昨年このブログでも取り上げた 、韓国による青森、岩手、宮城、福島、群馬、栃木、茨城、千葉の水産物の全面的禁輸。先日、韓国政府はこの措置の科学的妥当性を検討すると発表しました。



もともと韓国は、今回の輸入禁止措置を世界貿易機関(WTO)の協定に基づく暫定措置として位置づけていました。この協定では、科学的根拠が不十分な臨時措置を取った場合には、合理的な期間内に科学的妥当性を検討するよう定めているため、今回の再検討に踏み切ったとのことです。



日本政府は、これまで3000ページにも上る資料を提供し、また7月にスイスで開かれたWTOの会議で韓国の輸入禁止措置に懸念を示すなど、継続して禁輸解除を求めてきました。
WTOの協定に従ったものとはいえ、今回の韓国政府の決定はこのような努力が認められたものといえるでしょう。



しかし、やっとスタートラインに立ったという段階です。
禁輸措置の合理性は、韓国の消費者団体専門家などによる専門家委員会で日本が提供した資料や、必要に応じて日本での現地調査を行い、科学的安全性と国民の安心を最優先に検討するとのことです。いくら科学的に安全であっても、韓国の消費者に納得してもらえなければ、禁輸措置は継続されかねません。
日本政府は、韓国の消費者へ向けて、水産物の安全性を積極的にアピールする必要があります。



いまでも同じ協定に基づいて輸入制限措置を続けている国はいくつもあります。例えば、中国、ロシア、台湾、シンガポール、ブルネイ、マカオなどです(特定の都道府県で水揚げされた水産物の禁輸措置)。また、放射性物質検査証明書等を求める国もあります。
中でも中国は、食用魚介類の1人あたりの供給量は主要国では日本に次ぐ量です。ビジネスチャンスの拡大のためにも、中国の禁輸措置解除は重要です。
韓国の消費者に納得してもらい禁輸措置解除に成功すれば、中国やその他の国での輸入制限措置の解除に向けて弾みがつくと思われます。



実は、検査済証明書の発行に関しては、日本側にも問題もあることが調べていて判明しました。それはまた後日、ブログにも書きますが、同時に政府にも提案していきます。
とにかく、現段階においては、日本政府の積極的な対応が不可欠なのです。