白井明大(しらいあけひろ)さんの 「日本の七十二候を楽しむ」 この本で、日本の旬のものを一緒に学びましょう。
日本には四季があり、二十四の気という季節があり、七十二もの候という季節もあります。
昔の人は、そうした季節の移ろいをこまやかに感じとって生活していたのでしょう。
その49 寒露(寒露の初候: 鴻雁来る 「がんきたる 雁が北から渡ってくるころ。」
新暦では、およそ十月八日~十月十二日ごろ
候のことば 菊と御九日(おくんち) 九月九日の重陽(ちょうよう)の節句には、菊の節句ですが、新暦のころにはまだ菊は花を咲かせません。
それが、旧暦の九月九日ごろになると、開花の時期を迎えます。
新暦からひと月遅れの十月九日ごろに長崎の諏訪神社で催されるのは、長崎くんちという御九日の祭。
菊の見ごろに、秋の収穫を祝う祭が各地で行われるのは古来あるこの季節のならわしです。
旬の魚介 ししゃも 産卵期の十月が旬のししゃも。
漢字で柳葉魚と書くのは、柳の葉がししゃもになったというアイヌの伝説からだそう。
一般に出回っているのは干物ですが、旬のししゃもは刺身の美味。
旬の野菜 しめじ 「香り松茸、味しめじ」 のことば通り、しめじは旨味に満ちています。
ほんしめじは、広葉樹やアカマツなどの林に自生する野生種のこと。
年々希少になっているとか。 旬は九月~十月。
旬の兆し 雁渡(かりわた)し 雁が海を越えて渡ってくるころに吹く北風が、雁渡し。
また、青北風(あおきた)とも呼ばれます。
渡り鳥が群れをなして飛んでくる姿には、その懸命さにハッとさせられる時があります。
旬の草花 ななかまど 山で見かけることも、北国の街路樹として出会うこともある、ななかまど。
七度竈(かまど)に入れても燃え残るほど、燃えにくい木のたとえから、その名がついたといいます。
- 雁クラスの大きな鳥を観に、たまには出かけましょう。