お笑い芸人、河本準一さんの母親の生活保護費受給がマスコミを賑わしていますが、これには二つの問題が隠されているので整理したいと思います。



一つは「不正受給の問題」。世帯を別にする河本さんがお母さんにお金の援助をしておらず(出来ず)、お母さんに収入が無い状況であれば、生活保護費を受け取るのは問題ありません。河本さんは記者会見で「福祉事務所と相談の上でお母さんの生活保護費を受け取っていた」としていますので、もし河本さんが本当に援助をしていなかったのであれば、法律上の問題はありません。しかし、裏でこっそりとお金を渡していたとしたら、保護費の不正受給となります。



もう一つは「道義的な問題」。河本さんの年収は数千万円。これだけの収入があって、他に事情が無いのであれば(例えば多額の借金返済をしているなど)、お母さんを扶養する義務があります。本当に今まで援助をしていなかったとしたら、人としてどうなんだという話になってしまいます。



勿論、河本さんには全てを明らかにし、返納をしっかりして頂く必要がありますが、現状は必要以上に晒されているような気がします(有名人だから仕方が無いのかもしれませんが…)。 しかし、我々国民が本当に目を向ける必要があるのは、日本にはこのような不正が蔓延しているということ。



例えば、二つ目の問題も、本来は扶養できる人に対して福祉事務所が保護費分を徴収できるのですが、それが殆ど実行されていないのが現状です。



不正を少しでも減らし、真の社会保障改革を推し進めるためには、所得をしっかりと管理する「マイナンバー制度」を導入しなくてはいけません。また、法人の意図的な社会保険料の不払いを無くすために「歳入庁(3月24日ブログ『予算委員会』参照 )」の設置を実現する必要があります。 


2010年の生活保護費の総額は3兆3300億円。不正受給は2万5000件(129億円)にのぼります。先週も、年収1億円以上にも関わらず、熊本市から生活保護を不正に受給していた男性(78歳)の有罪判決が出ています。そのような抜け穴だらけの仕組みを作ってしまっているのは政治家と官僚の責任。一個人を吊し上げるのではなく、矢印を自分たちに向け、政策と法案を議論し、仕組みを改善していかなくてはなりません。