数日前から「デング熱」に関する警告を発信させて頂いていますが、昨日になって感染場所が代々木公園(渋谷区)の可能性が高いということが発覚し、マスコミでも大きく取り上げられています。



デング熱はウイルスを持った蚊に刺されることによって感染します。現在はワクチンも治療薬も無いため、対症療法しかありません。症状は発熱・頭痛・筋肉痛・嘔吐・発疹・下痢と様々で、風邪などの症状と間違えられやすいと言われています。早期の治療を受ければ殆どの人が全快するので(死亡率は約1~5%ですが、先進医療国は更に低い)、おかしいと思ったらすぐに診てもらう事が大切です。
気を付ける必要があるのは、2回以上感染する事です。二回目以降に違う血清(4種類あります)で感染してしまうと、より重症な「デング出血熱」などに移行し、致死率もあがります。



因みに、私は上記の情報を何も見ないで書いていますし、デング熱のリスクを減らす為に蚊を増やさない方法などの基礎的データも頭に入っています。



何故か?



理由はシンガポールに約2年間住んでいて、同国政府が発信するデング熱の情報が毎日のように目に、耳に飛び込んできたからです。



街の至る所にデング熱を警告する看板やポスターが貼られています。空港にも大きく掲示されています(日本では、海外から入国する旅行者にそのような「恥」は見せたくないと、大きく掲示するような事はしないでしょう)。TVでも積極的にインパクトのある公共広告をうっています。



私が現在、より心配しているのは、デング熱よりマダニに噛まれることによって感染するSFTS(重症熱性血小板減少症候群ウイルス)です。日本では今年になって九州地方を中心に10人が死亡しています(これまでに26人)。致死率は高く、10~30%。因みにシンガポールで毎年デング熱による死亡者数は4、5人です。隣国のマレーシア、インドネシア、フィリピンでは数百人が亡くなっていることを考えると、人口や医療レベルの違いはあるものの(パーセンテージでみても低く)、重篤患者を増加させないことに関しては成功していると言えるでしょう。
つまり、政府による積極的な告知・警告活動が功を奏しているのです。



流行しはじめているSFTSを食い止める為に、日本でも政府がより積極的に広報活動を行う必要があります。
国民の頭に予防法や対処法がしっかりと残ることによって、はじめて拡がりを封じ込める事ができるのです。



ご参考までに、デング熱対策のシンガポール政府によるサイトをご覧頂きたいのですが、非常に分かり易く、そしてある意味「楽しく」作られています。日本であれば「何をふざけているんだ!」とクレームが来そうですが、このぐらい楽しく表現することによって、「読もう」という気にさせることは間違いありません。是非、我々も学ぶべきところだと思います。(→コチラ )  



最後に、デング熱の発症地域から帰国された方は、自分の身を守るためだけではなく、ウイルスを広げないという観点からも、体調に違和感がある場合は空港の検疫(後日発症した場合は近隣の病院)で必ず診察を受けて頂きたいと思います。



その申告を促すためには、日本人が最も恐れる「誰かに知られたら嫌だ」という不安を払拭し、個人情報の取り扱いは徹底されていることを国民に伝え、約束する必要もあるでしょう。



海外ではより深刻な感染症。特にエボラ出血熱の感染者数の拡大も歯止めがかかっていない状況 ですので、繰り返しになりますが、政府はSFTSなどと共に、早急にその告知と発信力を増強して頂きたいと思います。言うまでもありませんが、英語での発信も必要です。