日立とNECの合弁として設立されたエルピーダメモリ。鳴り物入りで社長に就任した時の坂本幸雄氏は昨日の記者会見時の硬直した表情とは違い、「DRAMで世界ナンバーワンの会社にする」と意気揚々としていました。



それがたったの12年で会社更生法に。経産省が改正産業活力再生法(産活法)の名のもとに出資した300億円も、そのほとんどが焦げ付いて、国民負担となることが確実です。



半導体のようなハイテクは、その製造過程も高度で複雑なため、「日本のお家芸だから復活できる」という甘い見通しの下で進められた支援計画。オールドインダストリーの経営者が口出しするなと思われるかもしれませんが、私は当初から同支援に関しては懐疑的な見方をしていました。そもそもNECや日立が手をこまねいた部門をスピンオフ(独立)させれば何とかなるという考え方は間違っていますし、韓国や中国の技術力の向上を甘く見過ぎていると思っていたからです。



半導体だからと言っても特別なものではなく、基本は繊維・家具・玩具などのように、最終的には立地条件(人件費、家賃、税金など)が良い方が有利になるのが間違いないのです。



そういう意味では国がなすべきことは、数百億円程度の焼け石に水的な資金援助ではなく、法人税の下げなど、戦える「環境」を整えてあげることだと思います。



そして、新しい産業が生まれやすくなるように規制緩和を続け、自然の流れで、古くて利益率の悪い企業や産業は淘汰される事を黙認しなくてはいけません。経済も新陳代謝が大切なのです。