ギリシャの再選挙(6/17)が近づいています。
IMFやEUとの約束を守り、倹約・借金返済しながらユーロ圏にとどまろうとする緊縮派と、ユーロ圏から追放されても自由に自分達の事を決めていこうという反緊縮派の一騎打ちです。



ギリシャは今年3月下旬にEUやIMFから支援を受けた際、質素倹約に励んで借金を返すことを約束しました。とはいえ、民間投資家からの借金を7割以上も棒引きさせたので、実質はデフォルトのようなものです。緊縮派が勝てば残った借金を返し続けることになりますが、ギリシャ国内は不況のまま、国民にとってはストレスの溜まる時間が続きます。



では、反緊縮派が勝って、ユーロから離脱した場合は?
ギリシャ通貨ドラクマが復活しますが、こちらは「ハルマゲドン」ならぬ「ドラクマゲドン」という人もいるくらい、終末となる可能性が高いでしょう。まず、ドラクマは復活と同時に猛烈な下落を続けます。ギリシャには国力も信用もまったくないからです。ギリシャ国内では輸入品を中心にあらゆる物の値段が急上昇するハイパーインフレが起こり、ギリシャの人々の生活を破壊するでしょう。



そして、ドラクマ・ショックの影響は国境を越えます。まず、欧州の金融機関を中心とした外国勢からのギリシャ(政府、企業、個人)への貸し付けはほぼ回収不能となり、完全なデフォルトとなるでしょう。その額は902億ドル(7.2兆円)にものぼるといわれますから、欧州の金融界はパニックに陥り、経済をめちゃくちゃにします。



ここまで来たら、一気に世界恐慌に発展する恐れがあります。ヨーロッパと取引の大きいアメリカ経済も急速な景気後退に陥ります。そして恐ろしいのは、輸出入ともに欧州への依存の大きい中国への影響です。すでに中国の成長は急激に失速中で、不動産バブル崩壊の恐れも囁かれていますが、世界経済の牽引役だった中国を欧州危機が直撃すれば、世界の経済全体が落ち込みます。



無論、日本も大変な試練にさらされます。ヨーロッパもアメリカも中国も日本製品を買う余裕がないうえに、比較的安全な通貨を目指して世界のマネーが殺到しますから、更なる超円高とデフレが進みます。するとますます輸出産業が壊滅するという、最悪のスパイラルに陥るのです。



そんな世界情勢はどこ吹く風と、いまだに進みもしない消費税協議に全精力を注ぎ込んでいる野田政権。日銀法を改正して大胆な金融緩和を行ったり、不要な埋蔵金やへそくりを取り崩して景気刺激策を打ったり・・・他にやれることは沢山あるはずです。



このまま行くと、「ドラクマゲドン」が発生したら、そこから間髪入れずに「ノダゲドン」が発生してしまうでしょう。それまでに、残された時間はほとんどありません。