めを求める方針を明らかにしています(スペインのデザイナーは態度を明らかにしていません)。

このままでは知的財産権の争いを抱えたままオリンピックが始まってしまう可能性もあるでしょう。

また「イメージ」のリスクも残ります。
リオのオリンピックでも同じような問題が発生していますが、ロゴを見比べると、どうしても東京オリンピックの方が近しいものに見えてしまいます(特に福島復興のロゴの方は、珍しい組み合わせにも関わらず、配色も同じです。色は人の視覚に与えるインパクトが大きいのです。「緑色」に非常に神経質なスターバックスコーヒーのように、世界で色、特に組み合わせの訴訟が相次いでいます)。

日本にいると分かりませんが、世界の大半の人々は、まだ日本と中国を明確に区別できていません(日本人もアフリカの隣国、中東の隣国、中央・南アジアの隣国の違いが分からないのと同じです)
つまり、兄弟国のように思われているわけですが、「商標に対する意識が薄い」「何でもコピーする」というイメージが日中で混同されて世界に伝播してしまうおそれもあります。

まずは早急にデザイナー本人が出てきて身の潔白を説明する責任があります。それが何らかの事情で出来ないのであれば、思い切ってロゴを見直すのも手かもしれません。
国際的な裁判になると、使用するコンピューターから、何をウエブサイトで見たかの記録まで提出を求められる可能性があり、更なる疑義が生じる場合もあります

アンダーコントロールにできない福島原発、新国立競技場、海の森水上競技場、そして今回。詰めの甘さと対応の遅さが続く東京オリンピックですが、何とかピンチをチャンスにして良い大会を実現する必要があります。
その為にもスピード感が重要であり、この問題も早急に結論を出すことが肝要であることは言うまでもありません。