私が国連協会のパーティー で「国連の素晴らしさと必要性」についてスピーチをした翌日、最も中立性を担保しなくてはいけない国連事務総長が異例の発言をしました。
(速報に出た時は耳を疑い、英語(韓国語訳)の文字起こしを確認するまではコメントを差し控えようと思うほどでした)



28日になって「日本政府やメディアの一部で誤解が起き、とても遺憾だ。私が言いたかったのは、日中韓の三カ国のリーダーが歴史認識問題や政治的な緊張を解決すべきだということだ」と釈明をしているようですが、米国や英国のみならず、韓国の新聞の英文にも明確に“Japanese government and political leaders need to deeply reflect on how they should perceive history…”と記載されている事実から見ても、発言をいまさら誤魔化す事は出来ません。



潘基文さんは元韓国外務大臣です。当時は対日強硬路線をとり、竹島や靖国に関しても厳しい批判を続けてきました。事務総長就任後も、「日本海」を「東海」と名称変更するべきだという主張をしています。今回は6日間の滞在期間中の地元での記者会見ということもあり、ついつい本音が出てしまったのでしょう。
また、最近は「事務総長として無能。話に中身が無く、核心的なことは何も言わない」と言う批判も欧米を中心に噴出しはじめており、その焦りもあったのかもしません。



しかし、自分の国家にとって有利になるような話だけを主張されても、説得力はありません。それどころか、今後は他の事案に関しての言動も、懐疑的な見方をされてしまう危険性があります。日中韓の関係を本当に案じているのならば「3か国のリーダーたちは一刻も早く会うべきだ」という発言が国連トップとしては正しかったはずです。



シリア、エジプト、中東など問題山積の中で、まだ任期が3年以上残っている潘さんには、積極的に果たしてもらわなくてはいけない役割が多々あります。これ以上リーダーとしての求心力を失わないためにも、まずは勇気を持って発言の撤回をするべきだと思います。



また、今回の問題を機に、次の事務総長を選ぶ時には、政治的に偏っていないかどうかをもっと重要な基準としてとらえる必要があるのではないでしょうか。「次はアジアからでは無いのでいいや」ではなく、同じ間違いを他国でも起こさないために、日本はしっかりと提言していかなくてはなりません。それが国連、そして世界各国の為になるのですから。