昨日の経済産業委員会のテーマは「特許法等の改正案」。
その中で「商標法の改正」も審議しました。



今回の法案が成立すれば、新たに色彩や音にも商標権が認められることになります。
例えば、トンボMONO消しゴムの青・白・黒のトリコロール、久光製薬のCMでおなじみの「ヒ・サ・ミ・ツ♪」というサウンド。実は、これらは欧州ですでに商標登録されており、日本での登録も期待されます。









このように商標権の保護が強化されることになりますが、過度に保護をすると、逆に問題が発生することもあります。



緑色の丸いロゴを世界中で模倣され、大変な思いをしているS社。ブランド保護のために、類似していると判断したマークについては厳しい対応を取っています。






「S社のものに類似している(?)ものとして委員会で取り上げた緑色の丸いロゴマークがこちらです」





例えば、2番は日本のものですが、S社の告訴によって商標権侵害により書類送検されています。また、3番はタイのものですが、やはりS社から訴えられました。
4番はアメリカのLAにあらわれた店ですが、こちらは訴えられる前に、保健所の問題であえなく閉店させられました(これは殆どパロディだと思いますがw)



上記の例はかなり似ていますし、明らかにS社のブランドイメージにフリーライドしているので、同社の対応は至極当然といえます。



しかし、「??」と思われる6番や7番も、S社から使用をやめるようにアクションを取られました(6番は不正競争防止法違反が理由です)。



7番に至っては、コーヒーではなく緑茶店のロゴです。丸(正確には丸ではなくギザギザです)の周囲には「GREEN TEA」、真ん中に「茶」と漢字で書かれていますので、絵やキャラクターですらない。「緑」茶ですから、緑をコーポレートカラーとして使いたくなるのは自然な考えでしょう。しかし、S社は、「緑の丸いロゴ」は当社に権利があるので、変更しないと訴えるという内容証明郵便を送ってきたのです。



ドレスコード的な考え方から見ても少し理不尽な気がしますが、6番も7番も結果的には緑色から青色への変更を行いました。
訴訟費用に糸目をつけない大企業から権利主張をされてしまっては、法廷闘争に多額の費用と時間をかけられない普通の会社は言うことを聞かざるを得ません。



商標権等の知的財産権の保護は重要ですが、これらはマーク等のカタチのないものを排他的・独占的に利用できる強力な権利です。権利の範囲が不明確であれば、小規模の会社やベンチャーは、同色を利用するのを控えてしまうでしょう。それが自分たちの製品のアイデンティティーにピッタリだと思ったとしても、です。



権利の保護とその範囲の明確化、その両方の側面から考えることが重要です。



例えば、色付きの商標の場合はカラーコードやパントーン・マッチング・システム等で指定して詳細に対応するなど、できる限り明確な運用をしなければなりません。



知的財産権の保護を強化することには賛成ですが、その範囲(のあやふやさ)が逆にベンチャー企業等を萎縮させては、本末転倒になってしまいます。
今後も、このような権利が濫用されないように、しっかり確認をしていきたいと思います。



PS 因みに7番はクーツ・グリーンティー のオリジナルロゴです(笑)