政府は佐賀県に対し、自衛隊が購入を予定しているオスプレイの配備と、普天間飛行場に配備されている米軍オスプレイの一時移転を要請しました。


自衛隊がオスプレイを佐賀へ配備することを求めたのは、離島防衛を見据えてのことです。オスプレイの戦闘行動半径は600kmとされており、空中給油を1回行えば1100kmまで伸びます。これは、佐賀空港からは沖縄本島までを行動半径に収めることを意味します。さらに、航続距離自体は4000km近いので、沖縄本島の基地を使うことができれば、尖閣諸島も含め、南西諸島全域をカバーできます。これに、佐世保に新設の準備を進めている水陸機動団と組み合わせれば、南西諸島における抑止力が格段に向上します。


他方、米軍普天間飛行場に配備されているオスプレイの移転は、沖縄の基地負担の軽減を目指したものです。沖縄県は11月に知事選を控えていますが、政権が推しているといわれる現職の仲井真知事は、劣勢に回っているとの分析がされています。そこで、仲井間知事の求める「普天間飛行場の5年以内の運用停止」に目をつけたのでしょう。


私は、佐賀空港を活用するということ自体は悪くないと考えています。2週間前も佐賀空港を利用しましたが、半径2km以内には民家がなく、市街地からも約10km離れています。見渡す限り田んぼと畑しかなく、事故率が最も高くなる離着陸時の被害を最小限に抑えることが出来ます。また、年間2億円の赤字を解消する一助になることも期待されます。


しかし、政府の話しの進め方には問題があると思っています。菅官房長官は、昨日の段階で、佐賀空港へオスプレイが配備された場合は交付金の支給を検討すると発表しました。原発の電源三法交付金もそうですが、「危険物の設置はお金で解決する」という考え方から抜け出すことが出来ていません。昨日もブログで書いた様に、結局は古い自民党体質が脈々と続いていて、「最後は金目でしょう?」で全てが解決すると思っているのです。


最初から金をちらつかせるのではなく、何故そこに配備することが必要なのか。沖縄の負担軽減とはどういうことなのか。そして、それが何故日本の防衛力向上に繋がるのか。どのような危険が生じるのか。問題が発生した場合はどうやって解決するのか。それらを県民にしっかりと説明をするところから始めるのが筋なのです。


集団的自衛権の見直しについてもそうですが、国が大きな転換期にあるからこそ、このような問題をしっかりと説明していく必要があります。一地域に対する説明がしっかり出来ないようであれば、日本全体に対して説明することなど出来るわけがありません。