kouseisogoのブログ

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 地球にある水、その97%が海水である。残りの3%を我々がすすっているのだ。近年の人口増加で約21億人が、管理不十分な水を飲むハメになっている。体に及ぼす影響は大きい。

 

   

 

   

 

  日本の淡水化技術は画期的

 日本でも昔、井戸はどこの地方にもあった。加えて清流河川も多いし雨も降る。まず水には困らなかったが、天災などで一度渇水状態になると それは天下の非常事態と受け取られ、様々な工夫がなされて来た。そして今や「安全な真水を確保する」という理念は、いくら飲んでも安全な飲料水品質を作り上げた。逆浸透膜(RO)による水の製造である。

 家の近くのスーパーで手に入る純水(正確には亜純水)もこの膜を通している。あなたも飲んだことがあるかも知れない。水道水を更に逆浸透膜通過させた水 ── 亜純水。必要なミネラル分まで濾しとられた、本来自然界に存在しない このうまくも何ともない水・・・・。トリハロメタンを気にするあまり 莫大な数の体内細菌を抱え込んで共存している人間が飲んでいるのだ。あまり意味のある事ではないと言ってもいい。(詳細は当ブログ「純水を飲むの?」参照)

 

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 ここでは日本の海水から真水を作る逆浸透膜水製造技術を紹介したい。これで製造される水は 純水ではない。飲料水レベルなのでご留意されたい。水に飢えた21億人に対する一つの解答になるだろう。前のブログでも触れたが、原子力潜水艦では原子力(核分裂)を利用して海水から水を作り、飲料水は勿論、料理や洗濯に使用している。但しこれは核分裂反応の副産物的利用だから、もし地上でやるならやはり原子炉がいる。つまり現行の原子力発電と同じリスクを負うことになり、なかなか管理が厄介である。そこで ── 

 

 今主流になりつつある方法が日本の技術。海水を半透膜という特殊な膜を通して、塩分などを濾し除いて作る方法だ。同方式はすでにアフリカや中近東などの乾燥地帯などで利用されている所もある。生産される真水の量は現在6500万トン/日  ──  これは日本の水道水使用量の1.5倍にあたる。

 

   

 「特殊な膜」とはいうものの、我々の細胞膜もこの膜でできている。膜の特徴は、水分子だけを一方に通す無数の微細な穴の開いたもの。上図で右側の水(溶媒)は左の海水(溶液)側に浸出する傾向がある為、右の水が膜を通して海水側に移動する。水の浸出力と海水圧力が同じになると反応は止まる。この時の圧力差を浸透圧という。(市販セロファンなども半透膜の性質がある)

 

 

   

 

 この半透膜の性質を利用して、逆に海水に高圧力をかける。すると海水に含まれる水が「しゃーないの~」とばかりに逆流浸出する。この時の膜は働きが逆になるので「逆浸透膜(RO)」と言う。逆浸透させる事は極めて反自然な行為だから、とんでもなく大きな圧力がいる。その大きさは6Mパスカル/㎡(メガパスカル)という強さである。1㎡にかかる重量(圧力)は600t=普通乗用車600台分である。(なにせ自然の法則に逆らうのだから)これ以下では水が通ってくれない。たかが水の話だと思いきや、安定した状態の海水から真水を抜くという大それた企て・・・・海水をブッ叩いてペシャンコにするほどの力が要る。しかも得られる真水は元の海水の半分だけだ。

 この高圧力を得るには強力なポンプ(コンプレッサー)が必要である。

 標準的性能では海水20000ℓから真水10000ℓが取れる。真水を取った後の濃海水は廃棄するなり塩を取ったりする。あとはヘロヘロになった人間達がその水をすするのだ。

 

   海水淡水化装置の模式図

   

 

  コンプレッサー(高圧ポンプ)

   

  

 万一この方法が不具合を生じても原子炉のような危険リスクはない。取水した海水の半分が真水になる。問題は二点。(1)電気代が高い (2)半透膜交換に費用がかかる

 

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 (1)の対策

 コンプレッサー(高圧ポンプ)で得た高圧力を再利用する。

 その方法(全体の流れ)

 下図のように各々シリンダ内蔵(お互いに反対方向に移動)の筒2本を設置し、水分を搾り取った後の高濃度高圧海水の力を再度浸透膜通過の圧力として利用する方法である。この圧力でシリンダを動かし 通常海水を予備圧縮して増圧ポンプに送り、そこから高圧ポンプの高圧海水回路に送り込む。この動きによって、必要な圧力のかかった通常海水が得られるので その分高圧ポンプを助けることになる。(この時の通常海水にはすでに圧力がかかっている)

 その際、他方の筒のシリンダは逆に動き 通常海水を筒内に吸い込む。同時に排出弁が開き、右に移動するシリンダに押された高濃度高海水を排出弁から外に排出する。これらの流れの切り替えを、各工程サイクル時間と連動させ複数の電磁弁の開閉で行う。余った海水は弁を開いて排出する。各部に設置された弁の開閉タイミングがまるでパズルのようだ。

 

 

 (1)の対策の効果

 この装置でコンプレッサー(高圧ポンプ)の働きを助ける為、電気代は半分以下になる。

 この方法は天才が考えたものではない。多くの人々が長年仕事に携わりながら少しづつ改良を重ねた結果である。それはちょうど大工さんが釘を1本も使わず複雑な「木組み」で強力な木材接合を可能にするようなもの。初めはきっと単純なものだったはずだ。

 更に高濃度海水はその後、塩やその他の成分を採取する事に使われる場合もある。すばらしい!

 

 (2)の対策

 半透膜にカーボン・ナノ・チューブを組み込む。

 膜が汚れると水の通りが悪くなり能率が落ちる。汚れの付き方を電子顕微鏡で分析すると、汚れ粒子が膜表面の繊維状組織に絡んで止まっている事が判明した。そこで組織に汚れが付着しにくく 付着しても流水洗浄すると簡単に落ちる性質に改善する事ができた。

 

 (2)の対策の効果

 洗浄で繰り返し使える膜。コストは1/3~1/5になった。

 

 この省エネ淡水化ユニットは沖縄県波照間島(はてるまじま 有人島としては最南端 面積12.7㎢ 人口482人)に設置されている。島はサンゴ礁からできているので川などなく、山もない。昔は井戸で水を得ていたがジワジワと海水が染み出しカルシウム量も高くで飲めない状態になった。その窮地を救ったのが2015年に設置された同ユニット。今島民は飲み水の不安から解放された暮らしをしている。

 

   

  波照間島 4km✕3km 程度の平たん地、台風が来たら島全体が波を被りそうな形である

 

 また、前ブログで述べた核融合炉が完成すれば小型で比較的安全なエネルギー源として利用できる。それまでのつなぎとして、すでに完成している小型軽水炉(核分裂炉・沸騰型)が候補に挙がっている。

 

 核エネルギーが如何に大きく効率が高いかもすでにブログで述べたが、巨大なエネルギーはベクトルを違えた場合とんでもない事になる。それだけ巨大な力だから当たり前だ。我々が手なずけたかに見える火にしたところで燃え広がれば大火になり悲惨な目に合う。問題は人間の管理能力に見合うか否かである。そして相応の覚悟をして使う事だ。現在の核エネ(核分裂)は人間の管理能力と、でき得る覚悟の限度を越えているのかも知れない。

 

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 淡水化技術の多目的応用

 (1) 製塩後に応用する。

 製塩はまず海水を電気分解して高塩分水(かん水)と低塩分水に分離し、高塩分水から塩を作る。ここで廃棄していた低塩水から同ユニット逆浸透膜を使って淡水を作る。この淡水は食品添加物や医薬品の製造に使われる。ナイカイ塩業では淡水製造コストが半減した。

 (2) 下水処理場でできた水を使う。

 併設の海水淡水化ユニットに使うのだ。下水処理にもある種の膜を使うが そこでできた水を海水に混ぜ、低塩分化した海水を逆浸透膜を通して淡水にする。これにより低圧ポンプが使える。大幅な電力削減に成功したのが福岡県北九州市のウォータプラザ北九州。最近の下水処理技術は高度化されているから、処理水を飲料水として飲んでも何も問題ない・・・・らしい。ここの勇気ある市民諸君は嬉々として毎日この水を飲んでおる。この先、北九州方面にお出かけの読者は、是非この水を味わっていただきたい。特に夏場のよく冷えたものは格別らしい、知らんけど。

 更に海外では南アフリカ・ダーバン市で同様の実証プラントが勇躍稼働中である。ダーバン市民は水不足解消を喜んでいる。

 

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 喉の渇きは耐え難い。その苦痛の度合いを明らかにした実験がある。

 マウス実験。限界近くまで水をやらなかった母ネズミは、子ネズミの悲痛な鳴き声(予め録音済)よりも まず水の入った皿に向かう。個体を替えても結果は同じだった。動物学者が得た結論は「渇きの苦痛は母ネズミの母性愛の強さを凌駕する」だった。それほどに「渇き」は苦痛なのだ。乾燥地帯に住む人々の苦労が少しは理解できるだろう。彼らにとって水の臭いや風味など二の次なのだ。「おいしい水」ではなく、健康に無害な「飲める水」が必要なのだ。

 それに引き替え、純水にまで手を出している我々は、それを飲んだら健康になる訳ではない。むしろ水を運ぶ配達員の方が健康なのだ。聞き慣れないバナジウムやシリカなるものが溶け込んだ高価な水を飲んだとしても ハゲが治る訳ではあるまい。ここはまず水を欲しい時に好きなだけ飲める環境に ただ黙ってこうべを垂れるべきでは?