日本の「ランドセル」が国際的に人気になってきました。

その用途は、アジア圏からの旅行客が子や孫へのお土産として、また、欧米からの旅行客はファッションアイテムとしてだそうで、現在では空港でも売られています。

きっかけは、海外セレブの中でもファッショニスタとして人気を誇る女優で歌手のズーイー・デシャネルのパパラッチ写真。ニューヨークで赤いランドセルを背負って歩く姿が話題となり、20代、30代の男女の間で人気が広がったそうです。

実は、個人的にはランドセルにあまり良い思い出がありません。

アフリカに住んでいたころは毎月祖母に送ってもらえる小学館の「小学○年生」が楽しみで、そこに写しだされていたランドセルが輝いて見えたものです。

4年生で一時帰国した際は、小学校に通ってランドセルを背負うのが非常に楽しみでした。

しかし、編入してすぐに「アフリカ人」と虐められ、下校途中に待ち伏せしていた5,6人の同級生たちにランドセルを無理やりはぎとられ、泥を詰められたり、見知らぬ家の塀の向こうに投げられたりして、毎日のように嫌な思いをしたのです。

約1年後にアメリカに移った時に私は虐めの象徴だったランドセルを捨てたいと思いましたが「ランドセルは高いのだから、ちゃんとアメリカでも使いなさい」と両親に言われ、レキシングトン小学校に背負っていきました。案の定、数日後にはランドセルがクラスで話題になり「何、このカバン?日本人って、不思議なものを背負って学校に来るんだね」と言われるようになってしまいました(虐められるようなことはありませんでしたが)。私は我慢して、小学校を卒業するまで使いつづけましたが、正直言って早く手放したいと思ったものです。それが今となってはアメリカを始め多くの国々で人気になっているのですから不思議な感じがします。

ランドセル人気は、米国のセレブがファッションとして使ったからだけではありません。

世界中の子供たちがドラえもんや、名探偵コナンなど(主人公がランドセルを使用している)日本の漫画やアニメを見て育つようになり、大人になれば最高のグルメとして寿司を食すようになりました。40年前とは様変わりで、日本の生活習慣や文化を「良質」「かっこいい」「見習いたい」と思うようになってきたのです。そして、今の大人たちがそれを自分の子供たちにも伝え始めているのです。

更に言うと、日本のランドセルのクオリティーは非常に高く、使いやすく、壊れにくい。

多少高価だったとしても、良いものを長く使うという日本の価値観を伝えることもできるはずです。

ランドセルを含め、様々なものを通じて幼少のころから日本は良い国だと感じながら育てば、大人になってもそれは持続します。色々な意味で日本の最大のチャンスが到来しているのです。

私のランドセルを変だと言っていた同級生たちが、子供や孫たちにランドセルを買っている姿を想像すると、なんだか楽しくなってしまいます。

ここまで日本の素晴らしさが世界に浸透してきているのです。