12月14日の衆議院選挙・開票作業で、仙台市青葉区の担当者が集計ミスを隠すために約1000票もの票を水増し集計していたことが分かりました。



ミス発覚後、架空の票を無効票や持ち帰り票に計上して、投票数と投票者数との不整合性が出ないようにしたそうですが、これは公職選挙法に抵触する可能性が高い行為です(公職選挙法237条3項「投票増減罪」:三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金)。
この投票増減罪は選挙の公正を揺らがす重大犯罪ですが、実は去年の参議院選挙でも問題となっていました。高松市選挙管理委員会の開票作業において白票の数が実際より329票水増しされるとともに、一人の候補者の票が312票減らされていたのです。



衆院選直前の今月10日、この事件の関係者の一部に対し有罪判決が出ていました。
それにもかかわらず繰り返された投票の不正集計。



開票作業は、少数の「開票のプロ」が、各部署から一時的に集められた多数の一般職員を指揮して行っており、数え間違いはよくあることだそうです。また、その隠ぺいが行われても、それを作業員間で指摘するのは難しいとのこと。そのため、誰かが不正をやろうと思ったらやれてしまうのが現状です。



高松市では、3000万円かけて自動読み取り機などを導入したばかりだったのにこのような事件が起きてしまいました。
今の投開票は機械化が進んではいるようですが、あまりにも多くの作業員が関わるものであるため、ヒューマンエラーや改ざんが発生する危険性は低くありません。



選挙の不正集計をなくすには、機械化を徹底することと、作業員の数を極力減らして監視することが必要になってきます。そこで考えらえるのが電子投票(投票所で候補者名か政党名を自書するのではなく、替わりにボタンでそれを選択するというもの)です。集計時のミスや悪意を防止できるだけでなく、疑問票や無効票がなくなる、開票時間が大幅短縮できる、人件費も削減できる、現在では代筆が必要な障害者も自分で投票可能になるといった大きなメリットを得ることができます。既にアメリカの一部の州、インド、韓国等では導入されていますし、日本でも過去に地方選挙において実施されたこともあります(国会の本会議でも電子式である「押ボタン」による採決が行われていますが、とても利便性・効率性が高いです)。
もっとも、デメリットとして機械の信頼性の問題があるのも事実。これまで、システムが停止したり、誤作動で投票数が間違った数になったり(投票総数が投票者数を上回る等)、ミスも何度か発生しています。



しかし、人間による悪意の操作や、ヒューマンエラーは今後も無くならないという事を考えると、大部分が「システム」の問題である電子式に移行して、その上でICTの革新等によって信頼性を高める工夫をしていく方がよいのではないでしょうか。



もちろん、その延長にはインターネット投票を見据える必要があります。



私は、投票率や国民の利便性の向上等ためにネット投票を実現すべきと考えていますが、それに対しては「不正の温床になる」として反対する声が大きいのが現状です。



たしかに、本人の確認や干渉の防止をどうするか等の問題がありますが、それらについてはネット投票に限った話ではなく、ネット利用全般の問題だと思います。先行するエストニアの事例や、行政のネット申請や民間のネットショッピング等、様々なものから不正を防ぐ方法を学ぶことで、大部分は解消できるはずです。



今回・前回の事件を真摯に捉え、それを契機に選挙の在り方についての前向きな議論を提言していきたいと思います。
前回の参院選の前に「選挙期間中のインターネット利用」が実現しましたが、その時に諦めず交渉したことによって「付帯決議」に入れて頂いたあらゆる角度から技術上・制度上の問題等を検討し「インターネット投票導入に向けた措置を講ずる」という条項。
来年の通常国会中に、もう一度喚起したいと思っています。
ご賛同いただける方には、是非ネットで議論を深めるなど、ご協力して頂ければ幸いです。