ここ数日、毎日のように報道されている小笠原の密漁船問題。小笠原諸島沖と伊豆諸島沖を合わせて200隻以上の密漁船が押し寄せています。



まず確認すべきなのは、明らかに違法な漁であるということ。
漁船が活動しているのは、日本の排他的経済水域(EEZ)です。ここは、日本の領海外ではありますが、日本の法令が適用されます。
この点、逮捕した漁船などから、彼らの狙いは装飾品となるアカサンゴであることは明白です。東京都が小笠原諸島沖でサンゴ漁を許可しているのは地元の4隻だけ。
つまり、地元の4隻以外の船が日本のEEZ内でサンゴ漁をすれば、違法な漁ということになるのです。



この密漁で深刻なのは、地元漁師の暮らしを破壊するだけではなく、かけがえのない自然を破壊しているということです。
小笠原諸島は2011年6月に世界自然遺産に登録されました。しかし、密漁はサンゴを根こそぎ取ってしまうようなやり方で行われています。サンゴは魚たちの貴重な住みかでもありますから、まさに人類の貴重な財産である小笠原の生態系が破壊されるという危機に瀕しているのです。



すぐにできる対策として考えられているのが、罰金と担保金の引き上げです。



担保金とは、EEZ内での違法操業などで外国漁船の船長らが逮捕された場合に、釈放と引き替えに支払われる金銭で、いわば保釈金です。担保金の額は罰金の額を勘案して定められるようで、これさえ支払えば釈放され、押収された漁獲物も返還される仕組みとなっているのです。



アカサンゴの価値は年々上昇しており、約38キロのアカサンゴが押収されたケースでは、評価額は約4億円に達したとの報道もあります。
これに対して密漁の罰金は最大でも1000万円ですから、担保金の額もこれを超えないのではないかと想像できます。これでは、利益とリスクに差がありすぎます。



また押収した漁獲物の返還についても、少なくともサンゴのように腐ってしまうことのないものについては、刑事裁判が確定するまで当局で保管し、裁判に出廷しなかった場合には没収できるようにすることが考えられます。



実は漁業に関しては、中国との間でこのサンゴ以外にも様々な問題が発生しています。海はつながっていますので、ひとつの問題を点のみでとらえることはできず、点と点をつなげて考えなくてはいけません。
また後日、その他の問題についてもブログをアップさせて頂きたいと思います。