宮城からの帰路。同僚の小熊さんやツイッターからの情報で、いわき市に物資が届いてないことを知り、東北へ3回目のとんぼ返りをすることになりました。



ブリーフィングをして、野口さんの所に集まった物資の荷積み作業が終わったのが朝3時ごろ。



1時間の睡眠を取って、原発事故により一部地域での屋内退避が出されているいわき市へ向かいました。



物資集積所となっている“いわき平競輪場”で荷下ろしをした後、自衛隊員、市の職員、ボランティア、市議会議員、副市長、そして市長と話をしました。



現場の方々と話をして見えてきたのが、被災者に水・食料が届かない二次被害の原因となっている理由が三つあるということ。



一つ目は政府のリーダーシップの欠如。
二つ目は自治体のシステム・ダウン。
そして、三つ目が風評被害。



最初の二つについてはもう少し情勢が落ち着いてから書きたいと思いますが、取り急ぎ三つ目の「風評被害」について皆さんにお願いがあります。



メディアで大騒ぎされている放射線。
「東京に放射能が大量に届く」とか「原発が爆発して・・・」などと、恐怖を煽るような報じられ方が見受けられますが、それを鵜呑みにし、必要以上に怖がらないで頂きたいのです。



確かに福島原発では大変な事が起こっています。現在は放水により核燃料プールが冷やされて、小康状態のようにも見えますが、いつ状況が悪化するか分かりません。このまま落ち着いたとしても、完全に放射線を閉じ込めるにはまだかなりの時間を要するでしょう。



しかし、現在は、いわき市のように20km以上離れると、その放射線量は人体にほとんど害が無いと言われるレベルでしかありません。(文部科学省 原子力災害対策支援本部がモニタリングを随時公表しています。http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1303726.htm  )



それなのに、「福島に足を踏み入れると、否応なしに放射能を浴びてしまう」と信じて、運送業者がいわき市や相馬市まで商品を運ぶのを嫌がり、茨城県の日立太田市や郡山市に荷物を置いていってしまうような状況が続いているのです。



地元のスーパーはそこまで商品を取りに行きたくても、車の燃料が買えないので、結局店を閉めざるを得ないとのこと。



つまり、その噂一つで、福島県内の市民は食料が手に入らなくなってしまったのです。



また、給水が3割しか復旧していないなどの問題もあり、市内の小売店や飲食店のほとんどが閉店していて、まるでゴーストタウンのようでした。



それ以外にも、噂の影響は出ています。遠く離れた一都三県で水やカップ麺の買い占めが発生したり、東京から更に安全な地域へ逃げようと、県外、場合によっては海外への脱出組が増えたりもしています。


更に最悪なのは、まだ極一部ですが、福島から避難して来た住民に対して宿泊拒否や乗車拒否まで発生しているとのこと。



戦後最大の危機で、復興のため日本人が一丸となって力を合わせなくてはいけない時に、逆に殺伐とした空気を醸し出す結果になってしまっているのです。



私は何度もブログなどを通じて発信をしていますが、日本人はメディアリテラシーを身に付けなくてはいけません。メディアを鵜呑みにするのではなく、様々な情報を収集して照らし合わせたり、周りの人と意見交換などをしたり。そして、最後は関係する相手の事をしっかりと考えた上で、自分の頭で判断する。その冷静な対処が「人災」を無くし、最終的には自分や家族を守ることになるのです。



福島の皆さんが食料や必要最低限の物資を平常通り手に入れられるようになるまで、私も引き続き改善策を官邸に提案したり、情報を発信したり、物資輸送に努めたいと思っています。



最悪の状態から脱するまで、あと少しの辛抱です。東北の皆さん、何とか一緒に乗り切りましょう!




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「念のためスクリーニング検査を受けましたが(写真:佐藤さん)、全く問題ありませんでした」