昨日は、経済産業委員会で電気事業法等の一部を改正する法律案(第2段階)の最後の審議がありました。


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まず、単刀直入に、なぜ電力会社に一般担保付社債が認められるのかということを、茂木経産大臣に質問しました。

一般担保付社債とは、その会社のすべての財産を担保とする社債です。この社債は、どんな会社でも発行できるというものではなく、特別の法律で認められた会社にしか発行できないのです。電力会社のほかには、JTやNTT、東京メトロなどが発行できます。

発行できる会社を見ればわかるように、一般担保付社債が発行できる会社は、民間企業と言っても競争相手がいない(JTはたばこ販売を独占しています)か、競争相手が限られている企業です。一般担保付社債が発行できる状態は、国営に近い状態と言えます。
電力自由化という以上は、このような状態は改められなければならない。それにもかかわらず、今回の改正案では廃止という方向は明らかにされませんでした。そこで、まずこの一般担保付社債について質問をしたのです。


茂木大臣は、これまで電気会社には大規模な設備投資が必要であったため求められてきたという答弁でした。

しかし、中立公正な市場を作るといっている以上、これまでの地域独占を前提とした資金調達方法が温存されて良いはずがありません。

この後の質問で資源エネルギー庁長官等にも確認しましたが、この一般担保付社債を発行するために特別な手続きや情報開示は不要です。また、一般担保付社債の発行が認められていない新規参入者が社債に同じような担保を付けたい場合には、企業担保という手段があります。しかし、4兆円の社債を発行するためには、公証人の手数料と登録免許税で100億円以上が必要となります(ちなみに、東電が発行している社債は4兆円以上です。)。つまり、その部分が優遇されているともいえます。
さらに、電力会社は今後の見通しが不明確にもかかわらず高い格付け(多くがA3以上)を得ていますが、その背景に一般担保付社債=国営という見方があることは間違いないでしょう。
このように、資金調達の面で既存の電力会社が著しく優遇されていることは明らかです。

他方で、一般担保付社債には別の問題もあります。
東電は、経営合理化策の一環として様々な不動産を売却するなどしています。一般担保付社債は会社のすべての財産が担保の目的となりますから、これは担保の価値を減らしていることを意味します。本来ならば、社債権者に都度了解を得るべきものです。それを省けば、社債権者からの訴訟リスクもあります。

この点を廣瀬社長に問いただしたところ、廣瀬社長は明確には答えませんでしたが、否定することもありませんでした。つまり、一歩間違えれば訴訟になりかねないということを東電自身も認識しているのでしょう。東電自身も、実は一般担保付社債に縛られてしまっているという側面もあるのです。

そこで、これらの問題を指摘したうえで、一般担保付社債は今後の第3段改正法で見直すということになっているので、廃止すると考えていいかと茂木大臣に確認しました。
すると、安定供給等も考えながら、法的分離後に発行される社債については、新規参入者との間で差がないことが重要と考えている、との答弁でした。

これは、一般担保付社債を廃止するのか、全ての会社に認めるのか、それとも今の状態を残すのか、いろいろと解釈の余地のある言葉でしたので、改めて廃止の方向で検討してもらいたいと念押しをしました。


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次の質問は、東京電力の経営についてです。

東電は、5月にテプコカスタマーサービス株式会社を設立し、関東周辺エリア以外での電力販売に乗り出しましたので、その投資額について確認しました。

原子力損害賠償支援機構との関係で東電が負担している一般負担金及び特別負担金と、投資とのバランスを確認したかったからです。投資を優先すれば利益が減り、特別負担金の負担額にも影響しかねないからです。

いまの東電が置かれている厳しい状況で新規事業に取り組むということは、起死回生の最後の勝負に出る覚悟でなければならないのです。しかし、そのような危機感が東電からなかなか感じられません。
そこで、どこか頭の片隅にある「失敗しても国が助けてくれる」という考えを完全に払しょくして取り組んでほしいと要請しました。


最後に、スマートメーターについて質問しました。
東電の事業計画では、電力計を、通信機能を持ったスマートメーターに替えることとしています。これによって、東電管内の一般家庭の電力使用量は30分ごとに検針することが可能となります。しかし、東電は新電力に対する電力使用量データの提供は、情報量が膨大になるため、1日4回、つまり6時間に1回にとどめるとしています。
しかし、特に新規参入者にとって情報は極めて重要ですので、是非とも30分に1回のペースで情報提供してもらいたい旨を伝えました。
これに対しては、応分の負担を前提に、議論していきたいという答えでした。


様々な問題を抱えたまま、電気事業法の改正案は可決されてしまいました。
そもそも発送電分離の方式が法的分離にとどまるこの電力システム改革は不十分ですが、少しでも自由で公平な電力市場ができるように、次の第3段階が出てくるまでに、積極的に問題提起と改善や変更を提案していきたいと思います。