昨日、同僚の山口和之 参議院議員(理学療法士でもあります)にコーディネートして頂き、都内にある特別養護老人ホーム(特養)の視察に行きました。

特養というと「入ったら出られない」というイメージがあるかもしれません。確かに、特養は自宅での適切な介護が困難な高齢者が対象ですので、「終の棲家」というイメージが強調されてしまいがちです。

しかし伺った施設は、ヨーロッパの安全基準を満たした高齢者向けの筋トレ器具を導入したり、オムツをさせずにトイレをサポートする取り組みをするなど、積極的に高齢者の自立を促す努力をしています。その結果、入居者の69%の要介護認定が改善したそうです(厚労省の調査では、要介護認定が改善するのは10%程度)。

施設長さんや山口さんの説明を聞くなかで印象的だったのは、要介護認定が改善しても十分な成功報酬があるわけではないこと。しかし、入居者に目に見えて効果が出るため、職員のモチベーションが上がるという部分です。

何にでもいえることですが、頑張ったら頑張った分だけ結果が出れば、次へのやる気が出ます。それが他人からの評価につながれば、さらにモチベーションが上がります。

以前にもこのブログ で書きましたが、これからの社会保障は「福祉」から「サービス」への視点の転換が重要です。サービス産業として活性化させるためには、高齢者へのサービス内容や職員の努力に見合った評価がされなければなりません。

問題なのは、いまの制度では、要介護認定が改善すると、介護する側の収入が減ること。しかし、要介護認定の改善ができれば、社会保障費の増大を抑えることができるのですから、その施設の収入を減らすのではなく、むしろ成功報酬として還元するなどのインセンティブを導入するべきです。
また、今回感じたのは、地域の課題に地域で取り組むことの重要性です。

ドイツのエネルギーヴェンデ(大転換)が成功している要因の1つに、バイオマス発電や風力などによるエネルギーの地産地消があります。
エネルギーでも介護でも、そこで生活するのに不可欠な課題について、地域の人達が中心となって解決する。そうすると、その過程で新しい産業が起き、助け合いの文化が生まれ、地域が活性化します。

これからの時代は、「地域コミュニティー」や「地産地消」をキーワードとして、社会インフラを再構築していく必要があるのです。