昨日、文部科学省と厚生労働省が就職率についての調査結果を発表しました。それによると、この春卒業した大学生の就職率は前年同期比2.3ポイント増の96.7%で、4年連続で上昇したとのことです。これは、2008年のリーマン・ショック以降、最高の数値。また、高校生もバブル期並みの97.5%に達しています。
その要因は、景気回復による企業の採用意欲の高まりと考えられているようです。

これだけを聞くと、日本経済が非常に好調であるように思えます。

しかし、同じく昨日、厚労省は毎月勤労統計調査も公表しています。それによると、2014年度の現金給与総額(基本給や残業代、ボーナスなどを合わせたもの)は月平均31万5984円で4年ぶりの増加となり前年度比プラス0.5%だった一方、物価の影響を考慮した実質賃金はマイナス3.0%で、4年連続のマイナスとのことです。しかも、この下げ幅は統計が比較できる1991年度以降で最大の数値。厚労省によれば、原因は、「消費税引き上げによる物価の上昇に賃金の上昇が追いついていない」こと。

こちらのニュースも聞いてしまうと、日本経済の状況が決して順調なばかりではないことが分かります。

実質賃金が下がっているということは、国民が生活の向上を感ずることなく、消費活動の抑制に走るということです。しかも、その理由が景気の上向きによる物価上昇ではなく、急激な円安や消費増税の影響によるものなのです。

アベノミクスによって大企業サイドや資産家には大きなプラス効果が出ていますが、労働者には十分に恩恵が届いていません。

私も、元みんなの党の議員も、増税の前にやるべきことがあるとして、デフレ脱却を確実に達成しなければならない、それにより雇用状況が改善し、賃金が上昇してくるという段階までは消費増税を止めるべきだ、と訴えてきました。

現在の状況は、そのときに懸念していたことが現実化してしまっているのです。

3月31日に成立した2015年度税制改正関連法によって、2017年4月の実施となった消費税率10%への再引き上げについては、景気条項が削除されています。しかし、実質賃金が低いままの再増税は、景気回復の芽を完全に潰すことになりかねません。よって、引き続き見直しを求めていきたいと思います。

まずは国民目線・労働者視点の政策を行い、デフレ脱却・雇用改善・賃金上昇という流れを作っていくことが最重要です。未だ十分な成果が見えてこない第3の矢ですが、昨日のブログに書いたよう水面下で改革の巻き戻しが続いているようでは、あまり期待できない状況だと言わざるを得ません。