これまで度々、マクドナルドについてブログに書いてきました。
その理由は 
① 私がアフリカから日本に一時帰国した時、初めて自分のお小遣いで外食したのがマクドナルド(フィレオフィッシュ)だった。美味しくて楽しかった思い出が残っている。
② アメリカで高校時代にマクドナルド・ベルモント店で2年半アルバイトをした。
③ アルバイトしている時に「フランチャイズ」というビジネスモデルを知り、将来自分も活用しようと考えた。
④ 日本に「回転寿司」が殆どなかった30年前に、たまたま仙台で入った元禄寿司の1号店。「マクドナルドのようにオープンで入りやすい回転寿司チェーンをアメリカに作ったら、日本の食文化が浸透するはずだ」と考えた。それが私の初めての起業アイデアだった。
⑤ 帰国し、友人が働くマクドナルドを見て、同じブランドでも米国と日本ではかなり社風やオペレーションが違うことを知った。つまり、「日本化」することによって、サービス業はレベルアップすることを学んだ。
⑥ 弟が他界する前、入院中に、マクドナルドに行きたいとつぶやいていた(私がアルバイトしていた店舗によく遊びに来てくれて、楽しかった思い出から)。
⑦ タリーズを経営している間に、日本マクドナルドの社長・会長(八木さん、ドナヒューさん、原田さん)と度々会って、意見交換をしてきた。


などなどの経験から、マクドナルドに対する個人的な思い入れが強いからです。そして、勿論、飲食チェーンを経営してきた(そして、小規模ですが現在も経営している)私にとって、世界最大のチェーンをベンチマークすることが重要ですし、そこで起きている変化は今後の文化や経済を占う上でも注視しなくてはいけないからです。


現在の業績低迷は、米国本社の株価重視策(FC売却による特別利益の増加)や売上重視策(ロイヤルティー収入は増加するが疲弊を招く24時間化、プライシングの迷走)の方針に安易に従ってしまった原田前社長の責任もあると思いますが、もっと中長期的な問題が根底にあると思っています。
それはⅠ.ブランドイメージの崩壊と、Ⅱ.消費者嗜好の変化です。


Ⅰ.は最近の異物混入や、過剰薬品・期限切れ鶏肉使用のような、安全安心を揺るがしてしまった問題に起因しています。また、ポテトの品切れや値付けの混迷、そして営業時間の度重なる変更もブランド力を弱めています。これは努力次第で中期的には改善できるかもしれません。
Ⅱ.は更に大きな問題です。顧客の嗜好は、社会の成熟度と共に移り変わるもので、コントロールできるものではありません。
ハンバーガーの本家・米国でも、嗜好は「クオリティー」と「ヘルシー」にシフトしてきています。
作り置きやベルトコンベアーのように出来上がる食からは離れ、Shake ShackやChipotleのように同じハンバーガー/ファーストフードでも自分で具材を選べたり、品質の良い原材料を求めたりするようになってきているのです。
この傾向が更に進むと、現在のマクドナルドの店舗数では供給過多ということになり、適正数まで閉店を続ける必要が出てきてしまいます。もしくは、手作り感を高めるために、高級志向の『オペレーション開発』を進めるしかありません(特別クオーターパウンダーのような『メニュー開発』には限度があります)。


個人的には、ぜひ後者の長期戦略を練って頂き、日本オリジナルのマクドナルドとしてカムバックを果たして頂きたいと思っています。健康も安全も満たし、子供に食べさせたくなるブランドに生まれ変わることが鍵となります。


その為には、日本を良く知り、米国と堂々と議論できる経営者(藤田田さんのような)にバトンタッチをする必要があると思いますが…。
今後の動きを注視していきたいと思います。


(タリーズも生まれはシアトルですが、1号店から日本オリジナルを目指して改善と交渉を繰り返してきた結果、3年で米国の店舗数を抜くことができました。と言っても、出会ったときの米国タリーズ店舗数は5。最大80店舗ほどで倒産してしまったレベルなので、比較にならないかもしれませんが…)