昨日、安保特別委員会での質問の機会がめぐってきました。これで、ようやく元気会として安全保障関連法案の審議に加わることができます。

初回で、かつ34分しか時間がありませんでしたので、法律の中身や詳細は後日に回し、大きな5つの視点を総理に確認させて頂きました。

1つ目は、安倍首相のビジョンについて。
総理が日本をどのような国にしたいかを示していないことが、国民の理解を妨げている最大の原因ですので、伝わりやすいよう明瞭な説明をお願いしました。

それに対する答弁は、「よりよい世界になるためにさらなる貢献をしていく国」というものでした。確かに短く簡単なものでしたが、逆に漠然としすぎていて、何を目指すのかは伝わらない答えだと思います。

私は日本の「平和ブランド力」を更に構築してアジアを中心に経済的にも文化的にも強い結びつきを各国の国民とつくっていく、そして共に新しい価値を創造していく仲間になる、それが日本のビジョンであるべきだと語らせて頂きました。(人道支援・国際協力・個別的自衛権の拡充がベースとも説明しました)

2つ目は、束ね法案について。
今回の法案のもう一つの大きな問題は、11もの法案を一括審議していることです。
あまりにも多すぎて、確認したところ、安倍総理でさえ法案名を覚えきれていません。
そこで、この法案を一度戻して、「存立危機事態」「後方支援」「国際平和協力」などの軸で3つか4つに分けて出し直すという事は考えられないか尋ねました。

総理は、「ばらばらに改正しては相互関係が分かりにくくなってしまう。1本で一覧的に示し、改正の適否を総合的に判断してもらうのが適当と判断した。法形式を改め、再提出する考えはない。」とおっしゃっていましたが、体系を崩さずに幾つかに分割したほうが相互関係も理解しやすいはずです。


3つ目は、今国会での法案成立の決意について。
審議すればするほど、国民の理解が進めば進むほど、内閣支持率が下がっています。衆院での強行採決で大幅に低下し、現在は過去最低となっています。これと非常によく似た構図だったのが、総理の祖父である岸内閣。安保条約の改訂を強行したために、その批准と共に退陣に追い込まれました。
どれだけ支持率が下落しようと、すぐに退陣せざるを得ないような事態に追い込まれることになったとしても、今国会中に安保法案を成立させるのか確認させて頂きました。

安倍総理の答弁は、はっきりとしないものでしたが、何としても今国会中に成立させると決意しているようでした。我々参議院議員としては決して許せないことですが、60日ルールを適用しても可決するという考えです。

4つ目は、事後的検証について。
今回の法案審議は、きちんとした過去の検証もしないで行われていると言わざるをえません。例えば、大量破壊兵器があるとの理由でアメリカが始めたイラク戦争への参加。結局そのようなものは見つかりませんでしたが、なぜ自衛隊派遣を行ったかについての検証は、外務省が政策決定過程を調査し、その結果をわずか4枚のペーパーにまとめて公表しているだけです。
イギリスやオランダでは、第三者委員会が詳細な検証を行い、しっかりと国民にその過程と結果を公開しています(イギリスでは検証過程がネットやTVでオープンでしたし、オランダでは551頁もの報告書がだされています)。
そこで、日本でのイラク戦争の検証は十分だったか、総理に尋ねました。

その答えは、日本を各国と同列に論ずることは出来ない、現時点で第三者による検証を行うことは考えていない、という非常に残念なものでした。

未来への教訓とする為には、公正中立なメンバーによって徹底的に検証し、その内容をより公開していかなければなりません。

5つ目は、事前承認について。
戦争を二度とおこさないためには、「国民」が政府を統制し、政府を真に国民のためのものにすることが必要です。それが憲法前文一段の趣旨です。
ですので、例外が多く、国会の事前承認なく自衛隊を海外に派遣できる政府案から、武力攻撃事態等を除くすべての場合に例外なき国会の事前承認を必要とするよう変更すべきであると提案しました。

総理は、緊急時の対応に支障をきたす可能性があるとのことでしたが、それほどの緊急事態とはどのような事態なのか、まったく具体的な説明がありません。

平和ブランド力を一層高めるためには、自衛隊の海外派遣について全て国会の事前承認という歯止めをかける必要があります。


以上のような質問に対する答弁を吟味し、今後の安保法案審議への方向性を考えていきます。「事後的検証」や「事前承認」等、日本が間違った方向に行かないようにするために効果的な方策もいろいろと考えていきたいと思っています。