会期末が近づくにつれ、参議院では審議・採決の機会が一気に増えてきています。
昨日は「電気事業法等の一部を改正する等の法律案」(電気事業法案)の採決が参院本会議でありました。

法律案は単発で見てしまうと、木を見て森を見ない状態になってしまいます。
電気事業法については度々ブログでも取り上げましたので(例: )、ご存知の方もいるかも知れませんが、1964年から続いた電力独占の一角を崩すものであることには間違いありません。
しかし、一角を崩しても「グループ・持ち株会社経営(法的分離)」を容認したことによって、土台は全く揺るがないままになりますので、実質的には大きな変化は生まれませんし、ベンチャーも再生可能エネルギーも育ち難くなってしまったと言えます。

しかし、今回提出された閣法には(いつものように)、ガスの自由化など、元々の趣旨には含まれていなかった内容も追加されていました。
そのため「電気事業法等の一部を改正する等の法律案」・・・と、非常に読みづらい、「等」という字が2つもついた名称になっています(「等」が付けられると、何を追加しても良いことになってしまいます)。そうすることによって「反対をしづらくする」という効果があるのです。(「ガスの自由化は必要な事ですので」と言われると、少し反対しづらくなります)。

今回の電力改革は元々、東日本大震災・福島第一原発事故が発生したことが大きなきっかけでした。
私は3-11の直後から「電力自由化」の必要性を訴えてきました。
最初の頃は「そんなこと、日本で出来るわけがないだろう!」と国会で野次を飛ばされたこともあります。
しかし、諦めずに進めてきた結果、何とかここまで漕ぎ着けることが出来たのです。

そういう思いもありましたので、ここで「取りあえず良し」として、賛成をしてしまう選択肢もありました。但し、それでは「電力自由化は完成した」というメッセージを送ってしまう事にもなりかねません。

考え抜いた結果、「所有権分離で真の自由化を実現するべきだ」との理念を貫き、やはり反対をすることにしました。
もっとも、日本を元気にする会(元気会)には党議拘束がありませんので、場合によっては私が一人で反対をするという結果になる可能性も否めませんでした。

そこで、政調会で自分が反対する理由をしっかりプレゼンし、その後、元気会のメンバー、そして会派の所属議員の一人ひとりと話をして、説得をし、最終的に会派全員で「反対」ということに相成ったのです。

実は、「会派としての反対が必要だ」と思い、所属議員の全員を説得した経済産業委員会の法案は、今回で2件目です(前回は商工中金法の改正です。これもなし崩し的に金融改革を止めるような内容でした)。

これを聞いて、「党議拘束が無いとやっぱり大変ではないか」と思われる人もいるかもしれませんが、私は逆にこうして一人ひとりと議論をし、納得させることが本来の議員のあるべき姿ではないかと思っています。代表や政調会長が採決方針を決定し党議拘束の名のもとそれに従わせる、という考えは間違いだと思うのです。本来は国会議員それぞれが思いや信念を持っているはず。それを公の場でとことんぶつけ合うことこそが、国民からの理解に通じるのだと思います。

また、そういった話し合いをすることによって、気づきや学びを得ることもできます。「自分が一番、この政策に関しては詳しい」と思っていても、違う角度から物事を見せてもらい、ハッとすることが多々あるのです。

米国の国会議員には党議拘束なるものはありません。法案によっては、同じ党内に限らず、他党の議員を説得して、ギリギリ可決するということも当たり前のようにあります。
やはり、「一生懸命話をして、説得する」という考えが民主主義の重要なステップなのです。
皆さんが一票を入れた国会議員が、自分の意に反してロボットのように賛成・反対を押しているだけだと思うと、悲しくなりませんか(笑)?
残念ながら、それが国会の現状です。
今話し合われている安保法制法案も党議拘束なしであれば、こんなに強引に推し進めることはできないでしょう。

今回もこうして、会派として反対をすることができた電気事業法。
その裏には真剣な議論と話し合いがあります。
今後も仲間と共に、真の自由化を目指して改正するチャンスを伺っていきますし、元気会のこの「仕組み」をしっかりと継続していきたいと思います。