緊迫した状況が続くシリア。
昨日、イギリス議会は対シリア軍事行動に関する政府提出の動議を反対多数で否決しました。
「国際的な軍事介入」を目指してきたオバマ大統領にとって、最大の同盟国がいったん抜ける結論を出してしまったのは痛手です。



しかし、アサド大統領が化学兵器を使用したという確たる証拠が出てきたのならばアメリカは方針を変えるべきではありませんし、国連との連携を密にしながら国際社会へのディスクロージャーも徹底して行うべきです。
言うまでもありませんが、単独介入の可能性が出てきた以上、日本を含めた各国の外交的支持が非常に重要になります。



私は以前、バッシャール・アサド大統領にほのかな期待を抱いていました。
英国に留学し、医療従事者として数年間を過ごした経験。そこで出会ったイギリス生まれ、ロンドン育ちのJPモルガンM&A担当のコスモポリタンな女性と恋愛結婚をしたという背景。世界を、民主主義国家を体験してきたことは、必ず政治的思想に影響を与える筈だと思っていたからです。
実は子供の頃スイスに留学していた北朝鮮の金正恩に対しても同じような期待があったのですが、これも数か月で脆くも崩れ去りました。
やはり、取り巻き(軍部)からのプレッシャーと洗脳をはねのける事は、命を懸けて闘うという不屈の精神が無いと不可能なのです。



北朝鮮にも化学兵器工場があるのは既に周知の事実です(シリアの化学兵器開発に協力しているという証拠も出ています)。
もし今回、オバマ大統領が孤立化を嫌って方針転換してしまったら、北朝鮮のみならず大量殺戮兵器を保有するテロリストたちに誤ったメッセージを送ってしまう事になります。



化学兵器の使用は明らかに一線を越えた行動だということを世界的にも明確にし続ける必要があります。自国民に使用する指導者が、他国に対して使う事をそれほどためらう事は無いでしょう。



シリアの問題は対岸の火事では無いことを念頭に、日本も態度を明確にしていかねばなりません。