昨日、国際・地球環境・食糧問題に関する調査会が開かれました。



昨年12月に起きた笹子トンネル天井板落下事故。トンネルを管理するNEXCO中日本が原因として設備の老朽化を挙げたこともあり(実際は人為的ミスの可能性?)、古くなる社会インフラの問題が大きくクローズアップされるようになりました。公共投資を政策の柱として考える安倍政権も、「老朽化対策」を予算編成の重点項目として掲げてきています。



老朽化対策は日本が抱える課題であることに間違いはありません。しかし、このような「誰もが賛成するだろう」という項目こそ、無駄遣いや利権の温床となる可能性が高いということも事実です。東日本大震災の「復興予算」が反捕鯨団体対策、沖縄の国道整備に流用されていたのが良い例です。



昨日は国土交通省、総務省、厚生労働省、外務省、法務省、林野庁などの長官、審議官、部長クラスが上下水道施設の老朽化などについて説明をされました。各水道事業は、主に地方自治体が水道料金収入を財源の柱として経営していますが、古くなった上下水道の更新が自治体の財政に負担となっています。その不足部分を国が補助金で面倒見ようと言うものです。



時間は大変限られていましたが、私は「耐用年数があらかじめ40~50年と分かっていたのに、なぜ老朽化対策費用が積み立てられなかったのか?」と「会計検査院の報告から、下水道事業を行う自治体の杜撰な計画で、使われてもいない下水処理設備89か所に合計250億円もの無駄な国庫補助金が使われたことが発覚。改善の進捗状況を知りたいのと、国としてもっと厳しくチェックする事は出来ないのか?」と質問させて頂きました。



それに対する答えは「推測ですが、まずは新しいものを整備していくことが重要で、その更新のところまでまだなかなか手が及ばなかったのではないかと思う」「減価償却の考え方すら取り入れられていないため正確なコストが把握できていない。今後は官庁会計(現金主義)から企業会計にシフトするよう指導している」という頼りないものでした。
民間企業からすると当たり前の考え方や会計基準が、政府や自治体には未だに導入されていない事を物語っています。



現在はまだ利益が出ている水道事業。だからこそ、経費や会計などにルーズでも、成り立ってきたのでしょう。しかし、少子高齢化や節水技術の発展などにより、その使用量は年々減り続け、近い将来は赤字に転落する可能性も考えられます。その時になって「また赤字国債で…」とならないよう、黒字のうちにしっかり対策をとる必要があります。



社会インフラの老朽化対策という大義名分の下に膨れあがった平成24年度補正予算案と平成25年度予算案。上記のような問題が多く内包されているのは間違いありません。これからも経営者の視点でしっかりと見て、改善していきたいと思います。