先日、スターバックスコーポレーション(米国本社)が、日本で展開を委託しているスターバックスコーヒージャパンを完全子会社化するという発表がありました。

日本のスターバックスは、米国スターバックスと日本のサザビーリーグが50%-50%で設立した会社。
私は、米スタバの他国での展開を見ていて、日本もいずれは買収されるのではないかと思っていましたが、それが的中した形です。

米国サイドの意図や世界戦略については後日アップするとして、このニュースは私にとっても感慨深いものでした。

シアトルで私が交渉したコーヒーチェーンは10社以上ありますが、その中にスタバが含まれています。手紙を送っても、メールをしても、全くなしのつぶて。諦めずに日本のコーヒー事情など、様々な情報を提供し続けて「私にやらせてください」と交渉をしたのですが、最後に「色々な情報を教えてくれてありがとう」とFAXが一枚届いて、終わりでした。勿論、その時は既に水面下でサザビーとの契約があったので、相手にされるわけがありません(そうでなくても、金もない・経験もない・コネもない28歳を、既に数百店舗を所有する大手チェーンが相手にする筈がありませんが(笑))。

その後は、シアトルズ・ベスト・コーヒー(後にスタバにより買収)、カフェ・ダルテ、カフェ・ビバーチェ、カフェ・アパシオナート、そしてタリーズコーヒーと様々な会社と交渉しました。上記の会社は全て経営者と会うことが出来たのですが(シアトルズ・ベストだけは、既に200店舗の大手だったので副社長レベル)、最後は小さなローカルチェーンのタリーズ(当時4,5店しかありませんでした)に惚れ込み、何とか営業権を取得することができたのです。

しかし、長期で見た場合、5年更新の営業権(最初は1年)で事業を続けるのはリスクがあると思いました。そこで、タリーズを安定的に成長させるために、最初はIPO(上場)によって得たお金を全て使って焙煎権を買い取り、次に卸売権を買い取り、その数年後には多額の借入をしてIP(日本での商標権)を買い取り、完全にタリーズコーヒージャパンを「日本の会社」として確立させることができたのです。

そのような道を歩まなかったスターバックスコーヒージャパン。タリーズと真逆で、完全にアメリカの会社となる道を選んだのです。

勿論、その方が正解だと言えるかもしれません。少なくともサザビーは今までの利益と、多額のキャピタルゲインを得る事が出来た訳です。
それに比べると、多くの個人リスクを取って長期的な投資をした分、私のキャピタルゲインはかなり小さいものですが、それでも日本の会社として安心して業績と店舗数を伸ばし続けている姿を見て、その判断は正解だったと思っています。

次の20年で、良きライバルであるスタバとタリーズがどうなっているかを見守るのも、産みの親、そして青年期までの育ての親として大変楽しみにしています。