30日付の英科学誌ネイチャーに新たな万能細胞「STAP細胞」開発についての論文が掲載されました。このSTAP細胞は、ES細胞やiPS細胞に続く「第3の万能細胞」と言われており、世界中から注目されています。



ヒトの体は60兆もの細胞でできているとされていますが、もともとは一つの細胞(受精卵)です。受精卵は細胞分裂により骨や筋肉、皮膚、リンパ球等の様々な体細胞に分化して個体となります。



体細胞は細胞分裂することはできますが、同じ細胞にしかなりません。例外はない。これがほんの少し前までの生物細胞学の「常識」でした。



この「常識」を覆したのが、2012年にiPS細胞でノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授です。山中教授は、マウスの皮膚細胞から、万能細胞(様々な細胞になることができる細胞)であるiPS細胞を作り出したのです。



しかし、30日に発表された論文では、iPS細胞よりも簡単に万能細胞が作れることが証明されていました。それがSTAP細胞です。



体細胞に特殊な遺伝子を導入する必要があるiPS細胞に対し、STAP細胞はマウスのリンパ球を30分ほど弱酸性の溶液に浸し培養するだけで作ることができるというのです。



STAP細胞は、小保方晴子さんという日本人女性が主導する研究で発見されました。小保方さんは30歳の若き女性研究者。再生医療の分野に化学からアプローチしたいとの思いで早稲田大学の理工学部に入学しましたが、学部生のときは応用化学の研究室で海の微生物の研究をしていたそうです。



そんな彼女ですが、指導教官から「本当は何をやりたいか」を問われ、最初の夢を思い出し、大学院から再生医療の分野に飛び込んだとのことです。その後の小保方さんは、「お風呂のときもデートでも四六時中、研究のことを考えていた」といいます。

諦めようと思ったことも何度もあったそうです。しかし、その都度思い直し、まわりに助けられながら研究を続けました。

(この二つの体験は、どんな業種でも、成功している人達に共通していますね!)



日本が知的財産立国として国際社会をリードしていくには、科学研究に力を入れていく必要があります。特に、次の発展に繋がる基礎研究に注力すべきです。



そのためには、小保方さんのような飽くなき探求心をもつ研究者の育成と、研究環境の整備を増強しなければなりません。



研究環境の整備は、科学研究費への予算の配分という形で行われます。文科省の科学技術全体への予算配分は、平成24年度:1兆210億円、平成25年度:9873億円、平成26年度:9713億円(案)と年々減少しています。

そして、基礎研究への配分も、平成24年度:3262億円、平成25年度:3196億円、平成26年度:3086億円(案)と、同じように減少しています。



財政健全化等のため、全体の予算が減少することはやむを得ないかもしれません。しかし、そういった状況下でも未来を創造する基礎研究には積極的に予算を投じ、応用研究は規制緩和で民間企業に頑張ってもらう等の政策を行うことが必要です。



ノーベル賞に輝いたiPS細胞を超えるとも言われるSTAP細胞。これを開発した小保方さんは、日本人女性初のノーベル賞受賞者となるかもしれません。こういった方が次々と現れる真の知的財産立国を目指し、戦略的な予算配分や研究者育成のための政策を、しっかり提案していきたいと思います。