通常国会が始まって、まず議題となっているのが「補正予算」です。
補正予算とは、年度当初の予算編成時には予見できなかった事態に対応するために組まれる予算です。従って、補正予算には複数年度にわたる予算や即効性のない予算は原則組み入れるべきではありません。
1月24日には閣議決定された補正予算が国会に提出されましたが、確認をすると、補正予算に計上するべきでは無いものや、即効性がないと思われるものが多々含まれていました。



私は本会議の代表質問で「補正予算5.5兆円の内訳を見ると、1兆円以上が公共事業に当てられている。アベノミクスの二本目の矢、何度も放たれているが、二本目の矢は一体何本あるのか?また、的を通り抜けて、遠くへ飛んで行ってしまっている矢も多いが(年度内に執行不能な予算が紛れ込んでいる)、会計年度独立の原則に反する行為は慎むべきではないか?」と質問をし、衆院予算員会では柏倉さんも「なぜ補正に基金が積まれているのか?補正から基金を一切カットできないのか?」と問い質しましたが、いずれも明確な答弁は得られませんでした。



よって、今回のみんなの党の組み替え動議の提出という運びになったわけです。



まず歳出の見直しに関しては①即効性のない、不要不急の経済対策費を減らし、②復興特別会計(復興特会)への繰入れを減らし、③自由償却税制・減損処理加速のための推進費を確保する、という観点から組み替えました。以下、簡潔な説明です。



① 即効性のない、不要不急の経済対策費を減らすこと。



まず基金を問題視しました。基金とは、複数の年度での執行が予定された積立てですから、そもそも経済対策として即効性がなく、補正予算の趣旨に合いません。しかも今回の補正予算は消費税導入に伴う景気対策という名目ですから、複数年にまたがる予算の使い方は、その趣旨からも外れています。



例えば、「緊急人財育成・就職支援基金」。この基金は人材育成や長期失業者の支援などを行う基金ですから、経済対策について即効性があるとは言えないでしょう。また、「安心こども基金」というものがあります。この基金による事業は来年度から始まるものですから、補正予算としてではなく、来年度当初予算としてしっかり議論して計上すべきです。



さらに、厚労省の「若者サポートステーション」など、昨年の行政事業レビューで政府自らがムダと判定した事業がゾンビのように復活しています。緊急経済対策という大義を隠蓑に試験を復活させようという役所の意図が透けて見えます。



② 復興特会への繰入れを減らす。



復興特会は、東日本大震災の復興に関する事業費を明確にするために創設された予算です。もちろん復興は大変重要ですので、復興事業費や復興債償還費を減らす考えはありません。



しかし、復興特別法人税を1年前倒しで廃止する一方、その減収分を補正予算から復興特会へ繰り入れています。復興特別法人税は復興特会に組み入れられる税金だったので、その減収分は補正予算から繰り入れるのではなく、復興特会の中で確保すべきです。実際、税収の上振れ分や返納金、前年度剰余金などで確保できるので、補正予算は削るべきでしょう。



③ 自由償却税制・減損処理加速のための推進費を確保すること。



これについては新たに予算を付けました。みんなの党は一貫して自由償却税制(税制上の償却期間を事業者が自由に決められる制度)の導入を主張しています。この自由償却税制が導入された時、一時的に税収が落ち込むのを補完するためです。中長期でみると、これは税収増につながるものです。



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歳入に関しては、税収上振れ分で、国債償還用の財源を確保し、借金返済に充当することとしました。皆さんも予定より少し多くの収入があった場合、多額の借金があれば、その返済に充てる人の方が信用できるでしょう。



組み替えの結果、みんなの党では補正予算を1.2兆円減額し、4.3兆円規模に圧縮できると考えました。今回の補正予算で、組み替え動議を提出したのはみんなの党だけです。補完勢力だ、すり寄りだと言う方が多いですが、我々はあくまでも「良いものは良い」、「駄目なものは駄目」と、是々非々で対応をしていきます。我々が結党した後に、数多くの少数政党が生まれ、十把ひとからげのように言われることもありますが、元祖第三極の精神は結党来全く変わっていません。