昨日は参議院予算委員会の質疑に立たせて頂きました。

 


参議院改革などについて首相とやり取りをしましたし、他にも議論したいことがいろいろありましたが、やはり聞かなくてはならないのはテロ対策。ISILによる邦人拘束事案を政争の具とするつもりはありませんが、同様の事件は今後も起こる可能性があります。よりよい対応ができるよう今回の検証は不可欠です。

そのため、安倍総理、菅官房長官、岸田外務大臣、山谷国家公安委員長に対し、様々な視点から質問をしました。

 


まずは培ってきたあらゆるチャンネルを最大限に活用した」という政府の姿勢に関して。本当に全ての手段をしっかりと検討したのかという観点から質問しました。

 


特に確認したかったのは、後藤さんの奥さんへのメールを利用して直接交渉しなかった理由と、ISILの幹部にパイプをもっていた可能性が高かった中田考氏の申し出を断ったとされた経緯です。


 

まず、メールでの直接交渉の点ですが、菅官房長官の答弁は、「最も効果的なことを行うという観点から、私のもとで判断したというものでした。それに対して「なぜ効果的ではないと、やりもせずに判断したのか」尋ねたところ、菅長官は「イラクでの人質解放の経験もあったので、部族の長や宗教指導者など、ありとあらゆる可能性にかけて対応した」と説明でした。

 


次に、中田氏のことについて、安倍総理は、一般論と前置きしつつ「自分にはルートがあるから協力すると申し出する人が出てくる」が、「やたらめったらに『お願いします』とすれば、うまくいかないのは常識」、「このような申し出に簡単に乗るわけにはいかない」と答えました。

 


イスラム専門家がほとんどいない日本において、アラビア語ができ在サウジアラビア日本国大使館専門調査員も務めたことがあるとされるイスラム法学者・中田考さんからの申し出は、本当にありとあらゆる可能性に入らなかったのでしょうか。

 


例えば、サイバーテロ対策を行うときに最も頼りになるのが所謂ハッカーたちということがあります。多少問題があると思っても、仲間に引き入れて、なんとか解決の糸口を探るということが大切なのではないでしょうか。

 


過去の少ない成功体験にすがってメールでのやりとりを効果的でないと一蹴したり数少ない知見者とみられる方の申し出を歯牙にもかけなかった一方、まったく具体的な成果が見えてこない今回の政府の対応。

 


詳細については公にできないこは承知していますが、国民が納得・安心できる説明が一つもないというのは、明らかに問題です。しかし、安倍総理を始め政権幹部から中身のある答弁を頂けなかったことはとても残念です。これでは、本当に「培ってきたあらゆるチャンネルを最大限に活用した」といえるのか、よりよい未来のための検証できません。

 

 

次に、今後の対応についても質問をしました。


 

昨年、法制審議会の答申で「司法取引」の導入が示されました。「司法取引」とは、簡単に言うと、容疑者や被告が第三者の犯罪を明らかにした場合に、見返りとして検察官が起訴を見送ったり、求刑を軽くしたりできるようにする仕組みです。

ITやグローバル化の進展で、犯罪は複雑・巧妙さを増しています。これは国際テロにも当てはまります。私は、テロの捜査にも司法取引を積極的に認めるべきだと考えています。

 

これに対し、警察を所管する山谷国家公安委員長は「組織的犯罪に有効な武器になると考えている」と述べ、前向きな姿勢を示してくれました。これはとても良かったと思います。

 

ですが、その後政府の対応にはがっかりしました。

 

「もし身代金を家族が用意してきて、支払いたいと言ってきたらどうするか」や「家族が身代金を支払ってしまったら処罰するのか」という質問に対し、いずれも「仮定のことには答えられない」という答弁しか得られなかったのです

 


 しかし、もし身代金の要求額が今回のように200億円ではなく、2億円だった場合はどうでしょうか。



実際、フランス・ドイ ツ・スペインなどの人質十数人が平均すると1人当たり約2億円で解放されていと、昨年10月にNYタイムスが報じています。自分の家族が人質になっている場合、一縷の望みに賭けて何とかお金を集めて解放してもらおうと考えることは非難できません。



アメリカでは被害者家族が身代金支払いに応じようとしたところ、テロリストへの資金提供は犯罪となるとして政府が警告をするという事案も発生しているのです。


さらに、国内のテロリスト予備軍に対する新たな立法を考えているか確認したところ、「これから検討していきたい」という程度の回答しかありませんでした。表現の自由を重視するフランスでも、テロを賛美・扇動したとして、1月のテロ事件以降は140名以上が起訴されています。


 

いずれも、政府としては当然に想定・検討しなくてはならない課題ですし、この点について政府はどう考えているかを示すことは、国民にとっても重要なことです。

もし被害者家族による自発的な身代金支払も認めないつもりであるのならば、そう明言することこそがまさにテロの抑止につながりますし、国内のテロリストを厳しく取り締まる姿勢を示すことは国内でのテロを断念させるからです。

しかし、これらに対して明確な答えができないということは、却って日本のテロに対する危機感の低さを示してしまったのではないかと思います。


 

今回の予算委員会では、思ったような成果を上げることができませんでした。しかし、テロ対策は待ったなしの課題です。今国会の重要課題の一つとして積極的に提言し続けていきたいと思います。






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