閉鎖された原発2号機を所有するFENOC社、現在稼働中の1号機を所有するEXELON社、そしてNRCの在住監査官を交えて行われたディスカッション。
TMI事故の発生から現在までの経緯を詳しく説明して頂いた後に15名の議員と質疑応答をさせて頂きました。その中から幾つかを紹介させて頂きます。


●メルトダウンした燃料を取り除く方法を共有してほしい- TMIのノウハウが使えると思う。しかし、現在は燃料がどこにあるかわからない状態。「ここにあるはず」という仮説を立て、検証を繰り返す必要がある。TMIは15年掛かった。日本は間違いなく、それより長く掛かるだろう。


●撤去作業などで従業員の被ばくはあったか- 作業員の安全と健康を第一に考えている。例えば遠隔ロボット操作も、水中にわざわざコントロールルームを作り(水は中性子線を遮断するため)行った。結果、全員が米国で定める基準の50ミリシーベルト以下に収まった(30ミリシーベルトを超えた者は7名のみ)。

●隣にある1号機稼働の反対運動にどう対処したか- むしろ反対意見が多いのは良いこと。それが勉強になるし、成長につながる。基本的に良いことも悪いこともオープンにするスタンスが大事。

●原発施設内だけではなく、住民を巻き込んだ防災訓練はどのように行っているか- 施設内は年に一回。施設外は2年に一回。州知事から警察、そして地元住民の様々な職業の人にも参加してもらう。2000人程度参加。費用は事業者と自治体が分担するが、地元住民から多くのボランティアも参加するので、コストはそれほど高くない。FEMAもNRCも参加し、チェックし、改善点を伝える。

●避難命令などはどのように出されるか- NRCが範囲の助言などを行い、州知事が決定する。米国では住民の安全は連邦政府ではなく州が一義的な責任を負う。


なぜTMIは大惨事に発展する前に事故を最小限に抑えることが出来たか。その組織や考え方の違いが見えてきます。


今日はNRCの本部にも行ってきましたので、明日は「考え方の違い」についてもう少し掘り下げて皆さんにお伝えしたいと思います。また、DOE(エネルギー省)やFAS(全米科学者連盟)にも行き、米国と日本が抱える問題の類似点も見えてきましたので、それもアップしたいと思います。


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「説明フリップと模型」


ところで、スリーマイルで驚いたのは、閉鎖された2号機の中はまるで見学者を「楽しませる」作りになっているという事。


失敗をオープンにして、そこから皆で学ぼうという姿勢が感じられます。


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また、道沿いにもこのような立札があり、スリーマイルが望める場所を観光地のようにしていました。