昨日はシンガポール大使館主催のナショナルデー(建国記念)パーティーに出席しました。


一人当たりのGDPがアジア1位のシンガポールから学べることは沢山あると思いますが、今のトピックス的には「デング熱対策」と「カジノ政策」でしょうか。

(患者数が59名になってしまったデング熱対策についてはこちら をご覧ください)


私がシンガポールに住んでいた2008年と2009年は、ちょうどカジノが建設中(オープンは2010年)だったので、国民の注目が集まり、様々な話し合いが行われていた時期でした。


現在、日本でもIR(総合リゾート)へ向けた議論が白熱しています。

その中で問題だとされるのがカジノ依存症や周辺観光産業の地盤沈下などです。

同じ問題に対してシンガポール政府は、国民とオープンに話し合いの場を持ち、企業からも徹底的にヒアリングを行いました。


例えばギャンブル依存症対策ですが、シンガポールは官民をあげて取り組んでいます。

入場規制は、政府によるもの、自己申告によるもの、家族申告によるものがあります。また、自国民からは抑制策として入場料(S$100)を徴収する仕組みなどもあります。


シンガポールのギャンブル依存症患者の割合は、カジノ開設前の08年が1.2%、開設後の11年は1.4%ですので、大きな変動はありません(誤差の範囲?)。対処策が功を奏しているといえます。


また、周辺観光産業の地盤沈下については、IRに来るVIP層をターゲットにして高級店を中心としたリーシングにしました。それにより、ホテルのピークシーズンにはマリーナ・ベイだけではお客を受け入れきれないため、近隣のホテルを案内している状況です。このように、周辺地域全体が活性化して恩恵を受けているのです。


重要なのは、様々な不安があるからこそ、諸外国の例を見て、どうすれば成功するかを国民と共に考えることです。私は世界各地のカジノを見てきましたが、特に日本のような国では、カジノ管理委員会による監視を徹底するなどによって、リスクに対応することは十分に可能だと考えています。


今度の臨時国会で注目法案となるIR法。日本の観光産業を元気にするために、シンガポールなど諸外国の例を見ながら冷静に議論をし、安心してカジノを楽しめるような制度設計をして行きたいと思います。