ゼンショーが昨日、すき家の28店舗がアルバイト不足で営業停止をしていると発表しました。ワタミは人材不足で1割の店舗閉鎖を計画し、ハイデイ日高ではアルバイトを繋ぎ止めるために年2回ボーナスを支給。ユニクロではパート・アルバイトの正社員化を進めています。



急激な人手不足の理由として、景気回復や公共工事の急増による多種多様な働き口が増え、人材のシフトが起こり、時給が高めの業種へ流れて行ってしまったことなどが上げられます。経済成長が本格的になり、正規雇用化が進めば、比較的安い労働力に頼ってきた会社にとっては厳しい状況が続くことになります。アルバイトを「使い捨て」的に考えていたチェーンがあったとしたら、そのマインドを変革させなくてはいけない時代に差し掛かったのではないでしょうか。



大切なのは、頑張ってくれている非正規雇用にも、給与以外のプラスアルファを提供すること。例えば、自己研鑽の手伝いをする研修制度を導入したり、長期間頑張ってくれたアルバイトが就職活動する時には自給アップで協力したり、誕生日にはプレゼントつきの休暇を取って貰ったり・・・色々考えられると思います。



また、正社員化も有効だと思いますが、全員が正規雇用に変わりたいと思っているわけではありません。生活パターンや、家庭事情もあって、自分の都合のよい時間に働くことができる非正規雇用のままが良いと思っている人も少なくないのです。



そのような場合は、既に一部で実施されているようにボーナスを支給するのも手ですが、「半年働いて、もらったら辞めよう」と計画されてしまったら、逆に季節的な人材不足を招いてしまうかもしれません。むしろ、「ストックオプション」を導入する方が有効ではないでしょうか(上場しているか、上場を目指している必要性がありますが)。
自分が働いている店や、会社全体の業績に対する意識が高まりますし、行使が可能になるまで頑張ろうという気持ちにもなります。
実は上場飲食チェーンで初めてアルバイトにストックオプションを付与したのはタリーズだったのですが、ロイヤリティを高めるために、非常に効果的でした。店の売上や利益を上げる為にどうしたら良いか、一緒に真剣に考えてくれるようになったものです。



それから十数年経ちますが、まだまだサービス業でオプションを付与している会社は少ないようです。ネット上の求人募集で検索してみましたが、IT企業などは多少ありましたが、飲食・小売りでは一社も見つけられませんでした。



私も店で働いてきましたので分かりますが、立ち仕事の労働環境は意外と厳しいものです。成功したり、業績が伸びたりした場合は、その果実を経営者や株主だけが受け取るのではなく、従業員やアルバイトにも分配するという気持ちが大切です。ロイヤリティが上がったアルバイトがいる店では必ずホスピタリティも上がり、売上も伸びてくるのです。そして、会社全体の業績アップに繋がるはずですので、発行済み株式数に若干の希薄化を招いたとしても、最終的には株主も理解をしてくれるはずです。