以前、ブログにも書きましたが、基本的に国会の委員会や本会議では「テーマに則した」議論をするべきだと思っています。

会社でも社外取締役が専務取締役に「今日はツナサンドイッチの開発が議題です。それについて15分間、話をして下さい」と言われたら、その社外取締役はツナサンドイッチの話を中心にするのは当たり前です。

しかし、以下のような場合はどうでしょうか?

① 社外取締役たちに「話をさせた」という事実を残すためだけに、議論が出尽くして、結論も出ている「ツナサンドイッチ」について合計7時間も話をさせる(要は、しっかり役員会を開催していますよ!というアリバイ作り)。

② 「ツナサンドイッチ」に関しての話を長時間させることによって、他のもっと重要な話をさせないという意図がある。

そんな状況であれば、その会社の社外取締役は株主の立場にたって、少し議題とは別の話をせざるを得ない時があると思います。

例えば、「ツナサンドイッチ」の話を8分間して、「少し議題からは外れますが…」と、「早急に対応するべき製造工場の復旧処理をどうするか」という話を7分間する。

専務や社長などの執行取締役(社内取締役)たちに取り込まれていない社外取締役ならば、十分にあり得る話です。

今週の経済産業委員会での私の質問が正しくそれでした。

上記の①と②に照らし合わせてみると、現在、話し合われている「官公需法案」は、衆院でも満場一致で可決された法案(十分議論がされていて、全員が既に賛成している議題)。
しかし、衆院で話し合われていた時は、別の問題が勃発していて(小渕大臣の政治資金問題、宮沢大臣の問題、九電の接続拒否の問題等)、結果的に9時間の審議時間が取られたのですが、官公需法案以外に関する質問が多かった。

であれば、なぜ参院で杓子定規的に7時間(参院は衆院の70~80%の質問時間という慣習があります。つまり7÷9時間で77%となります)も、官公需法案についてやる必要性があるのか?だったら、もっと重要な質問時間に切り替えるべきだ!という疑問が出てきます。
(実際、委員会の事前打ち合わせでは問題として取り上げられていました)
結局は「委員会を○時間も丁寧に開きましたよ!」という与党のアリバイ作りの為でしかないのです。

こんなことを言うと「官公需法案」が大切だと思っていないのか!?という批判をしてくる人もいると思いますが、私は運用上で多少気になるところはあるものの、他党の話をも聞いた上で既に賛成の立場です。これについてだけ質問をするのは、既に全員が賛成をしているツナサンドイッチについて9時間+7時間と質問をし続けるようなもの。

因みに、自民党は今回、自分たちの質問時間さえ放棄しています(委員会質問をしなかった)。

よって、私も半分には及ばない程度で、いま最も大きな経済産業問題の一つとされている「高浜原発に対する福井地裁判決」について質問をさせて頂いたのです。

例えば、『このまま、高裁、最高裁へと進んでしまった場合、高浜も大飯も再稼働はできなくなるということになるが、大臣もそういう認識でよろしいか?(「工事はいったん止めるべきではないか?」「そうなる前に新規制基準を改善するべきではないか?」という質問に繋げるための入口の質問)』などと聞きましたが、それに対して宮沢大臣も素直に『そうだ。しかし、そうならないことを期待している』と答弁されたりしました。

そうすると何が起こったか。

異常なほどうるさい野次と文句が何名かの自民党席から飛び始めて、大臣の答弁が聞こえないどころか、自分の話している声さえも聞き取れないほどになってしまいました。
その文句の中には「速記を止めろ!(つまり、これ以上、質問をさせるなということです)」というものもありました。
その根拠も野次に交じって発していましたが「今日の議題と関係ないことを質問するな!」とのことでした。

私は話し辛いのを我慢し、野次を無視しながら質問を続けました。
宮沢大臣も、答弁の中身は別にして、最後まで応じて頂けたのはありがたかったです。

もちろん、私はだまし討ちをしたのではなく、前日には質問内容も紙で提出(事前通告)してありますので、問題があるならその時に言ってもらえれば良い話です。
よって、その自民党議員たちの野次はお門違いです。

更に、その後、笑えるようなことが起こりました。

私の次に質問に立った議員が「私は事前に質問通告もしていませんが、高浜原発の判決について、質問をしたいと思います」と同じように始まったのです。

ところが、私に対してはドスの利いた声で野次っていた議員も、静かに聞いているではないですか。(この方は通告もしていないので、ある意味闇討ちなのにです)

それどころか、歓迎ムードで、にこやかに「いいねー」などと言い、最後には「さすが!」と称賛の声を出すしまつ。

それもそのはず、その質問をした委員は殆どの政策で自民党と歩調を合わせている野党の議員で、原発についても自民党以上に推進派。つまり、与党にとって耳触りの良い質問内容しかしないのです。今回は福井地裁の判決を「司法の暴走だ!」と主張していました。

上記の①と②のように「不必要な委員会の時間を増やし、本当に必要なテーマについての時間はあの手この手で減らす」。
そして、意にそぐわない質問をする議員に対しては、野次を飛ばしてやめさせようとする。
同じテーマで議題から外れていても、自分たちに反しない意見はいくらでも話をさせる。
最近は自民党の「マスコミに対する圧力」が話題になっていますが、国会の中でも同じような傾向が出始めているのではないでしょうか。
私は安倍政権とは多くの政策で方向性が一致していると思っています。しかし、自民党の「驕り」がどんどん強くなり、このように国会内でも平気でプレッシャーをかけるような状況になってきていることには強い危機感を覚えます。

民主主義はプロセスが重要。
それを否定するようなやり方がエスカレートしていくのであれば、是是非非での対応すらできなくなってしまいます。


*その時の委員会の様子はコチラ から(4月16日経産委員会/発言者松田公太をお選びください)
(残念なことに、国会のマイクは非常にレベルが高く、委員会でも本会議場でも本人の声以外の音は拾わないようになっていますので、野次は殆ど聞こえません)