昨日、参議院本会議で「元気」初の代表質問に立ちました。
(国会内では「元気」と呼ばれています!)


最初に安倍総理に尋ねたのは、ISILによる日本人拘束事件についてです。
議題は「平成25年度決算概要報告に対して」でしたが、今後の日本外交のことを考えて、冒頭に一つだけ質問しました。


邦人2名の殺害予告動画が投稿されたこの度の事件、そのきっかけになった可能性が指摘されているのが今月17日に首相がエジプトで行ったスピーチです。
ポイントとなるのはイラク・シリア・トルコ・レバノンへの2億ドルの支援を表明した部分。
「地道な人材開発、インフラ整備を含め、ISILと闘う周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します」
という日本語のスピーチが、英語の同時通訳では構成と順序が変えられ、
“I will pledge assistance of a total of about 200 million US dollars for those countries contending with ISIL, to help build their human capacities, infrastructure, and so on”となっているのです。
直訳すると、「ISILと戦っている国が人的能力(つまり戦闘要員)、そしてインフラ(つまり戦闘の基盤)を構築するために、2億ドルの支援をする」と読めます。


いかなる理由があろうとも人質をとる行為は絶対に許されません。ISILの残虐な行為には心から怒りを覚えます。しかし、この英訳では、日本が本格的に戦争に加担することになったと捉えることができ、ISILに口実を与えてしまった可能性があります。人質がいる時は、極力刺激を与えず安全が害されないようにするのは当たり前のことです。


日本語と英語で明確に違うのはなぜか、それが私の質問でした。
あえて変えたのであれば、情報の正確性に問題があります。また、ミスだとしたら、あまりにも不注意だと言わざるを得ません。


それに対する安倍総理の答えは、「スピーチの英文は和文に忠実な形で訳されており、ニュアンスが異なっているという指摘はまったくあたらない」というものでした。


私は今回の件で安倍総理を責めたてる意図はありません。むしろ、安倍総理が気づかないところで、意図的な修正かミスがあったのではないかと危惧しています。
日本語と英語の違いは明らかなのですから、今後は同じ過ちを繰り返さないためにも、問題を正面から受け止め、しっかりと精査して欲しいと思います。


外務省のHPに和文と英文が載っていますので、皆さんも是非ご自身でご確認ください。

・和文はこちら
・英文はこちら


2つ目の質問は決算に関してですが、今日から来日しているトマ・ピケティ教授の考えについて尋ねました。


決算で気になるのは、アベノミクス一本目の矢「異次元の金融緩和」によって膨らんだバランスシート。「21世紀の資本」で近頃大変な話題になっているピケティ氏は、安倍総理の金融政策に否定的な見方を示していますので、どう反論するのかを聞きました。また、同氏の提唱する資本課税論、グローバル富裕税論についての考えも問いました。


これらに対しての答弁は、「日銀による金融緩和は固定化したデフレマインドを一掃し、持続的な経済成長の実現を目指すものだ」、「導入にあたっては執行面などでなかなか難しい面もある」というもの。


私は日本の景気マインドを変えるために、何年も前から金融緩和政策を提言してきました。
実際、円安・株高・デフレ脱却期待と多くの良い効果をもたらしたと思います。
しかし、それだけで雇用・所得の増加を伴う経済好循環というのは無理があります。ピケティが唱える資本の増加率は所得の増加率を上回るという考え方は、24年前に銀行員だったころから感じてきたことです(経営者になってからは尚更感じていました)。グローバル富裕税を国際的な連携の下で推進することも、大変難しいとは思いますが、チャレンジするべきだと思います。
このような話は今後の国会論争や国際会議等の中で続けていきたいと思っています。


少し長くなりましたので、「消えた年金」や「国の財務書類」の質問については明日アップさせて頂きます!