昨日の国会召集日に一枚のFAXが結いの党からみんなの党に送られてきました。


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「約束を破棄する重大な内容なのに、こちらが送ったスケジュール表のFAXの下に殴り書き?しかも、事務所名しか書いておらず、文責も不明」

昼に参議院国対委員長の水野さんと同委員長代理の私。そして議員運営委員(参)の薬師寺さんとのミーティングがセットされていましたが、そこに今回の矢面に立って頂いている衆議院国対委員長である山内さんもやってきて、皆で頭を抱え込んでしまいました。

世間を騒がせていた「会派問題」。
みんなの党の得票で当選した比例代表の議員たちは、離党するならば「議員辞職をするべき(しかも、近々に解党して他の政党と合流する事を明言しているので、法律の抜け穴をくぐった政党ロンダリングの可能性もあります)」との正論を訴え続けて来た我々でしたが、議院運営委員会(衆)の中でも他党を巻き込んだ議論になり始めていた為、逢沢委員長の仲介の元、「離党した議員が浅尾幹事長との面談(一人約30分)に応じる事」を条件に会派(衆)の離脱を了承する約束をしました。

それに対して「逢沢委員長が同席してもらえるなら面談を受ける」との回答がありましたので、国会召集日の前日となりましたが、会派離脱の届け出を提出することになりました。つまり、結いの党の思惑通りの結果になったのです。

しかし、国会初日の朝に送られてきたのが「参議院の方が解決していないので、やっぱり面談(ヒアリング)には行きません」というFAXでした。
こちらは、信用して前日に手続きを取ってしまった後なので、詐欺にあったかのような気分です。
商品を購入する代金を支払った後に、更に倍を支払わないと商品を引き渡さないと言われるようなもの。

衆と参はお互い独立した院なので、内部のルールが違います。
今回の会派離脱のルールも、衆では『議員の会派所属届は、その会派の代表者から届け出る。申合せ事項として、会派離脱については、本人の意思を尊重する』とあり、参では『議員が会派から退会したときは、その会派から退会届を議長に提出する』となっています。
(衆議院側の「会派離脱については、本人の意思を尊重する」という部分は、約2か月前まで存在していませんでした。しかし、衆で3番目に大きな会派である日本維新の会が中心となって、ルールを一部変更する申し合わせをしてしまったのです。
そのような修正に必死に取り組んだ理由は、みんなの党の分裂を画策した議員と、以前から綿密に計画を練っていた為であることは明らかでしょう。しかし、維新の会は、参院では少数会派に過ぎませんので、そのようなルール変更を実現するには至りませんでした)

つまり、会派離脱に関するルールが衆参で違うことは当然知っているわけです。仮に、参院での会派離脱も同時に認めてもらいたかったのであれば、(議運の逢沢委員長にまで入ってもらい)交渉している時に「衆だけではなく、参でも離脱を認めてもらわないと、今回の面談は受けられない」と明確な条件として出してもらわないといけません。

先に一つを勝ち取ったから、約束を反古にして、もう一つを取りに来るというスタンスは、人として如何なものかと言わざるを得ません。私の知っている結いの党に行った議員たちは、殆どがそんな非常識な事をする人達では無い筈なので、益々残念なのです。

私も銀行を退職したいと申し出た時は、支店長、次長、課長、支店長代理、本部の人事課長、次長と、数多くの方々と面談し、じっくりお話をしました。そもそも、たった一回30分の面接の要求なのに、なぜ「絶対にヒアリングは受けない」と意固地にならないといけないのかも分かりません。

皆さんも会社を辞める時、一枚の形式的な辞表を届けて、「はい、さようなら」とはしないと思います。少なくとも、一度くらいは面接を受けるでしょう(会社サイドから、面接は必要ないと言われれば別ですが)。会社の人事責任者も「なぜ辞めたいと思ったのか」を直接聞きたいですし、何か落ち度があれば、改善の為の参考にしたいと思うものです。

ましてや、衆の申合せでも「意思を尊重」とされている以上、意思を確認するために面談をするのは当たり前だと思います。

会社の人事面接に、他社(例えば会社が属する経団連のような団体の長)が来て、立ち会うというのも変な話だと思いますが、それさえもみんなの党は受け入れたのです。

本件については、仲介をして頂いた上、ヒアリングの立ち会いまで付き合って下さることになった逢沢委員長のメンツが潰された形になり、一気に国会内で批判が高まった為、同日中には渋々「行きます」という結論になりました。

今回の件で、一事が万事ではありませんが、ここ1年間に党内で起こった様々な出来事を思い出してしまいました。今までは党内だけで済んだような話も、今後は別々の党なので、他党をも巻き込むことになってしまいます。特に国会の中では約束したことを守ることが大変重要視されます。国会運営は自主ルールなどの積み重ねであり、取り締まる法律などはありませんから、信用だけがものをいう世界なのです。是非、結いの党の皆さんにはそこを認識し、公党として恥かしくないように歩んで行って頂きたいと思います。

正直言って、少しどんよりとした国会召集日となってしまいました。
6月までの長丁場となりますので、気を取り直し、毎日を大切に頑張っていきたいと思います。